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三十六話 勇者様、メガ頑張る


 薄く瞼を空けると、かすかに頬へ差し込む光の筋が目を焼いた。

 身体を包み込むようなシーツの感触を確かめ、男はほんの少しだけの美をする。どれほど眠っていたのだろう。常ならば日が上る前には目覚めているはずなのに、と男は気だるい疲労感を残す身体をゆっくりと持ち上げようとした。けれども、まるで背中が寝台と一体になってしまったのかと疑うほど上体はピクリとも動かず、逆に全身の力が抜け落ちているかのように精神と肉体のつながりが希薄である。

 目に入るのはほんの少しだけすすけた天井。男は自身に何が起こったのかを見極めるために、昨夜を含めたここ数日の記憶をあさった。数秒とたたずに結論が出る。ああ、これは身体が動かなくなっても無理はないな。妙に達観した気分で一人ごちた。


「お目覚めですか」

「ああ」


 枕元、それもほぼゼロ距離に近いところから聞こえる涼やかな声、男はそのことに指して驚くことも無く声だけで頷いた。正直、顎を動かすだけでも億劫だ。目を空け続けることさえ面倒くさい。ついつい瞼を閉じて、聴覚以外の外界情報を遮断する。


「それで、どうだ?」

「プラン達成率はすでに六割を超えています。順調にいけば、今日明日中には全行程を終了するでしょう」


 抑揚のない女――とある人物から人形繰りと呼ばれるものの声はどこまでも淡々としていて、余計に眠気が際立った。同時に、そんな眠気すらかき消しかねない情熱が男の脳を馬車馬のごとく働かそうと躍起になっているのも感じる。ふむ、と口の中で台詞を転がし、少し乾いた唇をさっと舐めた。


「ということは、連中は火竜の姫君に出会ったと? 予定よりも数日は早い気もするが…大勢に影響はないか?」

「はい。確かに今代の勇者――特に黒竜の勇者の能力は特筆に値すべきものと愚行致します。けれど、それも当初の予定に収まる範囲です。むしろ、計画の早期終了の一助となる可能性が高いと思われます」


 ならばいい。そう言って男はもう一度、大きなため息をついた。彼にとって人形繰りや勇者の存在など、これといって意義も興味も覚える事のない瑣末ごとなのだ。ただ計画が無事遂行される。この一事のみが男の関心事であり、全てであった。


「彼の御仁はどうしている?」

「何も。常のごとく、始祖の座に縋るのみです」

「昨夜の件――続報は?」

「王太子襲撃に際し、複数の大公派騎士部隊が活発に動き回っていたことに諸侯が動揺しています。また、それに伴って趨勢を決めかねていた有力貴族が大公派への接触を強めているようです」

「…くく。大公派、か」


 喉の奥でかすかな嘲弄が漏れだした。果たして、どれほどの数がその言葉を信じ、踊らされているのだろうか。

 そんなもの、どこにもありはしないのに。


「――なるほど、状況は大体読めた。お前は引き続き、シナリオに沿って行動してくれ」

「ご賢察、恐れ入ります。では」

「ああ。こちらは最終段階に備えて体制を整える。願わくは、彼らの目覚ましき羽ばたきを見られんことを」


 人形師の女からの返答はなかった。静寂が男の寝室に腰を下ろすと、彼はもう一度うっすらと目を空け視線を横にずらした。

 枕元には、茶色の毛並みを持ったテディベアが一頭、重々しく腰をおろしていた。




 ★★★




「わ、妾の問いたいことは二つある。まず一つ目、これは妾にとっても重大な関心事なのだが…どうやってここまでたどり着いた? 一応、色々と手は打ってあったんだがの」


 彫刻のような笑顔を張りつかせ、ライラと名乗る褐色の女性はどことなく震える声音で夜叉姫へ問いかけた。何気に頬が引きつっていたり、視線がうろうろしたりしている気もするが、深くは考えないし考える余裕もない。何となれば、幸二自身、可能な限りどす黒い霧から距離を取ろうと必死に少しずつ椅子をずらす努力をしているのだから。


「ああ、それは簡単なことだよ」


 そんな蟻の努力を踏み潰すかのように、いっそ清々しさまで感じてしまいそうな笑顔で柚木はとんとんと指で卓をたたいた。これでろくでもない殺気が吹きすさんでいなかったら何のためらいもいなく見惚れていただろうに、もったいないことである。つい数分前にうかつな失言を洩らした自分を呪い殺したくなった。


「簡単、とな? 物理的な痕跡から魔力波に至るまで、逃走経路の探知はできぬよう隠ぺいしておいたはずなのだがな」

「いや、道行く人に「褐色肌の美人がどこにいるか知らないかな?」と聞いたら皆が皆ここを教えてくれたんだけど」

「……は?」


 何それ、と言わんばかりに美女が目を丸くした。その様子に幸二はやはり自覚してなかったんだーと半ば以上諦観の混じった苦笑を洩らす。何せ聞く人聞く人がものすごく軽いノリで、「あ、彼女ならあの宿だよー。それよりおにーさん、今暇? そこに美味しいお茶の店があるんだけど」と何の邪気も無く教えてくれたのだ。その回答率たるやほぼ百パーセント。お兄さんお姉さんお年寄りから子供まで、口をそろえて「あの人かあ」などと呑気に言われた日には、幸二はこの国の情報収集機関に凄まじい不安を覚えてしまわざるを得ない。大丈夫なのかエスパニア王国。


「…何でそんなことになっておるのかの? 妾は目立つようなことした覚えないのだが」

「ていうか、その容姿で目立つなって方が無理じゃないのか?」


 はっきり言って、このライラ=ドラコラスなる人物は男にとって眼福を通り越して毒にしかならないような姿かたちを持っていた。クリーム色のセミロングの髪は絹糸かと思うほどサラサラで、卵型の輪郭にはエキゾチックながらも恐ろしいほどに整った目鼻が乗っている。ゆったりとしたローブからは、分厚い布など笑止とばかりにメリハリの利いたしたいが顔をのぞかせ、そこから漂う色香は恐ろしいまでに異性を引き付ける事だろう。大人の女性。そう言われて健全な男子高校生が思い浮かべる妄想の完成形がまさに彼女の姿だった。

 これで目立つな、なんて無理である。店に入る前にすれ違った若い男性の集団が熱に浮かされたようだったのは、これが原因なのだろうか。どうしてか、背筋が震えた。


「む、そうなのか?」


 柚木の前で彼女に見とれるようなことなどあってはならない。そんな風に気を引き締めている幸二の心情など知らぬとばかりに――当たり前であるが――ライラはきょとんと無防備な表情で小首を傾げた。そのあまりにも意外だ、という態度に思わず柚木と顔を見合わせる。いつの間にか、彼女の気配は元の凛々しいそれに戻っていた。


「なるほど。そういうわけか。いやはや、人間の美的感覚を考慮に入れなんだことが、こんなところで響くとはの。はは、面倒くさくて適当に奇麗に見えるパーツを組み合わせただけなのだがな」


 褐色の美女は色濃い苦笑で以て肩をすくめる。そのいかにも失敗したという態度と、彼女の台詞に入っていた単語にほんの少しだけ瞠目した。慌てて、しかしそれを悟られぬよう慎重を片隅に置きながら幸二は柚木を見た。


「ああ、やはり君は人間じゃなかったりするのかい?」

「うむ、そうなる」


 まるで何でもないという風に、彼女はにこりと頷いた。そのあっけらかんとした有様は質問者側の幸二ですら、いやもう少し隠すとかした方がいいのじゃないかと思わしめるほどである。幸二は思い切り振った炭酸飲料のように、毒気や警戒心というものが抜けていくような気分を味わった。


「ほほう。ちなみに何の種族なのかな。参考までに教えてくれると嬉しい」

「竜だが」


 あっさりと吐かれた台詞を、幸二の脳は窓口を閉めて受け取ることを拒否した。


「…は?」

「だから、竜だというとるのだ。ここより北に位置するアドデス山脈、冷たき大地に身を下ろせし火竜の一族。それが妾の正体よ」


 くすくすと、ライラは笑った。幸二は無意識のうちにもう一度柚木の方を振り向いた。ばっちり視線が合う。ひどく曖昧な苦笑が黒髪の少女にひらめき、同時に多分の困惑が空気を伝ったかのように流れ込んできた。いかな豪胆な娘といえど、さすがにあの竜宣言は受け入れがたいものであったらしい。


「ええと、一応確認させてもらいたいのだけど」

「なんなりと問うてくれて構わぬよ」

「…竜って、あの竜かな?」

「どの竜なのか今一よくわからんが、ともかく妾は竜だが?」

「いやいや、竜って、あれだろ? でっかくて、うろこがあって、滅茶苦茶強い奴なんだろ?」

「まあ、汝ら人間に比べれば大きいが、竜種の中にも部族によって違う特徴をもつ者もおるし、個体差もあるから一概にそうだとは言えんの。うろこはある。強いかどうかは…そこいらのエルフやドワーフに負ける気はせんな」


 竜。ドラゴン。ファンタジーの御約束にして、大抵人間などはるかに超越する力を持った最強種。モニカからそう言った種族がいるとは聞いていたが、まさかこんな形で出会うとは思えなかった。道理で、騎士に囲まれたにもかかわらずあれほどの自身たっぷりでいられるわけだ。彼女にとって人間など、何人いようが物の数ではないのだろう。

 幸二はまじまじとライラを見詰めた。どこからどう見ても人間の女性にしか見えない。しかし昨日彼女から生えた翼は、取りと云うよりも爬虫類に近い印象を持ったものだった。本当の本当に、彼女は竜なのか? 疑問が顔に出たのだろう。彼女は苦笑しながらも「嘘は言っておらん」と自言を強く肯定した。


「人化は割とポピュラーな術であろう? 何せ、汝らの生存圏は広大だからの」

「そこらへん、私は専門外だから何とも。友人も竜族はめったに人前に姿を現さないと言っていたし、積極的に学ぶ分野でもなかったからね。こー君はどうだい?」


 黙って首を振る。こちらに来てからというもの、生き残る術を身につけるのに精一杯で、知識面までカバーしきれていない。一度本を読もうとしたのだが、召喚術に組まれた術式で文字は読めても、単語の使い回しや文章の組み立て方に独特の特徴があって今一理解しにくいのである。あんなのを軽々読めるのは、よほどの学者か隣の幼馴染のようにねじが数本すっとんでる御人くらいだ。


「まあ、話が進まないから君が竜であると信用して、だ。何故普段姿を見せない竜族が、わざわざ人間の国のど真ん中にたむろっていたんだい? しかも国王の寝室にまで侵入して」

「んー、まあそれにもいろいろ事情があっての。話すと長くなるが――」

「おい、お嬢さん!」


 がたんと、店の出入り口付近で大きな音が響いた。反射的にそちらを振り向くと、乱暴に蹴倒された椅子と卓に、一人の若い男が息も絶え絶えな様子で跪いているのが見える。思わず幸二は腰を浮かし、全身を汗で濡らした男の横で片膝をつく。意外と大きな音と声だったのか厨房から店主が飛び出すと、若者に困惑したように目元を歪めた。


「どうした、何があった?」


 店主の声にかぶせるように、男は何度か大きな咳をした。しゃべらなければならないのに舌がもつれて動かない。彼の様子から幸二はそう予測し、卓に置いてあったピッチャーを男の口元にあてがった。かなり乱暴だったためか生ぬるいワインが床板を深紅に染めるが、若者は気にするそぶりも見せず喉を鳴らし続ける。ぷは、という息継ぎをして多少落ち着きを取り戻したのか、彼は真剣なまなざしで店主とライラを射抜いた。


「おやっさ……お嬢さん、早く逃げるんだ! 騎士の連中が、お嬢さんを探してる!」


 幸二の顔がこわばった。振り仰ぐように柚木を見ると、彼女も顎に指を当てて熟考の姿勢を見せている。


「柚木姉」

「果たしてどちらなのかな。ま、もとより時間の問題。むしろ遅いくらいだったんだ。よほど上が混乱しているのか、あるいは…」そこまで言って、彼女は苦笑した。

「と、そんなことを言っている場合じゃないね。どうする、君?」


 その問いに答えることなくライラは若者の側にまで歩み寄り、その顔を覗き込んだ。顔には微笑みが浮かび、そんな場合ではないと言うのに男の顔はりんごのように赤く染まっている。


「まずは汝に万言の感謝を。知らせを持ってきてくれてありがとう。だが、何故教えてくれたのかの? 官吏に追われているということは、ひょっとすると妾が途方もない犯罪者であったのかもしれんのだぞ?」

「はは…ないない。こんななりだが、おやっさんって意外と人を見る目があってさ。そのおやっさんがあれだけかまってたあんたが、悪人なわけないよ」

「へっ、しょぼい理由だなおい」


 店主の悪態が飛ぶが、飛ばした方も飛ばされた方も怒りではなくただ色濃い苦笑が現れたのみだ。


「それにだ。お嬢さんを口説くためには、こんくらいの贈り物がないとしまらねぇだろ? なあおやっさん、俺のプレゼントは合格か?」

「さてな、それを決めんのはお嬢さんだ。どうだいお嬢さん、こいつの頑張りは? デートでもしてやってくれる気になったかい?」

「食事をおごってくれるのなら、付き合ってもいいぞ?」


 そんな場合ではないと思うのだが、幸二は歓喜を爆発させる青年を黙らせることができなかった。純粋にあっけにとられたということもあるが、同じ男として色々と思うところがあったことも否めない。ほんの少しだけ羨ましいと思ってしまった。


「さて、んじゃデートのためにも、絶対にお嬢さんにゃ逃げ切ってもらわないとな。騎士連中は表通りの方で集まりだしてる。直に乗り込んでくるぞ」

「なら、こっちは裏口からこっそり逃がすまでだ。お嬢さん、俺についてきな」

「…かさねがさね、かたじけない」

「すまないが、我々も同行していいかね? まだ彼女とおしゃべりの途中なのだよ」


 店主の訝しげな視線が幸二と柚木を撫でまわした。しかしライラがそれに同意を示すと、どこか諦めの色が見える苦笑を浮かべる。ライラの背を追うように、幸二は柚木と共に店の奥、厨房に備え付けられた所謂勝手口から裏通りへと飛び出した。建物と建物の間にできた隙間はお世辞にも広々とは言えないが、二、三人が横に並べる程度の幅はある。


「御店主、世話になったの」

「何、あんたがいてくれたおかげで、うちもここしばらくは大黒字さ。礼を言うのは俺の方さ」

「機があれば、また頼むぞ?」

「またの御来訪、心よりお待ち申しております」


 芝居がかった一礼をした店主はそのまま裏口を閉めかんぬきをかけた。それを見届けて、三人は早足で、しかしできる限り人目を引かぬような速度で歩きだす。


「それでライラ女史。行くあてはあるのかい?」


 表通りに抜けると、歩みを緩めて人の流れに身を任せた。東京などの大都会のような人口密度はないが、それでも無理すれば紛れこめるくらいの人ごみはある。行きかう人々は様々で、ごく普通の農夫から屈強な冒険者とより取り見取り、よほどこちらを認知していない限り、発見は困難なはずだった。気を隠すなら森の中、少しだけ安堵の吐息を洩らす。


「ライラで構わぬよ。残念ながら、人間に知己は少なくての。せっかくだし汝ら、勧めの場はあるか?」

「ふふ、残念ながら私も友達が少なくてね。とはいえ、隠れられるところに心当たりがないわけでもない」

「――おい、柚木姉!?」


 思わず驚きの声を上げ、幸二は慌てて口を閉ざした。さっと周囲に視線を廻し、誰もこちらに注目していないことを確認すると、幾分トーンを落とした声音で柚木に詰問する。


「一応聞くが、それは俺たちの隠れ家のことを言ってるんだよな?」

「勿論そうだが? 何だい、こー君は反対なのかな?」

「いや、そうじゃない。俺も追われてる人を放っておくのは良くないと思う。でも、いいのか?」


 この「いいのか」という言葉には、様々な意味合いが込められていることは今更説明するまでも無いことだった。柚木もそれを正確に察知し、苦笑する。

 このままライラをエンバル王太子に合わせていいのか。彼女を連れていくことで、騎士たち――ルブルン大公派に発見されるリスクが増えるのではないか。

そもそも、あまりにもタイミングの良すぎる騎士襲撃、この逃亡劇自体が実は何らかの罠なのではないのか? 考えるだけで溢れだしそうな疑念が幸二の中でぶすぶすと煙を上げ始めた。


「ま、なるようになるんじゃないかな。…ただ、その心配は――帰ってからした方がいいようだね?」


 ざわりと、空気が揺れた気がした。

 歩みを止めたのはほぼ三人同時である。いや、一人、また一人と表通りを行きかっていた人々の足が石灰で固められた。和やかな潮騒は困惑の前奏へとまたたく間に姿を変える。やがて完全に硬化を起こした動脈は、それを起点としてコロセウムのような人垣を形成した。


「念のために聞くが、君が主人というわけではないよね?」

「残念ながら、妾の所持品にあんな可愛らしいものはありはせん。持ち主に交渉して譲ってもらいたいくらいだの」

「てことは、あの時のって別口だったのか?」


 円状の空白を構成している人ごみにまぎれるように、三人は身を低めてそれぞれの獲物に手をかけた。街中で少々物騒であるが、幸いにして周囲の冒険者たちも臨戦態勢に移行しているらしく、むしろ背景に溶け込む事に成功している。ちゃきりと剣の鍔音が響き渡った。


「いやはや――どう考えても狙われてるね?」


 そう言って柚木は腰の双剣をなめらかに抜き放った。視線はコロセウムの中心、巨大な剣を軽々と担いだそれに固定されている。


「間違いなく、な。滅茶苦茶こっちを見てるぞ」


 それ――円らな瞳が可愛らしい、もこもこテディベアはその愛らしい姿とは裏腹に、歴戦の将のごとき貫禄を以てその場に鎮座していた。うっすらとだが四肢を結ぶ糸を見る限り、間違いなく先日城を襲撃したクマと同一のものであろう。してやられた仕返し、というわけではなかろうが、明らかに幸二たちに対して殺気らしきものを振り向けていた。

 しばし、緊迫感に包まれたにらみ合いが続く。困惑をささやきで表していた通行人らもその空気に呑まれたのか次第にその声を落としていった。誰かが唾を飲み下した音が、異様に大きく響き渡る。

 ライラはぞろぞろと集まりだし、武具に手をかける数多の冒険者たちを見てほんの少しだけ意外感に襲われた。

 本来冒険者というものは基本的に無頼の徒である。自身の種族上、彼らにつけ狙われることの多かったライラはそのことを骨身にしみていた。ゆえに、冒険者には常ならば依頼がなければ例え死人が出ようとも厄介事になど振りかえらぬ人物が数多い。

 にもかかわらず、数多くの冒険者がこの場に参集している。まるで――何かに引き付けられるかのように。


「う――おあああああああああ!」


 薄氷の膠着をひび割ったのは一つの雄叫びだった。若い――下手をすれば自分より年下とも思える少年が顔を真っ赤にして剣を振りかぶりながらテディベアに肉薄する。

血走った彼の後ろから「馬鹿、落ち着け!」という叫びが投げかけられた。壮年の男が伸ばした手は何かをつかむように虚空に流れ、その顔は焦りと後悔で彩られているようだ。男は舌打ちし、握っていた両手剣を構えながら少年の後を追う。

 若い冒険者は血走った瞳をクマ人形に据え、がむしゃらに剣をふるって攻撃を加えた。二撃、三撃、しかしただ力にまさせたその剣戟はクマによって構えられた巨剣の前にたやすく遮られる。四撃、五撃。まるで稽古の的のごとく打ち付けられようと、あの可愛らしいもこもこは小揺るぎもしなかった。少年の顔に焦燥がにじむ。


「――不味いっ」


 変化は唐突だった。今の今まで無抵抗に若い冒険者の剣を受けていたクマは、ぶおんとものすごい風圧をまとわせながら己の獲物を横に一閃させたのである。幾分距離があるはずなのに、何故か少年の恐怖にひきつった顔がくっきりと見えた。それでも彼は、巨剣の一撃を受け止めんと鋼の牙を正面に構え――あっさりと吹き飛ばされる。

 体制を崩し、あわや地面にたたきつけられんとしたその瞬間、幸二は全霊をもって駆けだしていた。土煙を舞わせて滑り込むと、若い冒険者の身体を思い切りつかんで思い切り足を地面に突き立てる。全身を揺るがす衝撃を、地につけた足の裏とサッカーで鍛えた自慢の脚力で押し殺し、けれど勢いを殺しつくすことができず尻をしたたかに打ちつけた。

すり剥けそうなほど痛かった。少し涙が滲みんだが、このくらい桜婆の摂関に比べたら何ほども無い、と自分を奮い立たせる。はっ、はっ、と荒い息を付く少年を抱えながら立ち上がった。彼を保護者と思しき壮年冒険者に預けると、幸二は改めて剣を抜きテディベアの襲撃に備える。


「まったく、こういうときは目立たないのが鉄則なんだがね。ま、仕様がないか」


 にび色の線が二つ走るとともに、堅い金属音が連続して響き渡った。長い黒髪が翼のように広がり、軽やかな体躯が自分のすぐ隣に着地する。


「柚木姉!」

「さて方々。用意はいいかい?」


 くすくすと楽しそうに笑う幼馴染は、クマと取り囲んで一斉に武器を付きつける冒険者たちに問いかけた。返事は、応! といういささか以上に気合の入った声があてられる。


「では、ささっと片付けてしまうとしよう」

「――ああ!」


 幸二は大きな頷きを返し、魔力剣を片手に思い切り大地を蹴り飛ばした。




 ★★★




「やれやれ、ここで飛び出していくのか。けど、此処で行かなきゃこー君じゃない、のかな?」


 わき目も振らず若い冒険者へ突っ込んでいった少年を見据えながら、その相方は色濃い苦笑を洩らした。肩をすくめてその艶やかな黒髪をいじくり始める。


「ふふ、良き若者ではないか」

「否定はしないよ」


 でもできれば、事前の相談という行為を覚えてほしいものだけど。柚木の呟きから、ライラは微笑み以外の感情を読み取ることができなかった。そのことに、ほんの少しだけ違和感を覚える。

 何だろうか。ライラは小首を傾げた。この少女から発せられる気配、そこに混じった微妙な不整合は。困っているわけではない。苛立っているわけでもない。喜んでいるわけでもない。あふれ出る感情の支流はひどく透明なのだが、その水流は驚くほど荒々しく力強かった。まるで、川底に沈殿する汚泥を覆い隠さんとしているかのように。


「それで、汝はどうするつもりなのかの?」

「事ここに至っては、こー君を手伝うしかないよ。そのあとは、行き当たりばったりだね」

「罠だとわかっても飛び込むか。難儀よの」


 柚木にもわかっているのだろう。あのクマ人形がこちらを一か所に引き付けておく餌だということに。より正確に言うならば、引き付けた場所へ城下中で自分を探しているこの国の騎士たちを釣り上げるための餌だが。


「何からのからくりがある、というわけかな? まったく、魔術って便利だね?」


 おそらくは、あの人形には人を惹きつける何らかの魔術が組み込まれているのだろう。あるいはあれ自体が神代の遺物かもしれない。


「やれやれ、本当はもっと詳しく話を聞くつもりだったのだけどね? 残念だよ」

「ま、縁があればまた逢うこともあるだろうさ。しっかり探して、見つけてくりゃれ?」

「その時は、お茶の一杯でも奢ってもらおうかな」

「…手伝えとは言わんのだな」

「言って協力してくれるのならいくらでも言うけど、無理とわかりきっているのなら無駄な手間だろう? 些細な一言で人間関係――ああ、失礼――なんて簡単に壊れるし、なら何もせず次に生かした方が百倍ましというものだよ、君」


 黒髪の少女はくすりと微笑んで、腰の双剣と共に駆けだしていった。その後ろ姿を苦笑して見送ると、饗宴の場から踵を返す。

 あのクマがどこの手先かはわからないが、明らかに自分もしくはあの少女たちに友好的とは思えない存在だということは察せられた。そしてこのままここに留まれば、さらなる面倒事に巻き込まれるということも。はっきり言って今はそんな厄介事を抱えられる身の上ではないのだ。

 そういう意味では、あの少年たちの素直な行動には好感と同水準の呆れも抱いていた。若さゆえに突出してしまった若者を我が身も顧みず救い出す、なかなかできる事ではないが、その結果生じるであろうしわ寄せはおそらく並みのものではあるまい。竜はその強力すぎる種族特製上、技術や文明というものを軽視しがちであるが、それでもあのクマ人形に込められた魔力の精巧さは認めざるを得ないほどのものだ。それを難なく、しかもそれと察知させることなく操る術者だ。只者であるはずはない。

 見たところ、柚木の方は確実にそれを察していたと思う。ひょっとすると幸二の方もそうかもしれなかった。にもかかわらず、ああもあっさり飛び込むとは。


「はてさて、馬鹿なのかそうでないのか…。ま、お人よしなのは確実だの」


 他人事のように呟き、苦笑する。実際他人事だった。もし全てが終わり、互いに生き残っていたならば茶の一杯くらいは奢ってもいいかもしれない。そんなことを考えながら輪から脱出しようと人ごみの間を縫おうとして――


「………ちょっと待ておい。あれってひょっとすると――勇者様じゃないか?」



 足が、止まった。



「はっ? 勇者様って……マジか!? …いやいや、こんなとこに勇者様方がいらっしゃるわけねえだろ?」

「でも間違いねえよ! 俺、わざわざゼルドバールまで見に行ったんだぜ!? あのお二方は双竜の勇者様だよ! 絶対!」


 群衆から今までのものとは異なるざわめきが生まれ始めた。形容しがたい困惑の空気がより先鋭化される前に、ライラは一番初めに驚愕の声を上げた男に近づき問いただす。問いかけられた若い男はライラを見るなり「ひっ」と悲鳴を上げた。自分でも顔が引きつってすごいことになっているだろうことは自覚していたが、そこまでおびえなくてもいいと思う。仮初の姿とはいえほんの少しだけ傷ついた。


「確かか?」

「ふへっ!? な、何が?」

「あの二人が勇者と、それは本当に確かな事なのかと聞いているのだが」

「え、あ、ああ、ああ! 間違い、ない」


 そうか、と呟いてライラは男を解放した。彼は戦闘状態でああるにもかかわらず、ぺたりと腰を地面におろしてしまう。弓師風の女性に助け起こされているのを視界から外すと、竜の女はこの騒乱の中心地で舞い踊る二人の若者らを凝視した。ふつふつと湧き上がるような激情が理性の堤防を破壊して、瞬く間に顔全体の筋肉を感情の忠臣へと変えてしまう。

 犬歯が剥きだされ、抑えきれぬほどの熱が腹にたまった。即ち――歓喜。


「く、くっくっく………何とまあ。あまり好かん言葉だが、これを運命というのかの」


 何たる偶然。何たる僥倖。まさかこんな所で会えるなんて。ライラはローブの下に両手を突っ込むと、わき目も振らず人垣のコロセウムへ乱入した。懐から取り出した金属製の鉤爪をはめる。

 幸二の力強いであろう連撃をその巨剣で受け止めきったクマは、ほんの一瞬だけ垣間見えた技後硬直をすり抜けるように剣を突き立てているところだった。少年の端正な顔に、わずかな焦りの色が交り始める。鋭い大刃が切り返される刹那、ライラは渾身の力を以て鉤爪を大きく横に振りかぶった。


「っ、ライラさん!?」


 ため息が出そうなほど華麗なステップで交代したクマを見据えながら、幸二が驚愕の表情を浮かべた。とん、と軽やかな着地音を鳴らす柚木も、少しだけ目を丸くして竜の娘をまじまじと見つめている。


「どういう風の吹きまわしかな、君? 協力する義理なんてないと思っていたんだけど」

「ちと事情が変わっての。汝らに手を貸さざるを得なくなった」


 きらりと、爪に陽光が反射して目を焼いた。クマがこちらを警戒するようにじりじりと間合いを確かめるように全身を開始する。横薙ぎにされた巨剣が風圧を巻き起こし、ライラの髪を後ろになびかせた。


「さ、とっとと潰して楽しい茶話といこうかの。ちなみに、妾は甘いものも大好きだ」

「ふふ、了解した。こー君がお腹いっぱい食べさせてくれると思うよ」

「ちょっと待て柚木姉。俺今手持ちないっていうか路銀すらないぞ!?」


 手を出しあぐねていた冒険者たちが何故か苦笑している。どこか軽いノリの会話を楽しみながら、ライラは一気にクマの懐へと潜り込んだ。爪先に込められた魔力が光の弧を描き、突如として宙に浮かびあがった三日月はそれ自体が鋭い刃となってクマめがけて飛来する。切りつけられた人形は身をひねってそれをかわすが、その先には刃に闇をまとわせた黒髪の少女があった。

 鋭い呼気と共に二振りの剣が八の字をなぞる。ぷつりと、何か張りつめていたものが断ち切れた音が響いた。それと同時に幸二の剣と、その後ろから飛来した女冒険者の矢が人形に降り注ぐ。

 左腕をだらりと垂らした状態のクマはもう片方の腕で矢をたたき落とそうとしたが、とうとう幸二の剣筋に捕まってしまったのか、再び糸の切れる音が右腕より上がった。がらんと重い金属が大地と抱擁を交わす。


「多勢に無勢だが、文句はないよな。先に手を出してきたのはそっちなんだから」


 唇の端を釣り上げて幸二はクマに剣を突き付けた。しかしその目は決して笑ってはおらず、油断の焔をかき消す氷水を虹彩奥深くにたたえている。ライラはその様子を見て彼への好感を強くした。


「…………」


 両腕の自由を失ったであろうクマはくるりと身体全体を回転させて周囲を睥睨した。つられるようにライラも彼(?)を取り巻く状況を確認する。多くの冒険者がそれぞれの獲物を構え、じりじりとその包囲網を狭めていく光景が見えた。

 クマの人形はしばしの間人でできた籠を眺めていたが、やがてふわりと羽が舞うように中空へとその身をたゆたわせる。「逃げる気か!」冒険者の誰かがそんな言葉を投げかけた。それに対する返答は、少なくともクマの方からはなかった。


「何の騒ぎだ!」


 まるで彼(?)の代役を担ったかのように、野太い声が場を睥睨する。すっと声のした方へ視線を滑らせると、輝くような銀の鎧をまとった男たちが数人、人の輪をかきわけるようにコロセウムへ乱入しようとしているのが見えた。


「騎士団の連中だ……」

「遅いのよ、ったく」


 冒険者たちから洩れる台詞を拾い上げると、ライラは素早く勇者たちの隣へと移動して囁くように彼らの耳元へ唇を寄せた。


「で、どうするのかの?」

「どうするもこうするも……どうしようもないね?」

「力ずくで突破――ってわけにもいかないしなぁ」


 騎士たちの中でもとりわけ年かさ――といってもせいぜい壮年に届く程度なのだが――の男が寄り集まる自分たちに目をとめた瞬間、瞳を思い切りむき出した。次いでそのまなじりを釣り上げると、人の壁をかきわけて一心に舞台の中心へと切り込み始める。

 最初、ライラは自分の姿が見とがめられたのだと思った。もしそうだとしたら、ここは一度勇者たちと別れて自分だけ強行突破し、しかる後に彼らと合流するのが現状最もいい案かもしれない。しかしその考えは騎士の視線をたどるうちに焼却された。

 彼らが見ていたのは自分ではなく、幸二と柚木。勇者に振り向けるにはいささか以上に動揺の濃い眼差しを感じ取り、ライラは思った以上に事態が空中三回転腰ひねり体制であることを明確に悟る。


「…お初にお目にかかります、勇者様」


 顔色を真っ青に変えている騎士たちの中で、壮年の男が恭しく礼を取った。その瞳は動揺で濡れる彼の部下――だろう、おそらく――とは明らかに一線を画すがごとく、強い警戒の焔が揺らめいている。


「このようなところでご尊顔を拝せますこと、真に望外の喜びではございますが、まずはこの場にてお会いしたことの御事をば問わせていただきたい。…どういう意味か、お分かりくださいますな?」

「さて、残念ながら心当たりがないのだがね。ここにいた理由は、単なる買い物だよ、君」

「……御答はいただけませぬと、双方にとって非常に悲しむべき事になりましょうが…よろしいか?」

「ほう、どのようなことになると?」


 返答はない。けれど彼らを取り巻く緊迫感が全てを代弁していた。騎士たちは剣にこそ触れていないが、明確に二人の退路をふさぐよう陣形を整える。壮年の男以外の連中は今にも気を失いそうなほど顔を土気色にさせていたが、それでもその動きには微塵のぶれも存在しなかった。まさに一触即発である。ちらりと横見すると、人垣の層が徐々にであるが厚く変化しているのがわかった。道行く人間が何事かと足を止め、大体が息をのんでこちらを食い入るように見つめる。よくない傾向だった。

仕方ない、ここは自分が憎まれ役を買って出るか。内心だけで苦笑し鉤爪を構えた瞬間、何の前触れも無く空気の質が文字通り一片した。


「なっ、これは!?」


 唐突に視界が白い靄に遮られる。とっさに鼻と口をかばうが、わずかに吸った霞の匂いからすぐさまこれが身体に無害であることを理解した。重く冷たい、それでいてひどく水気を含んだこの霧は。


「水蒸気? ……いや、これは魔術か…?」


 かすかに漂う甘酸っぱい香り。魔力を使った際に醸し出される魔素の証を鼻に感じ、ライラは小さくつぶやいた。


「蒸気ということは水の魔術……もしや、モニカか?」

「柚木姉、今のうちに」


 すぐそばにいるというのに、二人の様子すら垣間見えぬほどの濃霧である。しかし人より数倍鋭敏な感覚を持つライラは、声や体温で辛うじて勇者たちの居場所を察知することができた。

今の会話だけで、大まかな見当はついた。おそらく、モニカという名の彼らの仲間が援護してくれたのだろう。どうやら別行動を取っていたようだが、この騒ぎを見とがめて駆けつけてくれたらしかった。柚木から、どこか苦笑している雰囲気が伝わってくる。

 ライラは二人の両手を握ると包囲網の突破を試みた。突然の水蒸気に困惑している冒険者たちの間を縫うようにすり抜け、霧を抜けた瞬間すぐそばにあった裏路地へ身を滑り込ませる。

 そのまま立ち止まることなく右へ左へ細道を抜け、ある程度あの場から離れたことを確認すると両の手を開いて彼らを解放した。


「ここまでくれば、大丈夫だの」


 思わず安堵の吐息が漏れる。彼らに捕まらなかったことにではない。勢い余ってあの場の者たちを殺さなくて済んだ事に対してである。


「今頃、血眼になって私たちを探しているだろうね。…ま、クマの方に関しては本当に負けたかどうかわからないけど」

「……嫌なこと言うなよ」


 それはそれは面倒そうに端正な顔をしかめた少年は、おそらく無意識的に首を振って辺りを見回した。今のところ、あの人形らしき姿も気配もないようである。


「さて、色々あったけど――とりあえず、ありがとう。正直、君が助けてくれるとは思っていなかった」

「ああ。俺からも礼を言うよ。本当に助かった、感謝してる」

「何、そう畏まられるようなことではないよ。妾には妾の目的があった。それだけのことよ」


 改まった顔を見せる柚木たちに、ライラは噴出しそうになるのをこらえるように手のひらで口元を覆った。実際のところ、彼らを助けたのはそれがこちらの目的に合致しているからであって、もし二人が勇者という地位になければ彼女は平然と見捨てていたことだろう。本当に礼を言われる筋合いはない。


「ふむふむ、目的ね。別れた時は、そんなそぶりを見せなかったのに?」

「あのときは、汝らが勇者だと知らなかった。それ故だよ。…念のため訊ねるが、本当に汝らが今代の勇者なのかの?」

「ま、残念ながらね」


 柚木と幸二が同時に苦笑した。その顔からは、自らが救世の勇者であることへの誇りも奢りも一切感じない。ただどこか、なってしまったものは仕方がない、といった諦観混じりの覚悟が見受けられる気がした。


「なればよし。此度の我が目的は汝らの旅路にもかかわる重要なこと。是非、妾の話に耳を傾けてほしい」

「…この場では少々落ち着かない。それとわかっているとは思うが、私たちにはもう一人中間がいる。もっと落ち着いた場所で彼女を交えた形で話を聞きたいのだけど。いいかい、君?」

「うむ、異論はない」


 柚木の目配せにライラは間髪いれずに頷いた。どのみち長い話になるのだ。ならば比較的安全な場所で話した方が効率はいいし、後でもう一人に最初から話すというのも二度手間である。竜の娘は先導する幸二に付き従って、再び城下の雑踏へと足を踏み入れた。ぱたぱたと表通り前方から駆けてくる、美しい金髪の娘と見覚えのある侍女の姿に苦笑しながら。



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