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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第5章 ドリーム・ロボット・パニック
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54話 花は再び咲き誇ることができますか?ーYES

「ケホッ……あんの馬鹿野郎……」


土煙が立ち込め、一寸先も見通せない。


「おーい、皆無事かー?」


「え、ええ……何とか……」


メリルがよろよろと歩いてくる。身体中砂だらけだ。


「にしてもまぁ……派手にやりましたねぇ……」


土煙も晴れ始め、次第に周囲の状況も把握出来るようになった。


宵闇の暗殺者と白銀の鎧を纏いし戦士の戦いの余波を受け、半ば崩壊状態であった家々が完全に、チリも残さず消滅していた。全く、我が弟子ながら末恐ろしいことである。


「うぅ……もう一歩も動けません……」


地面に倒れ伏していたユリアが呟いた。


「当たり前だバカタレ!何も全魔力突っ込まなくたって……」


俺の言葉にユリアはチッチッチッと指を振って見せる。


「お師匠様、忘れないでください。私のモットーは『いつでも全力!』ですよ」


「そうかそうかそれなら仕方ないな……ってなるかぁ!!今ので倒してたらどうすんだ!」


「はえっ!?倒しちゃダメだったんですか!?」


「えっ、そうだったんですか?私もてっきり全力で倒しに行くものかと……」


「いやいやお前ら、よく考えてみろよ。ユーリはあの黒いロボットが見つかったせいでパクリだのなんだの散々言われてたんだぜ?それに、超古代の天才との戦いなんてワクワクするだろうが!俺はあいつに倒して欲しかったんだよぉ!」


これがなければ俺だって初手で全力をお見舞いしていた。やはりロボット好きとしては、ロボット対ロボットという最高のシチュエーションが見たかったというのもあるが。


「それは……申し訳ないことをしました……というかヨミさんはどこでしょう?一番近くで戦ってましたよね……?」


おいおいまさか巻き込んじゃいないだろうな……?


「おーい、ヨミー!!いないならいないって返事してくれー!!」


「ヨミー!いないならいないと教えてくださーい!!」


「ヨミさーん!!いないならいないって……」


「いなかったら返事はできないだろう!!!揃いも揃って馬鹿なことを口走ってるんじゃないぞ!!」


どうやら無事だったようだ。


「ようヨミ、無事で良かった!」


二人も「うんうん」とばかりに頷く。


「ふざけているようにしか見えなかったが……まぁいい。さっきの話を聞いていたのだが……その事に関しては心配しなくていいだろう」


「ん?どういうことだ?」


最初は何を言っているのか分からなかったヨミの言葉だが、その後直ぐにその意味を悟ることとなる。


ドガーン!!!ととてつもない破砕音が俺たちの鼓膜すらも壊すほどの勢いで響いた。


「………まじかよ」


ユリアの全身全霊全力全開のスプリーム・ドラゴニアをまともに食らったはずのトワイライト・キリングは。


その惚れ惚れするほどの美しい黒に傷一つ負うことなく、暗闇の中、俺たちを『暗殺』しようとその手に持った見えない…もとい存在が証明できない武器を振り抜いていた。



「魔法の無効化……ですか」


ユリアが悔しそうにつぶやいた。

いや、正直なめていた。まさかこれほどだとは……古代の天才、恐るべし。


「仕方ねえよ、あれが俺たちの想像の上を行く兵器だったってだけだ」


「それでも……悔しいです」


……そうか、今までユリアは誰かに守られるだけの存在だった。俺との修行によって強さを手に入れることができたと思っていたのだろう。だが、それさえ通用しない相手がいることを思い知ったのだ。感じた敗北感は大きなものだろう。


……魔法を撃ったのは正解だったかもな。


「……ユリア、よーく覚えとけ。この世界にはお前より強いやつが山ほどいる。だけどな、お前が越えることのできない奴なんて誰一人いやしねぇ。今日勝てなくたっていい。明日勝てなくたっていい。いつか絶対に負けられない戦いに挑むことになった時、その時さえ勝てればいいんだ」


俺に言えるのはこれだけだ。今後ユリアがどんな人生を歩むかなんて誰にも分らない。だから俺は、俺の経験した強さを得るための全てを教えてやりたい。今、再び強く、そう思った。


「わかりました………すみません、お師匠様、私弱気になってました」


「いいさ、そんな時間も必要だ。それにお前がかなわない相手が現れたって………」


必ず。


「俺がぶっ飛ばしてやるから、な」


「おい主、私たちを忘れないでもらいたい」


「そうですよリンくん!私たちだって戦ってやりますよ!」


「わりぃわりぃ……ほら、ユリア。ちゃんと見てろよ。今からあのデカブツに戦いを挑むのがお前の仲間と、その一番の親友だ。いつだってお前のそばにいるからな!」


「……はいっ!!」


ユリアは今日も、太陽すらも凌駕するほどの明るい笑顔で返事をするのだった。



突如、振り抜いた武器を引き抜こうとしていた暗殺者がその動きを止め、レイを見た。

それと同時に、共鳴石から声が聞こえる。


『リンさん、聞こえてますか?』


「あぁ、聞こえてる!アプデの進捗はどうだ?」


『(ふっふーん、破創の魔女くんよ、君は通信機の反対側に誰がいるのか忘れてるようだね?至上の天才ユーリくんと、知恵の神であるところのこの私がともに作業してたんだよ?とっくに終わってるに決まって……)』


『えーっと、はい、たった今終わったところです。今すぐ戻ってこられますか?(ちょ、待って僕のせr……)』


「あぁ、分かった。すぐ行く!」


ガチャリともツーとも鳴らずに、通信機が切れる。

すると、状況を察してくれたメリルが問いかけてきた。


「今からあれで攻勢に出るんですね。私たちはどうしましょう?魔法の効果が薄いことは分かっているのですが……ユリアにかっこつけた手前、何もしないのはちょっと……」


そうだよな、あれだけの啖呵を切ったんだ、さすがに何か活躍させてやらないと二人がかわいそうだな……


「まぁできる限りの援護を頼むよ。魔法の効果は薄いとはいえ、物理的に周辺状況に干渉する方法なら通るのはさっきの時間稼ぎの時に実証されただろ?ヨミは打撃でかなりのダメージを与えられてたし、引き続き特攻で頼む。いい感じに俺たちのことは避けてくれ」


「分かりました!むふふ、徹底的に邪魔してやります!」


「任された。致命打とまではいかないだろうが、必ず消耗させて見せる」


よし、一応の方針は伝えたし、こいつらならいい感じにしてくれるだろう。二人ともやる気、元気、ヘルシンキ!って顔だ。


「あのー、皆さん?私は……」


ユリアがばつが悪そうに話しかけてくる。


「あー、そうだな。もうお前戦えないもんなぁ……」


どうするか……と悩んでいたその時。


「おーい、お前らー!大丈夫かー!?」


大声で叫びながらベル姉が駆けてきた。お、ちょうどいいところに。


「あぁ、一応大丈夫。それよりベル姉、ユリアを連れて安全なところまで逃げてくれないか?」


「あ、あぁ、分かった」


「あ、できれば戦場が見えるところにいてね。そのほうが俺たち頑張れるから」


「あ、あぁ、分かっ……ちょっと待てどういう意味だ?」


「ベル姉さん、お願いします。何分もう一歩も動けないもので……」


「……おう、任せときな!」


目の前の謎より、ユリアの身の安全を優先してくれたようだ。ベル姉が常識人で助かった、


「よし、それじゃあ行くか!」


「ええ!」


「あぁ、行くとしよう。私とキャラが被ったまま生きていられると思うなよ!」


適当に言っただけだったのにまだ根に持ってたんだ……

ちょっと思った以上にぐだってます、すみません。ですがそろそろ5章も大詰めです。最後までお楽しみいただければ幸いです。さて、話は変わりまして、私の新作連載「月と異世界と銃火器と」の連載が先週木曜より開始いたしました。もしよろしければ読んで行ってやってください。毎週木曜夜更新予定です。

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