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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第7章 ミステリーオブラウンズ
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87話 あなたは探偵になれますか?ーYES

「最低ですわ!せっかくいい感じにことが進んでたのに、どうしてこんなところで詰まってしまうんですの!?」


「私に言われましても………………」


プライバシーゼロ 


俺たちのみ


監視あり


魔力吸収アリーナ………………ではない。もちろん聖ケトラコル城の相も変わらず俺と同じく清廉潔白な壁にももう慣れてきてしまったようで、あまり気にならないまま大ホール内でふてくされている俺。そんな俺に八つ当たりされるイレーヌ。そして俺たちを監視するお兄さんのことである。


「ま、最有力容疑者ですからね。これでもまだだいぶこっちの要求を汲んでくれてる方だと思いますよ?」 


至極まっとうなど正論を監視のお兄さんが返してくれる。今欲しいのは正論ではなく制限ない世界なのだが。                                                        


「それに何でこの方まで一緒ですの!?私世界的大犯罪者と同列とか嫌ですわ!!!」    


俺の言葉に不満でもあったのか、世界的大犯罪者さんが唇を尖らせながら口を開く。             


「仕方ありませんよ、なにせこれだけの大舞台で嵌められてしまったんですから。貴族殺しなんて大罪中の大罪ですよ?あなたの名前がこれだけ売れていなければ即刻処刑でしたでしょうね。あ、そういえば死なないんでしたっけ?」


「そうだよ不老不死だよ………………お、口調戻った?」


「口調も制御できないのに世界最強なんですか?」


またしても監視のお兄さんに正論を返された。やめろよそういうの友達減るぞ!                   


ま、お察しの通り。俺たちは今、監視の下全ての行動を見張られている。しかもイレーヌ・ペルンと一緒に。今まで散々聞かされてきた彼女に対する噂話は強ち間違いではないようで、今俺が気を抜けばこいつはすぐ逃げ出すだろう。かたやこっちは国一つ背負っている身、逃げ出せば何もかもが不利になる。クソ、なんでかわいい妹を守るためにやってきたのに妹に害をなす可能性のある人物より苦境に立たされてるんだ?


「そんなことより、今大事なのは俺の無実を証明することですわ。イレーヌでもないのなら、誰がやったのか今の時点では見当もつきませんけれど………………うおお口調うぜえ!何で微妙に治らないんだ!?」


「口調なんてどうでもいいじゃないですか………………そんなことより」


律儀に俺の後をついてくるイレーヌが、ふと真剣な雰囲気を纏う。


「いつから、気づいてました?」


なるほど、やはり変装には自信があったのだろう、見破られたのが結構堪えていたようだ。


「んー、そんな大げさなことでもないけど………………最初に違和感を感じたのは、二日目にあなたに呼び出された時ですわ」


「そんなことで、ですか?今後のためにご教授いただきたいのですが………………」


こいつ、既に逃げ切る気でいやがるな?


「なんか普段よりしっかりしてましたもの」


「えぇ………………」


おっと、流石のイレーヌも予想だにしなかった答えのようだ。ドン引きの表情でこちらを見てくる。まあ目元が見えないので確証はないが。


「それにヨミは先端恐怖症だからな」


「いや、でも彼女は忍びですよね?しかも小刀を持ち歩いてたハズ………………」


「あいつ、自分の持つ刃物だけは視界に入れないようにできるらしいですわ。努力もこれだけベクトルを間違えられると可哀そうですわね」


「………………なるほど、つまり」


「相手が悪かったですわね!」


そもそも家の多様性を履き違えたアホの巣窟みたいな集団のうちの一人に化けようだなんてのが無謀なのだ。


「それにあなた、一昨晩の夕食の時に食べ物を遠慮してたでしょう?」


「え、ええ。流石に気持ち悪かったので………………」


「ヨミなら間髪入れずに食べるぞ」


「………………………………」


おお、ついに黙りこくった。ま、そうだろうな。いくら他人の模倣ができても体ごと他人に成り代われるわけではない。あくまでも彼女は人間であり、この会議が開催されると触れ回り始めてから一月も経っていないのだ。完璧に準備できていなかったのだろう。


「なるほどなるほど、魔女様のお仲間のヨミさんはポンコツで先端恐怖症で大食らい…………と」


突如紙とペンを取り出した監視のお兄さんがこんなクソどうでもいい情報をメモしていく。


「な、なにしてるんですの?」


「へ?あぁ、これですか?一応これでも殺人容疑がかかってるんで、諸々の発言は記録させてもらってます。なので今後イレーヌさんが今の魔女様のアドバイスに従ったとしてもこっちは対策可能です」


「アドバイスとかじゃないですマジで!尋問…………そう、誘導尋問です!決して悪事に加担するような人間じゃないです本当に違いますからぁぁぁぁぁぁぁ!」


先ほどの発言は決してイレーヌに肩入れしているわけではないと全力でアピールする。具体的にはお兄さんの足に縋り付いてガチ泣き。傍から見たらヤバいやつだし内から見てもヤバいやつ。


「お、落ち着いてください!こんなことで慰めになるかどうかわかりませんが、僕は魔女様を疑ってませんよ。まあ僕個人の意見ですので、上の組織の意思が変わらなければこのまま魔女様が犯人になると思いますけどね」


どうして一度上げといて落としてくるのだろう。DV彼氏か?


「でもこうしてある程度の自由を与えられてるってことは、やっぱり魔女様を恐れてるんじゃないですか?下手うった時に魔女様がどう動くか分からないからこうして慎重になってるんだと思いますよ。ですから………………」


お兄さんは、まるでいたずらっ子のような無邪気な笑みを浮かべてささやいた。


「真犯人、僕ら三人で見つけちゃいません?」



俺は破創の魔女、鈴木凛。かわいい妹で真竜族のアリアと一緒にルーセリア聖王国に遊びに行って、ギルフォード・テスタロッサなるおっさんの死体を目撃した。


衝撃に呑まれ叫んでしまった俺は、この状況が最悪にまずかったことに気づかなかった。俺はその場で事情聴取され…………殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまっていた。


俺がこのまま犯人として捕まれば、アリアの努力も無駄になりドラゴニアにも危害が及ぶ。


監視のお兄さんの助言で真犯人を探すことにした俺は「まずは現場の確認だ!」と言ってイレーヌとお兄さんを引き連れ、真犯人の情報をつかむために父親が最近死んだギルフォード・テスタロッサにあてがわれていた私室に転がり込んだ。


女になっても頭脳は同じ!事件なんて関わったこともないから、迷宮なしの名探偵!真実はいつも一つ!




………………と、某名探偵の口上を拝借して啖呵を切ってしまったわけだが。


「なんか………………何の変哲もないな」


「そうですね…………僕らの方でも色々捜査してるんですけど、あまりにもおかしなところが少なすぎるんですよ」


お兄さんの言う通り、ギルフォードの部屋には、死体が倒れていた場所を囲うように魔法で白線が付けられているくらいで、部屋もあれておらず、血液が付着している………………なんてこともなかった。


「死体の様子はどうでした?」


イレーヌが口をはさむ。なんだかんだで普通に協力してくれてるなこいつ………………


「先ほど鑑識の方が言っていたんですけど、どうやら死体にもほとんど異常は見られなかったそうです。首に痕は無いし、体に傷もなく…………」


つい数時間前、俺はソルスをつれて部屋へと向かい蘇生を頼んだのだが、ソルス曰く「あぁ…………ダメね。このおじさんは死後二十四時間が経過しちゃってるわ。蘇生の魔法は二十四時間以内じゃないと効果が無いのよね」とのことだ。おかげさまで死亡推定時刻も、一昨日の夕食時から、今朝七時の二十四時間前………………つまり昨日の朝七時までの間となった。つまり今朝の俺が犯行を行っていないことが明らかになったわけだが………………それでもなお俺が犯人扱いされていることから分かるように、犯人の見当がつかないのだ。目撃者の情報から、彼の部屋に訪れた人物が、俺を含めて数人いることが分かったのにもかかわらず、だ。


「じゃあ、まずはほかの容疑者を調べに行くとしましょうか。監視のお兄さん、ちょっとお偉いさんにいって容疑者と話をさせてもらえませんか?」


「いや…………流石に厳しいと思いますけどね………………」


珍しくお兄さんが言葉尻を濁す。


「魔女様、今のあなたは殺人容疑で監視されてる存在なんですよ?そうやすやすと話が通るわけ………………」


「通るよ」


唐突な第三者登場!驚いて振り返ってみると、我らがマテリア王国の国王、マテリア・ネスト・クロノの姿がそこにあった。その隣には、どことなくソルスににた色味のお姉さん…………多分王妃のオリアナ妃であろう女性が、ただならない存在感を放ってこちらを見ている。


「大変なことになっちゃったね………破創の魔女くん。調子はどうだい?」


「最悪ですよ…………殺人犯に仕立て上げられるわ世界的犯罪者と同列に扱われるわで困っちまいますよ」


「マテリアの国王夫妻…………これまた巨大権力と関係をお持ちなのですね」


流石にビビったのかイレーヌがつぶやきを漏らす。


「そうでしょそうでしょ?だから…………ちょっとだけ、お手伝いさせてもらっちゃうよ」


「うぇ!?いいんですか!?でもなんで………………」


「何でって君、心からの善意に決まってるじゃないか。君はドラゴニア代表の一員としてここに来てるんだろ?なら、同盟国を助けるついでに、僕らの頼れる()()を助けたいと思うのは普通じゃないかい?」


うーんなるほど、心からの善意とはよく言った物だ。しかし、ここで見事俺の望みを果たして見せるのだから恐ろしい。この親にしてあの子あり…………ってか。こりゃマテリアは数千年は安泰だな。


「と、いうわけで。色々話は通しといたから、そこそこの権限は君たちに付与できるよ。もしまた何かあったら頼ってね。それじゃ~」


まるでちょっと友人のバ先に立ち寄ったくらいのテンションで帰っていきおった………………


「………………魔女様の交友関係はどうなってるんですか?」


監視のお兄さんも流石に正論以外を発さざるを得なかったようだ。今度は俺が正論をお見舞いしてやるぜ!


「分かんない………………」

どうもお久しぶりです。唸れ!爆殺号!と申す者です。まあ相も変わらず激遅投稿ですがお許しを…………ここらでようやく第7章も佳境に入ってきました。ついにイレーヌの正体が明かされたと思いきやリンが某名探偵になってしまいましたね…………正直自分でも何言ってるか分かりません()                 恒例の謝辞コーナー。新規ブクマ一件頂きました!ありがとうございます!そして総PVがついに一万目前です!もう二桁PVで到達です!もう先にお礼言っちゃいますありがとうございます!                  というわけで、色々大きな節目を迎えますが、今後も超不定期激遅投稿が続くと思いますがお許しください………………それではまた、次回の更新でお会いしましょう………………

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