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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第3章 日常とは至福の時のことである
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18話 あなたは………喋るんですか?ーイエス、マスター

新章突入!結界村での日常をご覧あれ!

(マスター、起床時刻です。早急な起床をオススメします。繰り返します。マスター、起床時刻です。早急な起床をオススメします。)



「んぁ………」


いつも通りの半分落下した状態で目を覚ます。


だが、重たい瞼を持ち上げても視界は暗く………


寝相が悪すぎて、帽子がかかっていたラックをぶん殴っていたらしい。俺の拳は木製の棒を2つに分断していた。


いつものことなので気にならない。


俺は頭に落下していた帽子をどかすことなく起き上がる。


まぁ、魔法で気流を操作しただけなのだが。


「んー、朝かー」


フンッと鼻息を吐きながら伸びをする。


(マスター、全身の血流が乱れています。調整の実行を推奨します)


あ?


なんだこの声?


(乱れた血流の調整には魔力操作を応用した………)


「だから誰なんだオメェは!」


(ああ、そういえば)


ポンッと手を打ちそうなセリフを吐く謎の声は、その後とんでもない事を話し出す。


(私は魔導知能、いわゆる突然変異で生まれた魔導具。星降る夜の終わらぬ悪夢。あなたの帽子です)


は?


「は?」


新キャラ登場!



「なんで500年も話してくれなかったんだよ、寂しかったんだぞ俺」


(マスターには必要ないと判断しました)


「必要ないったってよ………」


俺は、俺の家の俺の部屋で俺の帽子と話していた。


うん、自分でも訳が分からん。


(マスターには時間が必要でした。私がいればあと100年は早く結界を出られたでしょう)


「じゃあなおさら………あっ」


言いかけたところで、気がついた。


(ええ、彼女たちと出会うことはなかったでしょう)


なるほど、そういうわけか。


それより、聞きたいことが。


「お前さっき、星降る夜のなんたらかんたらとか言ってたけどあれってなんなんだ?お前の名前か?」


そうなら名付け親はきっと日本人だろう。なにせこれほど中二心くすぐる名前だ、名付けに関してはダメダメなこの世界の人間には難しいだろう。


(イエス、マスター。星降る夜の終わらぬ悪夢。私の名前です。前マスターが命名しました)


「そいつは日本人か?」


(いいえ、彼女はこの世界の人間でした。そして私を忌み嫌っていました)


なんでだ?こんなに便利なのに。


(私は元々、見たこと聞いたこと、全てを記憶する魔導具でした)


もっとすごいじゃん。というか喋らなくても伝わるのな。


(すごいでしょうか……)



(どんなことでも、もう二度と思い出したくないことさえ記憶してしまうのですよ。永遠に)


なるほど、だから『終わらぬ悪夢』か。


じゃあ『星降る夜の』ってのは………


(私の製造方法の事です。最強の星獣、ブイシファクの毛皮に、7日7晩流星をぶつけ続けて作られました)


製造方法がとんでもねえな。というか星獣ってなんだよ。


(星獣というのは………)


「やっぱなし!こういうの聞くと、大体俺の敵にいたりするからな」


(そうですか………)


心なしかしょぼんとした帽子の声が聞こえる。


(ではマスター。会いにいきましょう。私達の仲間に)


そうするか。



「なあなあソルス。俺の帽子、喋るんだぜ?」


「じゃあ私はグリフィンドール生になりたいわ。会話が可能なら交渉して頂戴」


「なあなあメリル。俺の帽子、喋るんだぜ?」


「リン君、大丈夫ですか?………それとも本当に作ってしまったんですか!?」


「なあなあヨミ………」


「聞こえた」


「なあなあユリア。俺の帽子、喋るんだぜ?」


「本当ですか!?私も是非お話してみたいです!どうしたら私も帽子さんとお話できるでしょうか!?」


やべー、こいつら超おもしれー。


(私はマスターに設定された人物としか念話が出来ません。残念ですがここはお引取り頂いて………)


「残念だがこいつはマスターとして設定した人としか喋れないんだってさ」


「そうですか……帽子さんとお話してみたかったです………」


しょぼぼんとしょぼくれるユリア。


「ユリア、そんな妄言を信じてはいけないぞ?主は時折アホみたいな事を言い出すからな」


「妄言ってなんだよ、ほんとに喋るんだってば!」


(イエス、ヨミ。私は喋ります)


こいつ聞こえてないの分かってて言ってんのか?


「全く………あぁ、主。すっかり忘れていたが主宛てに手紙だ」


ほら、と言いながら手渡してくるヨミ。


「忘れてんなよ。んー?どれどれ?」


手紙はアリアからだった。


俺は手紙を読み上げる。


『拝啓 お兄様、お姉様、お元気ですか?ドラゴニアは今日は平和です。来週には復興も完全に終了して結界の解除を行うそうです。お姉様はあれから変化などありませんでしょうか?寒い季節になりますが、3枚以上の重ね着は2度としないでくださいね?』


俺はユリアの方へ振り向く。


そこには真っ赤な顔の俺の弟子がいた。


「ちょっとお団子に刺さった串の気持ちが知りたかっただけです………」


プイッとそっぽを向くユリア。


早く続きを読めとソルスが催促するので続ける。


『ソルス様は今日もとってもお元気な気がします。元気なのは良いですが、イタズラは程々にしてくださいね?』


「ねぇあんた、勝手に捏造してるでしょ」


してない。


『ヨミ様はお元気でしょうか?今度、この間頼まれたベルネチアで捕れた呪Y蟹とブチブチイクラをお送りしますね』


「お前なにしてんの?」


こいつ大食いキャラだったっけ?確かに美味かったけどさ。


「い、良いだろう別に。ちゃんと皆で食べるために頼んだんだからな!」


「じゃあ私が半分でー、後は皆で分けていいわよ?」


「何言ってんだお前、あんなうまいもんお前一人に食わせてやるわけねーだろ!食べ物の恨みは恐ろしーんだぞ!」


「なによやるの!?いいわ、掛かって来なさい!あれを食べるためなら聖なる女神パワーをフルに発動してあんたなんかぶっ飛ばしてやるわ!」


第一次食物戦争勃発!


「そうですそうです!あんなに美味しい物を独り占めなんて許せませんよ!それにソルス、自分を神様と名乗るのはやめておいた方が………」


「私ホントに神様なのにー!」


おっと、ここでメリルも参戦だ。そしてソルスは多分女神じゃないと思う。女神はぶっ飛ばすとか言わないだろ。


(マスター、私も食べたいです)


お前は食えねえだろ!


「ちょ、ちょっと落ち着け………」


ヨミが止めようと試みるが、俺たち三人(と一つ)はどんどんヒートアップしていき、手のつけようがないようだ。


「私はあの時、なんでこの人を格好良いと思ったんでしょうか………」


溜息を吐きながらボソッと呟いたユリアのセリフを聞き取れた者はいなかった。











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