表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

明日の存在

作者: 月村幸世

人が生きる上で最も大切な事とは何でしょう。

これ、そんな女々しいことを考えてどうする。働け、働け。

『働く』ですか。そうですね。お金は大切かも知れませんね。この世の大半は誰かの所有物で、所有者はお金がないと夜も眠れないと言うのですから、お金はとても大切ですね。

ただ私の財布には2400円とプリペイドカードが一枚。それも500円しかありません。こんな貧乏人がお金は一番大切なものだなんて、皮肉か嫌味にしか聞こえないでしょう。お金を捨てて山に籠れたなら、私はきっとそうする。あ、いや、それは矛盾ですね。山も誰かの所有物です。そのために熊も猪も追い出されたのですから。いやぁ、貧乏、貧乏。

まだ寝ているのか、早く動けというのに。

そうですね。このまま一生眠っていたい気もしますし、今すぐ働きたい気持ちもあるので辛いものです。それでは人生で一番大切なことは『退屈』ということにならないかしら。なんとも嫌な答えだけど、現実とは不条理でとことん皮肉めいているものでしょう?

あ? 退屈だぁ。んなら働けというに。

いえいえ、ダメです。働いたら退屈したくなるじゃないですか。私はこれ以上の退屈はごめんなのです。これ以上の退屈は死ねてしまうから嫌です。恐いです。あと何年、何十年この退屈のシーツに包まっていなくてはならないのでしょう。街灯のない道ほど、虚しく恐ろしいものはありません。

何が虚しいだ。こっちは嫁さんに会えなくて泣きたいっていうのに。

『家庭』もまた大切なのかも知れませんね。いえ、『愛』と言った方がみなさんは気持ちが良いのでしょうか。『愛』と言えば、先日何となく広辞苑を開くと面白いものがありまして、恋と愛、これはどちらが重いのか、どちらがより深いのか様々な論争がありますね。『恋』というのは死者などの会えない者に対して抱く好意だそうです。『愛』の方は忘れてしまいました。しかしながら青春の成分として括られる『恋』にそこまでの深い想いがあっただなんて、その文言を見た時、私は思わず泣いてしまって、図書館にいた皆さん大変に驚いていましたね。

ほら、はよ立って働け

あぁ、あぁ、あぁ。まだ考えている途中なんですよ。

そんな無駄なこと考えていてどうする。それで生活が良くなるのか。

いや、まぁ、分かりませんけど。ただ、こう、幸せになっている感覚だけ湧くんですよ。

そうか、そうか。俺はお前が働かないから一向に幸せにゃあなってないぞ。

へいへい、すいません。


人生で大切なものは結局『時間』らしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ