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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第1章 魔女と愉快な仲間たち
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プロローグ あなたは異世界転生したいですか?-Yes

趣味で書いた小説です。過度な期待はしないでゆる~っと読んでいただけると嬉しいです。感想も受け付けております。

それでは行ってらっしゃい!



これは何なのだろう。


とても温かく、俺にとってかけがえの無いものな気がする。常にそばにいて、片時も離れることのないはずの物。決して手放してはならない物だったはずだ。


だが、それは俺の手を離れて飛んで行く。


『くそっ、行くな!』


そう叫んでも、それはどんどん離れていく。


俺は、それを失うことに耐えられず手を伸ばし………



「ちょっと、いつまで寝てんのよ」


頬に走る痛みに目を覚ます。


目を開くとそこには立派な山二つ…ではなくどこまでも白い部屋が広がっていた。その部屋には俺と赤髪赤目の超絶美少女しかいないようだ。


おい、何だよこの子。めっちゃ可愛いじゃねぇか!


「まったく、立ったまま寝る人なんて始めて見たわ…」


呆れたように彼女は言うがきっと立って寝る人だっているはずだ。たぶん… いや、そんなどうでも良いことで落ち込んでいる場合ではない。


う~ん、寝起きだからか頭がうまく回らない。


状況が掴めず固まっている俺をみると、目の前の少女は悲しそうにこう言った。


「記憶が混濁しているようね、まぁしょうがないわ。あなた、亡くなっちゃった訳だし」


ほう、なるほど。俺は死んだのか。待て、死んだ…だと?



………俺はとにかく急いでいた。なぜかって?それは…


「ヤバいヤバい!遅刻1分前じゃねぇか!」


このセリフで全て理解出来るだろう。


俺は鈴木凛。


こんな名前だが、とりあえず男である。今年高一の15歳で、登校初日にして絶賛遅刻中の至って普通の男子高校生だ。


俺にとっては登校初日であるが他の奴らはそうではない。


なぜかと言うとまぁ風邪をひいてしまったからだ。本当に季節の変わり目は、風邪に気をつけよう。


という訳で愛機の爆殺号(命名俺の父)と共に全速力で坂を下っていると…


ベキッ!


鳴ってはいけない音が聞こえた気がする…


その音は幻聴では無かったようで、俺の自転車はみるみるうちに加速していく。


「これはアカンやつや」


どこが壊れたのか詳しく見ないとわからないが、ブレーキが効かないことからブレーキに関連するなにかが破損したのだろう。


止まろうにも止まれず、ついに爆殺号は斜めに傾き………



「思い出した?あなたが遅刻しそうになりながら何とか間に合わせようと全速力で坂を下っていたら自転車のブレーキがイカれちゃったみたいでねー。そのままグシャッて」


なんてあっけない死に方…俺は15年で一体何が出来たのだろうか。


「くそっ、せめて死に様だけで小説が3巻まで書けるくらいの死に方がしたかった………」


「そんな死に方が出来るのはグラララ笑う地震人間位よ………」


呆れられているがこれは俺の心からの本音である。


「さて、そこで学校が始まっても引きこもって外出したと思えば、望んだ死に方とは程遠いフツーな死に方で死んでしまったかわいそう(笑)なあなたには3つの選択肢をあげるわ」


さっきの悲しそうな顔は作っていた顔だったらしい。ちょっとイラッとするが、この展開には見覚えがある。これはもしや…


「フフッ、気づいたようね。でも、仕事だし一応全部言わせてちょうだい?」


何かすいません………


「まずは1つ目。記憶を全部無くして同じ世界に転生する。でも、記憶をなくすなんてイヤよね~?それってあなたの人格を消去するのだから、あなたがいなくなっちゃうのとおなじようなものだし」


確かに…せっかく頑張って15年生きたんだ、その記憶をなくすなんてのはイヤだ。


「そして2つ目。天国に行くか、地獄に行くかの裁判を受けてそのどちらかに行くか。でも、これも天国に行けない可能性があるわけ。危ない橋は渡りたくないわよね?」


確かにそうだ。天国に行くとは言ってもその前に壁があるのならそんな危ないことをする必要はない。


なぜなら、最後の選択肢は………


「そして皆さんお待ちかね、3つ目の選択肢は………」


彼女の言う皆さんが誰なのか気になったが、話が進まないのでツッコむのはやめておこう。


「そして3つ目は、何か一つだけチート能力を貰って異世界に行く、で~す!どう?何だかワクワクしてくるでしょ?」


まぁ3つ目は分かりきっていたのだが、こんなに嬉しそうに言われると冷たい反応はできない。


「オォ、ソレハスゴイ」


「棒読みなんですけど」


「俺は分かりきっていることに本気で驚ける人を尊敬しているからな!」


「何でそんなに堂々と下らないことを言えるのかしら………」


うるせぇ。



話を聞くとやっぱりその世界には『魔王』と呼ばれる存在がおり、その魔王が手下を率いて人々を襲っているらしい。


「その魔王を倒したらどんな願いでも必ず一つ叶えてあげるわ」 


どんな願いでも一つ叶えられる?!つまりそれは…


「願いの数を無限にしてくださいでも良いってこと?」


「それはダメよ、トータルでも叶えられるのは一つだけなんだから。そんなの今までに思い付いた人なんて何人もいるわよ。その度にダメって言ってきたんだから」


チッ、ダメか。


「あんた今舌打ちしたでしょ。まぁいいわ。という訳であなたには『不老不死』の能力を持って異世界に行って貰いまーす。ぱちぱちぱちー」


おい待て。選択肢って言ってなかったか?一応聞いてみよう。


「あんたさっき選択肢って言ってたよな」


「言ってない」


「言ったろ」


「あぁもううるさいわねー、さっさと行っちゃいなさいよー」


「拒否権は?」


「ないわよ。ほらさっさと行って!いいから行って!」


「おい、ちょ、待っ……!?」


俺は魔方陣らしきものに無理やりブチこまれる。すると、魔方陣はヒュンヒュンとかなりの爆音を発しながら光の壁を形成する。ねぇマジでうるさいんだけど。


「待てって!まだあんたの名前すら聞いてないぞ!」


魔方陣が形成する壁に阻まれ外に出られないので、壁をバンバン叩きながら名前を聞く。


「そうよ、まだ名乗ってすらいないじゃない!まったく、あんたが立って寝てたせいでこんなことも忘れてたわ……」


何度も言うがきっと世界中探せば立って寝る人はきっといる!私、信じてる!


「私は、太陽の神……ス。全国3000万の信者を持ち…」


「悪い!聞こえなかった!『私は、太陽の神…』の後!」


「何でよー!せっかく気持ちよく名乗ってるのにー!」


仕方ないじゃん、この魔方陣ヒュンヒュンうるさいんだもん。


「あっ、行っちゃう!ちょっと、まだ名乗りが………」


そして、魔方陣から発される光に包まれ、俺は気を失った。


この先に待ち受ける数々の試練も知らぬまま………













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