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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第5章 ドリーム・ロボット・パニック
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48話 研究者は根暗と相場が決まっているのですか?─だっはっはっ!そんなことねぇぜ!

これはデータです。経年劣化の具合から、およそ数億年が経っている模様。

……再生しますか?



「私が……私がお前を作ったのは、本当は自分のためだ。社会のためでも、国のためでも世界のためでもない。ただ、私自身の我儘でお前を生み出した」


………………音声を認識、ロックを解除します。


「いや、いい。もうお前には、全てを託してある」


………………命令を受諾、全機能をロックします。


「この世界は一度終わる。お前の力を持ってしても、この災禍は防ぎようが無い。だから、この先……新しい世界の人々に危機が迫った時、お前はその力を使え」


「私の名前は……ド…マリ……!お前の作者にして、新世界の守護者だ。この名を……世界を救った時に、いや、敗北した時でもいい。お前が戦うに値すると判断したやつに教えてやれ」


………………命令を受諾、当機体はスリープモードに移行します。


「さらばだ。次会う時は、世界を救った時である事を願っている」



………………当機体はスリープモードにあります。スリープモードを解除しますか?



ユーリと親友になった俺は、今日から職場となる王城内の研究所にて、ある女性と対峙していた。


「だっはっは!神とはこりゃまた偉くなったもんだなぁリーダーさんよぉ!」


不躾にも神……もといユーリに近付き、背中をバンバンと叩きながら豪快に笑うお姉さん。


「ちょっとどちら様?うちの神に近づかないで貰えます?」


さっと引き離し、警戒態勢を取る。


「おっと、失礼。アタシはベルモット・へイズバーグ、雇われの魔導具研究者さ!皆にはベルって呼ばれてるぜ!」


荒々しい言葉遣いによくマッチした見た目をしている彼女は、ユーリとは違って作業着のような物を身にまとい、くすんだ赤毛を後ろで一つにまとめ、額にはゴーグルらしき物を付けている。

見るからに姉貴分オーラを放っており、普段の俺なら間違いなく平伏しているだろう。

だが今日の俺は違う!守るべき(とも)がそこにいるのだから!


「痛いですよベル姉……あ、紹介がまだでしたね。この人は破創の魔女のスズキリンさんです。えっと、その、僕の……と、友達です…………」


えへへ……と微笑むユーリ。というか仲良しかよ!ベル姉って!俺もそう呼ぼ!


「そうだぞベル姉、俺たちゃズッ友だぞ!間に入ろうってんなら許さねぇぞ!」


「だっはっはっは!!こりゃまたおもしれぇ奴が来たもんだぜ!この職場にはうってつけだな!」


俺の威嚇も効果はないようで、近寄ってきたベル姉に背中をバンバンと叩かれる。結構痛い。


「まぁ新人ならこの職場についてはなんも知らねぇだろ?アタシが案内してやんよ!」


「えー、出来ればユーリと回りたいんですけどー」


「よ、呼び捨て……!」


またしてもユーリが変な笑い方で笑い始めるが、こうなるとちょっと俺でも怖いのでやっぱりベル姉に案内を頼むことにした。


「……やっぱりベル姉お願い」


「おう、任せな!」



ユーリはプロジェクトリーダーを任されているだけありかなり忙しいようで、俺達には着いて来ず仕事に戻った。


「さーて、それじゃあまずお前の仕事の詳しい内容から教えて行こうか!えーっと、リン……だっけ?」


「おう、合ってる合ってる」


「それじゃあリン、一応何するかは聞いてるか?」


「ああ、確か魔力を流し続けて欲しいって話だったよな。なんか気を付けることとかあるのか?」


「いや、特に無いんだ。今回のお前の仕事は完全に魔力を流すだけだ。魔導具はものによって必要な魔力が大幅に変化するが、今回のは格がちげぇ。お前ほどの魔力保持者じゃねぇと動きもしないんだ」


ベルの言う通り、魔導具は稼働するために魔力を必要とし、その量は使用される回路によって変わる。もちろん、常識では考えられないようなとんでもない事象を故意に起こせるようなとんでもない魔導具なら、それこそ俺レベルの魔力量が無いと無理だろう。

というか今回の代物は俺の魔力量でもキツイかもしれない。

なんてったって巨大ロボだ、関東地方が停電するレベルの電力でも電磁砲一発分なのだから……


「まぁ何とかなるだろ」


「そりゃ良かった、分解して回路だけ見たってなにが搭載されてんのか分かりゃしねぇからな!お前が来てくれて助かったぜ!」


「つまり今回の俺の仕事は延々と魔力を流し続けるだけって訳か。……こんなんで金貰っちまっていいのか?」


「……なぁ、アタシも噂には聞いてたんだが、あの結界村の結界を破壊したってホントなのか?いや、疑ってるわけじゃないんだぜ?でも、あんな次元の違うものを破壊できるってなると、お前って一体何者なんだ?」


確かにベル姉の瞳に疑いの感情は無い。だが、そこには小さな恐怖があった。

目の前にいる人間の形をした何かに対する恐怖、俺がなんなのか、彼女……いや、その他の人間には理解出来ないのだ。


……恐れられている理由はこれか。


「俺は…………最強だ」


「……は?」


「別に驕ってる訳じゃない、俺の力は人が持つに余りある力だ。だから俺は、この力を仲間を守ることにのみ使うって決めたんだ」


大切な人たちを、この世界のあらゆるものから守るためには……何者よりも強くなければならない。

最強で、あらねばならない……


「リン……お前に、お前の周りに……一体何があったんだ?」


ベル姉はふとそうこぼしたが、俺は答えなかった。


「…………すまん、言いたくないならいいんだ。気にしないでくれ」


少し、陰鬱な空気になってしまった。

そんな空気を吹き飛ばそうと、ベル姉は明るく振舞ってみせる。


「それはそうと、仕事の内容についてはもういいな?それじゃあ明日から、よろしく頼むぜ!」


「ああ、分かった」


そして、俺はこの場を離れた。



「お師匠様、おはようございます!」


今日も朝から元気なユリアに叩き起される。


「うーん、あと地球が3回回るまでぇ……」


「なにアホなこと言ってるんですか!もうすぐ式典が始まりますよ!ユーリさん達も出るんでしょう!?」


「うおぉぉぉ!忘れてたぁ!!」


「きゃああ!?」


「ふげっ!?!?」


あまりにも勢いよく起き上がったのでユリアに殴られた。痛い。


俺が仕事に取り掛かり始めて1週間が過ぎた。

研究は順調に進んでおり、こないだなんか腕辺りに搭載されていた魔導回路に魔力を流したらとんでもないビームが飛び出し、危うく王城が崩壊するところだった。


かなりテンポよく進んだので、もうほとんどの解析を終えている。が、やはりあれはとんでもない代物だった。古代遺物はオーバーテクノロジー、しっかり覚えておこう。


「あの……すみません……」


「はぁ、ひぃよひぃよ。らいひょぶらから」


「全然大丈夫じゃないですよ!ホントすみません!」


そして、今日は祭りが始まり1週間が経過したため、各国の研究発表の式典が行われる。

もちろん、我らがユーリ神の巨大ロボも発表される。うっひょおオラワクワクすっぞ!


「あれ、そういえばユリアも着いてくんの?」


「いえ、私は道中面白いものを見つけたらそこに行ってきます。途中までですが一緒に行きましょう!」


あらなんて良い子なの。寝ている俺をほっぽって先に行ってしまった3人とは大違いだわ。


「よし分かった、それじゃあ行くか!」


俺は事前に用意しておいた服に着替え、素早く支度をする。


「待ってろ巨大ロボ!俺たちの夢を叶えてくれ!」


「おー!私見に行きませんけど!」

遅くなりまして本当申し訳ありませんm(_ _)m

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