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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第6章 夏空に煌めくは星々の魁光
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61話 あなたはやっぱり余裕ですか?ー全然そんなこと無かった

一週間お休みを頂いておりましたが、今週から復帰致します。時々私情でお休みをいただくことがありますが、どうかお許しください。と、言うわけで早速お話の方へLET'S GO!!

「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


ヨミの叫び声が響き渡る。まぁあれを見てしまえば仕方ないだろう。あいつが見るには眼前の絵面はキツすぎる。


「ちょっとリン!?これ数十万じゃ済まない数よね!?下手したら億はいるわよね!?!?」


………正直、舐めていた。


「ユリア、どれくらい削れそうですか?これ、流石に一撃で仕留めるのはキツイですよね……?」


「はい、この量だともしかしたら半分も削れないかもです………」


珍しくユリアが弱気になるのも分かる。俺だって少しビビっているくらいだ。


「た、退避ー!!冒険者の皆さんは今すぐに退避してくださーーい!!!」


トーレンさんが大声で叫ぶ。その判断は正しい。彼らにこれの相手をさせる訳にはいかない。


今作戦のため、ここまでおびき寄せる用の餌につられてやってきた、大海原を埋め尽くす顎魚(バイト)の大群……いや、超巨大軍を眺めながら、俺は呟いた。


「………ヤバいわ、これ 」



ベルネチア到着から数時間後……


「主、改めて言うが水着が無い。今から買いに行こうと思うのだが……よ、良ければ着いてきてくれないか?」


「え、逆に聞くけどいいの?」


こいつ俺が男だってこと忘れているのではなかろうか。だが、そんな俺の内心を見透かすようにヨミが答える。


「ああ、私は水着なんて見た事も着たこともないからな。……どうせなら主に選んで欲しい」


何故かいつになく真剣な目でこちらを見やるヨミ。その頬は朱色に染っており………


「おおっと二人とも、何やら楽しそうな話をしていますねぇ?そういうことなら私が行きましょう、この私が!荷物をよく見て見たら水着じゃなくて普通の下着だったっぽくてですね!是非是非私も買いに行きたいなぁなんて思った次第でして!」


ちょっと引くくらいの勢いでメリルが待ったをかける。というか水着と下着の違いくらい家を出る前に気づけよ。


「分かった分かった!二人とも一緒に行こう!な?それでいいだろ?」


俺としては眼福以外の何物でもないラッキーチャンスだ。どうせ後から見れるとはいえ、先に俺だけ(俺だけ!)この目に美少女が恥ずかしがりながらも「に、似合う……?」と上目遣いに聞いてくる姿を焼き付けられるのだから一人だろうと二人だろうとなんなら三人目が現れようと構わない。


「ま、まぁいいでしょう。断じてちょっと不安だったりしませんから。二人が陰ながらイチャコラしようとしてるかもだなんて思ってませんから!」


「ちょ、メリル!?私はそんなつもりは……」


ヨミがさらに顔を赤くしながらメリルと喧嘩を始める。


………なんだか異世界ハーレムラノベの主人公にでもなった気分だ。まぁ純情過激派なのでハーレムとか許さないが。


それにしても、よく考えたらそういうことに発展させるには最適な環境にいるのでは?


一つ屋根の下、男と共に暮らす四人(三人と一柱)の少女達。襲い来る理不尽と借金に立ち向かう中、少女達は同じ男に引かれてしまい………だなんてありがちだし。


………まぁそうなったとして、俺は一体誰を選ぶのだろうか。


「選べねぇよな………」


取っ組み合うヨミとメリルを眺めながら、一人小さくため息を吐くのだった。



「いらっしゃいませー!」


お姉さんの元気な挨拶が響き渡る。


ここはベルネチアでもかなり大きな服屋らしく、水着も取り扱っているとの事だ。確かに広い。この世界の普通の服屋はコンビニサイズなのだが、ここは下手なスーパーよりデカイくらいだ。


「ここの人は全部でっかくないと気が済まないんですかね………」


「そう言ってやるなよ。統治者があれだからどうしようもねえだろ」


「そういうものですかね………?」


トーレンさんのいない所で悪口を言っていたというのは俺たちだけの秘密だ。決してイジメでは無い。


「こうも広いと水着コーナーを探すのにも一苦労だな。店員に尋ねてみるとしよう」


ヨミが店員さんに場所を聞いてきてくれたので教えてもらった所へ移動する。


「水着だけでもかなりあるな。というかどう見ても大事なところが隠せない物があるのだが、主、あれは………?」


「気にしたら負けだぞヨミ。お前は清く正しく健全に生きてくれ」


「そうですよ。世の中には知らない方がいいこともあるんです」


「わ、分かった……」


どうやら受け入れてくれたようだ。世間知らずは世間知らずでいいんだ。こちら側に来てはいけない。


「気を取り直して……女性ものはこっちみたいだな。それじゃあ俺はあっち側に……」


「「待て(待ってください)」」


二人に袖を掴まれた。


「おい何するんだ。俺は男だぞ!女性ものの水着なんか着られるかぁ!!」


「主こそ思い出せ!今の主の体はれっきとした女性のものだ!男性ものの水着は胸部は隠せないのではないか!?そんなもの、それこそ着させられん!」


「リンくん、今回は諦めてください!流石に丸出しというのは倫理的にもヨミとユリアの情操教育的にも良くないです!」


「さ、流石にユリアより知識はあるぞ!?」


「だ、だってぇ……」


普段から魔女っ娘ルックな俺が言っても説得力は皆無だが、服装が男性趣味なのは俺の男としての最終防衛ラインなのだ。それを捨てるか恥と外聞を捨てるか選べと言われたら、俺は迷いなく恥と外聞を捨てる。


………よく考えたら胸丸出しって普通に捕まるな。確かにユリアとヨミの教育にも良くない。できることなら着たくは無いが、背に腹は変えられない。


「リンくん、お願いですから女性もので満足してください………いくら性自認が男だからといっても犯罪は犯罪なんですから、普通に捕まりますよ!」


「………分かった」


ヨミとメリルが安堵したようにため息を吐く。


………その後ヨミとメリルに着せ替え人形にされ、作戦前日だと言うのにかなり疲弊してしまったということだけ記しておこう。



作戦決行当日。


ここ最近晴れ続きだったのだが、今日は珍しく雨が降っていた。まぁ毎日あれだけ暑くて雨が降らないと言うのも謎だが……


「天気が悪いわね………こういう日は決まって何かあるのよ。ねぇリン、作戦は明日にしない?」


「ソルスさん、顎魚の襲来は今日のお昼頃だと推測されてるんですから作戦決行は確実に今日でなければならないんです。皆さんが普段受けるようなクエストとはまた違うんですから………」


ここ最近また調子に乗り始めたソルスをトーレンさんが諌めてくれる。というかよくもまあ毎度毎度フラグを立てられるものだ。


「なあソルス、お前って実は回復職じゃなくて一級フラグ建築士だったのか?」


「分かったわ、あくまでも神とは認めないつもりね。………表に出なさい!宇宙の果てまで吹っ飛ばしてやるわ!!」


毎度の如く、もはや恒例となりつつある茶番を繰り広げる。ソルスももうそこらへんは分かってきているようで本当に手を出すことはなくなった。駄女神と言うと怒るが。


「もうそろそろ報告されていた作戦決行時間のはずです。さ、ビーチに出発しましょうか!」


この時、俺たちは誰もが勝ち戦ムードだった。そう、この時までは。



そしてこのザマである。


「ああぁぁぁぁぁぁ!!!!だから言ったじゃない!今日はやめといた方がいいって!!天気が悪い日はこれだから嫌なのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


群れ、というかもはや海の一部となったように見える顎魚(バイト)を前にソルスが泣き喚く。


「うるっせえよ!俺だってこんなんなるとは思ってなかったんだよ!あぁぁ、ちくしょう!やっぱりこんな世界大っ嫌いだぁぁぁぁぁ!!!!!」


俺の魂の叫びも虚しく、顎魚の波は俺たちを飲み込んだ。

読者の皆様へ


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