29話 あなたは真実を知っていますか?ーYES
まだまだ続きますよ今回の章は!なんなら過去一長くなるかもです。てなわけで皆さん、今日も過度な期待はせずユルーッと行ってらっしゃい!
あれから一週間が経った。
いまだメリルが帰ってくることはなく、俺たちも結構心配し始める位には時が流れてしまった。
「メリルさんに限って家出なんてあり得ないですよ!きっと何かあったんです!」
「とは言ってもなぁ………」
無論、俺だって超心配である。寝てる所を襲われてもあの子きっと起きないもん。
だがしかし、行き先に一切心当たりがないといわれると流石の俺でも発見は不可能だ。追跡は、出来ない。
「でも………」
ユリアはいつにも増して悲しそうだ。そりゃそうか、コイツにとってメリルや俺たちは二つ目の家族同然なのだから。
「落ち着けユリア。お前の目の前の存在が何か思い出せ。そして深呼吸だ」
ヨミの言葉にユリアが素直に従う。
「すぅーっ………」
そして俺を見て、
「……はぁー………」
あの、俺を見て溜め息を吐くのはやめてもろて。
なんて心の中でふざけてみれば少しはモヤモヤも晴れるかと思ったのだが、余計悪化してしまった。
こんな時って一体どうすれば良いのだろう?
助けてご都合展開!ヘルプミー!
と、こんな願いが届いたのか。
ピンポーン、とインターホンがなり響いた。
ほーい、ととりあえず返事を返して扉を開くと。
「久しぶりだな魔女殿。さしあたっては是非頼みたい仕事が………」
団長のおっちゃんが笑顔で仕事を持ってきた。
辛いときは仕事しろってか………チクショー!
俺は、神様ってのはどこを取っても大酒飲みの穀潰し以上にはならないということを再度深く認識したのだった。
◇
「「「古代兵器が復活する!?」」」
「ええ、そうなのです。我が国建国以来、最大級のピンチといっても過言ではありません。そこで、魔女殿の出番というわけです」
「おいおい、ちょっと待てよ。古代兵器とかユリアみたいな事を言い出して。そんなもんあるわけねぇだろ?お伽噺の読みすぎじゃねぇのか?」
「お、お師匠様!?私はそんなこと言いませんよ!」
(言います)
「というか、お伽噺の中の存在のような人が目の前にいるのですが………」
それを言われると困る。何千年も破壊できなかった結界を破壊した俺がそもそも伝説級の活躍をしてしまっているのだから。
「いやまて、そもそも古代兵器とは一体何なのだ?私は知らないのだが」
仕方ない、画面の前の皆さんに伝えるついでに教えてやろう。
この世界で古代兵器と言うと、皆が思い浮かべるのは決まってそれだ。
『三欲の魔砲』である。
この三欲の魔砲は、とある昔話に出てくるのだ。せっかくだし、このリンさんが特別に読み聞かせをしてあげよう。
さぁさぁ!今夜限りの出血打撲骨折心肺停止セールだよ!
◇
ーーー昔々のお話。
この世界には神様達が住んでいました。神様達はそれはそれは美しい自然を創りあげ、水と踊り風と歌い、とても楽しく暮らしていました。
ある日、とある神様に子供が生まれました。綺麗な黄金色の髪と水のような美しい青い瞳を産まれたその瞬間から持つその少女は、レイと名付けられました。
レイは両親や他の神様にも深く愛されて育ちました。彼女が大地を踏みしめれば花が咲き、海に浸かれば波は穏やかになりました。
他の神様に鍛冶を学んだり、錬金術や魔道具づくりなど、彼女はなんでも完璧にこなしました。
何年もの時が過ぎ、彼女は大きくなりました。
彼女は言いました。
「私、この美しい世界を見て回りたいの」
彼女の両親や他の神々は、
「お前一人では危険だ!」
と言って止めようとしましたが、それでも彼女は止まりませんでした。
レイは旅に出ました。ただ一つ、自らの体のみを持って。
野を越え山を越え、彼女は世界を見ました。その美しい瞳に人々が争い奪いあう姿を焼き付けました。
その晩、彼女は泣きました。人々の愚かしさと、自分達の無能を憂いて。
そして彼女は決意します。
再び、世界を美しさで満たすため。人々が手を取り合えるようにするため。自分が彼らの模範になるのだと。
神と人々の間に壁などないと証明するべく、彼女は一人の少年に話かけます。
少年は名をユウと言いました。
彼は世界を憎んでいました。全てを壊したいと願うほど。
そして、それを叶える力も持っていました。
レイは襲い来るユウをいとも容易く制圧し、縛り上げてしまいました。
「………殺すなら殺せばいい」
「どうしてそんなことをする必要があるの?あなたは私が怖くても、私はあなたなんて怖くもなんともないわ」
少女と少年は話をしました。自分の話、親の話。友達の話に世界の話まで。
少年と少女は話を続けました。
そして数年が経ち、少年と少女は恋に落ちました。
ですが、その想いは神々や人々によって何度も妨害を受けました。その中でも二人は更に惹かれ合い、ついに一緒になりました。
神々や人々はおおいに怒り、互いに手を取りました。
強い力を持つ二人を打ち倒すため、強大な力を持った兵器を作り上げました。
それが『三欲の魔砲』です。
『彼らに眠りを我らに安泰を、彼らに渇きを我らに恵みを、彼らに満たない劣情を我らに温もりを』
レイは何もかもを創り上げてこの兵器に対抗しようとしました。
ユウは何もかもを破壊し尽くしてこの兵器に対抗しようとしました。
ですが、彼らの力は届かず敗れてしまいました。
そして三欲の魔砲は神々や人々の全てを飲み込み、滅ぼし尽くしてしまいました。
手に余りある力を持つことは、滅亡の引鉄に指をかけることと同義です。
我らに終わりなき世界を。変わることなき平和を。
◇
次回のサ○エさんはー?
って違う!
「主?なぜ唐突にエアーツッコミを……?」
「いやいや何もない何もない。俺は平常運転だぞ安心しろ」
「饒舌な時のお師匠様は大抵なんかありますよね」
(ユリアは鋭いです)
黙らっしゃい。
「どうですか魔女殿。あの兵器が発動すれば人類は軽く滅びるでしょう。こんな時こそ魔女殿の出番ではないのですか!」
ん?そうなのか?
俺はなんかもう平和に暮らしたいんだが。
「主、受けてみないか?古代兵器とやらも気になるし、睡眠欲の魔砲と言われるとなぜだかメリルに繋がりがあるように思えてならないのだ」
まぁ確かに。
睡眠欲の魔砲と睡眠欲の魔女。この2つに共通項がないとは考えにくい。
……全く、仕方のないヤツらだ。
「団長さん、この仕事受けさせてもらいますよ」
団長はうんうんと頷くと、こういった。
「良かった良かった。勇者殿達も喜ぶだろう」
ん?勇者殿ってフーアーユー?
「ああ、魔女殿にはまだ話していませんでしたな。我らがマテリア王国に降臨した3人の勇者も今回の件で調査を行ってもらうことになっておるのです」
だから3人の勇者って誰だよ。
というか、勇者はイケメンって相場が決まってるという話を聞いたことがあるようなないような。
え?そんな奴らと仕事すんの?
「それでは魔女殿。王都にてお待ちしております」
団長はグッと親指をたててニッコリスマイル。
あー、働きたくないでござる。
今出している二作もまともに更新できてませんが、ただいま新作も執筆中です!いつか出します。私初めての短編となりますが上手くいくかは未知数ですので是非、生暖かい目で見守ってくださると嬉しいです。




