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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第7章 ミステリーオブラウンズ
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91話 あなたは真実にたどり着けますか?ーYES

「出せ!ここから出してくれ!……魔女様!いらしたのですね、話を聞いてください!」


確かに激しく取り乱すペドロさんがそこにはいた。彼に割り当てられた部屋は、俺たちの部屋と比べたら多少狭いものの、それでも豪奢の域を出ず、高そうな調度品もいくつか飾られている。そんな部屋に閉じ込められ、部屋の前には二人のお兄さんの部下らしき人達が立っていた。


「えっと……ここが狙われているという事でしたが、具体的に伺っても?」


「は、はい!実は、今回の会議に先立って個人的に周囲の警戒をさせていたのです。しかし見張りとの連絡がつかなくなり、最後に残されたのが『聖ケトラコル城から逃げて』と言う言葉だけ……誰かに狩られたと見て間違いありません!」


「……政治的な敵、と言う線は?」


「私が今回の警戒を頼んだのは、信頼できる筋の者です。彼らを凌ぐ能力を持つとなると、マテリアの三勇者やそれこそ魔女様でないと……」


「そんなのを連れてこられるわけがない……という事ですね。ここに来て第三勢力の登場ですか……厄介ですね」


監視のお兄さんが溜息をつく。


確かに、実際かなり厄介だ。この時点で、この城の周辺には殺人犯、謎の第三勢力、そして世界のトップたちが集まっているということになる。既に死んだおっさんはともかく、もしも王族が死んだりすれば大問題になる。


「第三勢力については……ヨミ、出番だぞ」


「……あ、あぁ!任せておけ!」


久しぶりの出番すぎて気を抜いていたのか、一拍遅れて返事が来る。


「とりあえず周辺の確認だ。マテリア王の許可出てるんだし、それくらいなら大丈夫ですよね?」


クロノ夫妻の方を振り向くと、二人してウインクしながら親指を立てていた。仲良いなあんたら。


「一応僕らも周辺の警戒はしてますが……ペドロさん、最後に連絡が途絶えたのはどこかとか分かります?」


「分かりません……しかし、あなた方の警戒網に引っかかっていないということは、もう少し離れた場所なのでしょう」


「ってな訳でヨミ!行ってきなさい!」


「心得た!早速行ってくる!」


すごい速度で出ていった。余程見せ場に飢えていたのだろう。


「だ、大丈夫なのですか?いくら魔女様のお仲間とはいえ……」


「大丈夫、あいつは肉弾戦なら世界最強だ」


「魔法を撃たれたら?」


イレーヌからの疑問が飛ぶ。


「一発は防げる。今回も魔石渡しといたし」


「ふむ、それは面白いですね。その魔石とやら今度見せてくださいよ」


「暇な時にな」


何故かちょっと興奮しているイレーヌを適当にあしらいながら、考えを巡らせる。


これで第三勢力とやらは、全壊とは行かずとも半壊くらいはするだろう。残る問題は殺人犯だが……これが全く分からん。


そもそもどうやって殺されたかが分からないのが一番痛い。凶器か死因の特定でも出来れば話は早いんだが……


「ねぇリン、ちょっと気になったんだけどいいかしら」


と、突然ソルスが声をあげる。


「どうした、なんかあったか?」


視線がソルスに集まり、珍しく少し緊張した面持ちでソルスが話し始める。


「うん、今更なんだけど……最初死んでたおじさんの部屋って、魔力の痕跡が全く無かったらしいじゃない?」


「そうだな」


皆がうんうんと頷く。


「それっておかしくないかしら?」


…………なるほど、そういう事か。


「あのおっさんの体内にだって、少なからず魔力が存在していたはずだ。死後二十四時間が経過したとはいえ、部屋のドアが閉め切られていたことを考えると、廊下の神器に吸収されたとも考えづらい……」


「メリルちゃん、さっき言ってたわよね。廊下のやつみたいに、魔力を吸収しちゃう…………」


「呪い……」


「「「……呪い?」」」


頭が足りない三人衆がハモる。頭が足りない三人衆とはもちろん俺、監視のお兄さん、ペドロさんである。


「私たちが使う魔法の亜種のような物です。魔物が発展させてきた特殊な魔法体系……と言い換えることもできますね。最近の研究で分かったことなので、リンくんが知らないのも無理はありません」


ほぅ、そんなものがあったのか。確かに魔獣とか魔物の攻撃って、魔法には見られないような物があったりするしな。真竜族たちが用いる特殊な魔法がいい例だ。


「その呪いは魔物の中でも珍しいもので、扱えるのは高等な魔物位だということですが、確かにそのような魔物なら、変身するような魔法が使えても不思議ではありませんね…………どうですか、怪盗さん?」


メリルの鋭い視線がイレーヌに突き刺さる。いや、イレーヌは違うって…………そういえばこいつに言われたことをそのまま信じてただけだな。そりゃこいつが殺してそうかと言われたら殺してなさそうに見えるが、実際ありえない話ではない。


対するイレーヌの面持ちは平静そのもので、にやにやしているように見える表情を崩さない。


「ふふ、お嬢さん…………私の変装を、魔法などと同一視しないでいただきたいですね。もしどうしても確認したいというのならば冒険者ギルドへ連れて行っていただいてもかまいません。で、ですからそう睨まなくても…………」


いや結構たじろいでた。


しかし、返答を受けたメリルの側もそこまで言われれば引き下がらざるを得なかったのか、不満げにしながらも矛を収めた。


そうなるとまた振出しに戻るわけだ。


くそ、情報が出ては推測は外れ、つながりの分からない点としての情報のみが溜まっていく…………もう一度整理しなおそう。


まず事件直前に被害者の部屋を訪れたのは、ノーラさん、ペドロさん、そしてカウセルさんの三人。一番最後に被害者と出会っているのはノーラさんだ。そう考えると犯人はノーラさんしかありえないが、何分証拠がない。

しかも、ノーラさんが部屋を出た後に被害者が生きていたことがSPさんによって確認されている。ここが虚偽の情報であったりすれば話は早いが、証言を同じくするSPさんが数多くいることからも嘘とは思い難い。

そして部屋に魔力の痕跡を確認できなかったこと、カーペットについた血痕…………


ん?


何か一つ忘れている気がする。


「そういえばメリルさん、その呪いってどうやって使うんですか?魔力を吸収するだけなら魔法にも似たようなものがあった気が…………」


ユリアがメリルに問いかける。


「それは『吸収』の魔法ですね。吸収は手から触れた生物の魔力、不足すれば生命力を吸い取る魔法ですが、その呪いは手以外にも付与できるそうです。そして吸収と最も異なる点が、付与してから発動するまでにタイムラグを作れるという点ですね。しかも付与時に魔力を消費するのみで、発動時には魔力は必要ありません。効果時間中であれば体に当たった魔法すらも吸収できるという、正しく私たちのような魔法一辺倒の役職にとって呪いのような効果を持つのです!」


ようやく自分の知識を正しくひけらかせるのがうれしいのか、やけに饒舌なメリルの説明を聞いていると、忘れていたことを思い出した。


「なあイレーヌ、こないだの尋問の時、なんでノーラさんの年齢聞いたんだ?」


あの時、こいつは確かにノーラさんの年齢を聞いた。そんなものは既に監視のお兄さんたちが調べていたので聞かなくても分かることだったのだが…………あの場で聞いたということは、何かしら意図があるはずだ。


俺の問いに対しては、先ほどのようにはたじろがず、にやにやしながら。


「ふふ、ようやく核心に近づいてきたようですね…………ええ、確かに私はノーラさんに年齢を問いました。その理由は…………」


「その理由は?」


「……………………教えません」


「………………………………」


「あぁぁぁ!やめてください!ちょ、仮面取ろうとしないで、盗みは私のアイデンティティーで……」


「うっせぇこの野郎!もったいぶらないで教えろってんだこら!」


「メリルちゃん、ユリアちゃん、いい?もし五百年生きたとしても、あんなのになったりしちゃだめよ?」


「「なりませんよ」」



「まったく…………仕方ないですね、どうせなら皆さんの力で気づいてほしかったのですが…………」


チラッとこちらを見てくる。とりあえず睨みつけておいた。


ぴぇっ、となんだかかわいらしい悲鳴を上げながら、イレーヌが口を開く。


「肌です」


「肌?」


先ほどから黙って話を聞いていたクロノが口をはさむ。


「ええ、ところどころ、違和感を感じる部分がありました」


「年齢と肌が合ってない、と?」


今度はオリアナ妃が口をはさむ。ほんと仲良しね。


「いえ、そういうことではなく…………いや、そういうことですね。ただし、『ところどころ』です」


なぜこうもぼかそうとするのか…………違う、ぼかしているわけではないのか。


「おや、気づかれたようですね」


相変わらずにやにやしているイレーヌがうざいが、これでようやく納得のいく道筋がたてられた。


「どういうことですか?さっぱりわからないんですが…………」


監視のおにいさんがお手上げとばかりにため息を吐いて見せる。その他面々も似たような顔をして見せていた。メリルあたりなら気づけそうなものだが…………ああ、メリルは血痕について知らないのか。


「気にすんな、すぐ教えてやるよ。お兄さん、城にいる皆さんを大ホールに集めてもらえます?」


「分かりました!ということは、そういうことですね?」


「ああ、そういうことだ」


皆が胡乱げな視線を向ける中、力強く、自信をもって、一言。


「今から、俺の推理ショーを開く!」


もちろん、麻酔針はなしで!



どうも、お久しぶりです。唸れ!爆殺号!と申す者です。ついに今章も終盤へと突入です。イヤー長かった。章を重ねるごとに伸びている気がします。最終章とかどうなってしまうんでしょう?

それはそれとして、ついに!総合ポイントが70を突破!そして総PVは12500を超えました!イェイ!これもひとえに読者の皆様のお陰です。もうすぐ百話にも到達しますし、この先も長いこと続いていきますが、どうぞご愛顧を賜りたく存じます。

それではまた、次回の更新でお会いしましょう…………

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