18 空へ
よろしくお願いします。
高い壁の門から出て来た二人の後を子供達が歩いてくる。
壁の外の民達は歓喜に溢れた。
男達は全速で子供達に走り寄り、強く抱きしめ、その逞しい両腕で天高く掲げた。
その向こうでは、壁から白い布が何本も垂れ下げられた。
男達は、長い戦いの末の最後に、戦わずして勝利を収めたことを知った。
両目を失った娘に向かって一頭の獣が歩いてきた。
長く細い角を持った獣である。
同じように両目を失った若者には、何本にも別れた角を二本持った獣が寄って来た。
二人はまるで目を開いている人のように純白の六枚の翼を持った鳥のそばへ向かった。
二人はその鳥から、純白の翼を二本づつ抜いた。
大きな鳥は血を流すどころか、身動きさえしなかった。
二人はその翼を、それぞれに寄ってきた獣の背中に刺すと、まるで翼を吸収していくように獣達の皮が裂け、肉が吸い込んでいった。
その時、2頭の獣の角が地面に落ち、獣達の皮の色が翼と同じ純白の色に変わった。
二人はそれぞれの獣に跨ると、少女が言う。
「行きましょう」
「でも帰るところは既にない」
「空へ、星を目指して」
少女にそう言われて、若者は頷くと、ゆっくりと翼の付いた馬を走らせ、やがて馬は全速力で走り出したかと思うと、美しい純白の翼を大きく一度だけ羽ばたかせ、宙に浮いた。
少女は、その後を追いかけるように馬を走らせると一息で空へ舞い上がり、若者が乗っている翼を付けた馬にあっという間に追いついた。
地上から見上げている赤い瞳と灰色の瞳は、その姿から目を離せずに、いつまでも青く高い空を見上げていた。
やがて、翼を持った純白の馬は、若者と少女を乗せて、空の果てへと消えていった。
ありがとうございました。




