85話 あなたは何を見つけましたか?ー………………
めちゃくちゃお久しぶりです、唸れ!爆殺号!と申す者です。この度は私的な忙しさによる怠慢から前回投稿から二か月もの間が空いてしまい、大変申し訳ありませんでした。一応忙しさは落ち着きましたので、また以前のような投稿ペースに戻せると思います。まあもともと月一みたいな感じでしたが()
前置きはこれくらいにしておいて、それでは早速本編のほうに行っちゃってください!
そんなこんなあったが結局なんのヒントも見つけることができず、怪しんでいたマイルさんも酔いつぶれているところを他の客の従者に運ばれてきたので、諦めて寝ることにした。
………………もちろん、嘘である。
アリアとグレイが眠りについたのを見計らい、部屋に敵意を持つ者を拒む結界をかなりの魔力を込めて張り、俺はこっそり部屋を抜け出した。
◇
「さて、それでは向かうとしましょうか………………」
相も変わらず、不気味なほどの白い壁に反射した火の光が左右から照らす廊下を寝巻きで進む。既に季節は秋だが、少し暑さが残っている。夜半にも関わらずぬるい風が、等間隔に開けられた窓から優しく吹き込んでくる。
こういう雰囲気はあまり好きではない。というか皆好きではないだろ、今にも幽霊が出そうな感じだぞ?おどろおどろしいとでもいうのだろうか。いや、まあ真っ白な壁のせいで不自然なほどに明るくはあるんだけど。
皆が寝静まる中を、誰か起こしてしまわないようにゆっくり歩く。とは言っても、この時間帯に眠りの浅い者などかなり少ないだろう。守衛はいるが夜中の外出は禁じられていないし、特に咎める者もいないのでもう少し気を払わず行動してもいいかもしれない。
そんなこんなを考えているうちに目的地へとたどり着いた。
ヨミの部屋である。
「ヨミ、私ですわ。開けていただけませんか?」
扉を軽くノックしながら呼びかける。
「………………」
返事がない。ただの屍のようだ………………と、ふざけている場合ではない。
想定はしていたが、まさか当たってしまうとはな………………
しかし、もし俺の推理が当たっているのなら今ここにもう用はない。ただこのためだけに起きていたのでやることもないし、あまりにも明るい廊下のせいで目が覚めてしまった。
そういえばまだこの城を探検できていなかったな………………よし。
山脈くらいの大きさもあるこの城を全部見て回るには数時間では足りないだろうが、ここ周辺………………つまり客室がある階層くらいなら見て回れるだろう。
「それでは、巨城探検とでも洒落こみましょうか!」
そうと決まれば早いほうがお得である。ヨミの部屋から向かって右手、今まで来たほうとは真逆の方向へと歩を進める。ここから先は未確認領域だ、もしかしたらすごい綺麗な絵とか、彫刻とかなんやかんやが飾ってあるかもしれない。いや、頼む暇だから何かあってくれ。
というわけでずんずん歩を進めて行く。
「さてさて、一体どんなトンデモ展開が私をお待ちになられているのかしら?」
◇
客室階層の廊下という廊下を歩き回り、客室以外の部屋という部屋を探索して回るほどに暇を持て余した俺は、未だ城内を彷徨っていた。
それにしても本当に広い。広すぎる。単位が東京ドームでも気の遠くなりそうな桁数になること間違いなしだ。しかし、その広さを持て余すことなく活用しているのがこの国のいいところだ。壁に掛けられた美しい絵画、美しくはないが象徴的な何かを感じる絵画、どう見てもゴ〇ブリな彫刻、流麗な舞を踊り続ける魔導人形など、実に色々なものがあった。これだけ色々あれば、ソルスが一日で見るだけに飽きて高価な物を破壊し始めなかったことにも納得がいく。以前ドラゴニアに行ったときは大変だったからな………………
それはそれとして………………
「流石に疲れてきましたわね。そろそろ一度、部屋に戻ったほうがいいかしら?」
今はあくまでも変装中であるため、むやみに身体強化魔法など使えないのが災いして余計疲労する。今まで面白いものを見て気を紛らわしていたが、流石に一人だし、疲れもごまかせなくなってきた。
それに、これ以上行動していると、奴と鉢合わせてしまう可能性も上がる。まあ明日会わなければならないのが少し早まるだけではあるのだが。
ああ、そういえばもう一つやることがあるんだった。
「『物置部屋』」
かつての俺が適当な場所を指定して異空間へのルートを作って以来、ただの物置として使われている哀れな空間につながるホールを開き、中からお目当ての物を取り出す。
「ふっふっふ、これこれ~、ですわ!」
俺が取り出したのは、結界村の俺の家の周辺に住む、クソデカミミズの一部だ。そう、かつてユリアが丸呑みされかけて爆散させたアレである。
これをどうするのかって?
もちろん、嫌がらせに使うのである。
ユリアがミミズを爆散させた際、スプリーム・ドラゴニアほどの大魔法を放ったにもかかわらず爆風薄ら発生せず、ミミズを破裂させるのみにとどまった。あの後、散り散りにされたミミズの体内の皮をかき集め、縫い直して実験してみたところ、ユリアが言っていた通りの魔力吸収作用があることが分かった。
つまり、これを被せれば魔力を無理やり吸い出すことが可能なのだ。
生物は過剰に魔力を吸い取られると死ぬが、少し吸われたくらいでは軽いめまいを起こす程度にとどまる。あのクソデカミミズの一部だけならそれほどの魔力吸収は行われない。この皮を袋状に縫い、片足だけ入るような異空間への穴を作り、その穴の先をミミズの皮で覆っておけば、魔力吸収落とし穴の完成である。もちろん殺してしまってはまずいので、吸収した魔力を格納し、溜まった魔力量を判断して吸収をストップする機構まで作った。もちろん基準も、魔力がかなり少なめの人が気絶する程度にしてあるので安心安全、嫌がらせにもってこいな品である。
さて、長々と語ってしまったが、ようやくあいつの部屋の前にたどり着いた。あいつと聞いて誰か分からないような人は、このお話を順番に読んできた人の中にはいないだろう。もしこのお話を読むのがこの話で初めてなら是非最初から読んでね!
お茶目に宣伝もしつつ、早速落とし穴の作成にとりかか………………
ろうと思ったが、ふと違和感を感じる。
違和感というか、嫌な感じというか、その類の感覚である。なんだろうか、無性に胸騒ぎがする。
俺はその違和感を確かめるために手を伸ばし、目の前の扉を開こうとする。本来なら鍵が閉まっているはずの扉は、ガチャリと難なく開いてしまった。そして、扉が開ききる直前、俺は違和感の正体に気づいた。
「…………この部屋、心音すら聞こえませんわ」
◇
「あちゃぁ………………」
なるほどなるほど、これはたしかにトンデモ展開である。ただ、流石に想定外。斜め上というか、明後日の方向というか。
この際だ、はっきり言おう。
「先日絡んできた殿方が亡くなられてますわ~!?!?!?!?」
おそらく作中でもっとも殺したかったキャラが死にました。やりぃ!すみませんちゃんと更新しますすみません。
とりあえず色々置いといて、どうやら忙しい間に総合PVが9000を突破していたようです!ありがとうございます!本当に!ありがとうございます!
次は10000PV目指して精進していきますので何卒よろしくお願いいたします。それではまた、次の更新でお会いしましょう………………




