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『レッドコア』の情報 後編

毎週、土曜、日曜に更新します!

『レッドコア』

 人数は50人程。

 構成員のそれぞれの能力タイプによってチームとして分かれている。

 現在分かっているのは7つのチーム。

 それが、


音の『憑代(つきしろ)


火の『火党(かとう)


衰えの『衰枯流(すいこりゅう)


暗殺の『木凛(もくりん)


盗みの『金泉花(きんせんか)


信仰の『道教徒(どうきょうと)


管理局『太閤(たいこう)


 他にもチームはあるらしいのだが、今の所はこの7つしか分かっていない。そしてそれぞれのチームが十人程度しかいないにも関わらず、その()()()()()一つの技術だけをひたすら極めているとの事。


「といっても、管理局『太閤』はチームとは別といってもいいんやろうけどな」

「どういう事だ?」

「そこもレッドコアの特異なところなんやけどな」


 ヤマトは木で作られたジョッキに注がれた酒をグッと飲み、机にドンと置いた。その振動で隣に置かれた怪鳥の焼き鳥が少し跳ねた。


「なんと、レッドコアの構成員は、『太閤』が()()()()()()()()()()、チームという区切りを設けているっちゅうのが実態なんや!!」

「つまりは『レッドコア』は太閤が傭兵を雇い集めて作られた組織ってことか」

「そういうことや!よっしゃ、酒おかわり!旦那、今日はワイのおごりやで、好きなだけ飲んでや!!」


 機嫌の良さそうなヤマト。

 俺がもと居た世界にもよく使っていた情報屋がいたが、そいつもヤバい情報ほど話すまでに時間がかかった。だからそいつにも探りを入れてやったり、こいつにやったように色々と駆け引きをする必要があったものだ。

 だが、ようやく折れて、いざ話すとなると何故だかとても嬉しそうに話すのだ。

 それじゃあ最初から話せ、無駄な時間を取らせるなとよく思ったものだが。

 ......ふむ。


「おい、ヤマト。お前ら情報屋は何故そんな表情で話せる?お前が言った事だ、情報を話す危険性は分かっているだろう?」


 情報を話すという意味。

 この場合は『レッドコア』、その情報を俺に伝えた。

 それは『レッドコア』からしては、()()()()()()()()だろう。

 何故なら他に自分の組織の情報が漏れる......だけではなく、それを知る事の出来る技量があるという事。つまり、いつ、どれ位の情報が漏れ続けるか分からない。



そう、その()()()()()()()()()()()は。



 だが俺の質問に対してヤマトは、片手で焼き鳥をもちゃもちゃと食べながら、平然と答えた。


「どんな情報(ネタ)を仕入れれるのかが情報屋としての実力、そしてそれを対象に話してようやく実績になるんや。そしてそれはヤバい情報程、仕入れるのが大変や。しかしそれ以上に大変なのが、それを話したことによって永遠に付き纏う危険と天秤にかけてもその情報を話せる、そんな人を探さなあかん事やな。情報屋やっとったら下手したら墓場まで持っていかんとあかん事もざらにあるやろ」


 そして、ごくんと飲み込み、続けた。


「ま、ワイは運よく、墓場まで持っていくのは確実って思うとった情報を話せる奴が現れた」


 ピッと、焼き鳥の串をこちらに向け、


「大多数の意見に振り回されることなく、核心に迫る(したた)かさ」


 そう言ってピンッ、と串を上に弾く。

 それは何回転かした後、串入れにストンと入った。


「それとエリナが初めて、他の人がいる時に()()()()()を言ったしな」

「名前、か」

「せや。エリナは人を見る目あるからな。まず間違いあらへん」


 そしてニヤリとして、


「ワイはそんな人に会えたんや。嬉しくないわけないやろ?」


 カッカッカ、そう愉快そうに笑った。

 なるほど、ここに入った時から試されていたわけか。

 だが、気分は悪くない。


「俺も有難い。お前が優れた情報屋でな」


 久しぶりだ、手放しで称えたくなったのは。

 俺は、強大な組織を敵に回す事になるにも関わらず、笑っていられるこの情報屋に心からの賛辞を贈った。


「うお!?死を具現化した様な男に褒められたわ!怖っ!何が狙いや!?」

「......」

「まあ、正直言うと『レッドコア』より、アンタを敵に回した方が怖いってのが本音なんやけどな」

「......」

「イベントの戦いもそうやったけど、なんやあれ?何故かこっちまで死をイメージさせられたで?分かった、あれがアンタのスキルか!スキル【死神】とか?ピッタリやなぁ......うぉっ!?」


 トーン。

 2本のナイフが笑いながら話していたヤマトの首の両側を皮一枚切って壁に突き刺さった。

 それを確認して、俺はジョッキに入った酒を一気飲みした。

 ドン、机に置く。

 さっきまで、酔っぱらっていたヤマトは一瞬で素面に戻って、自分の首に手を当てた後、引き攣った笑顔をこちらに向けた。


「だ、旦那?」


 ヤバいと感じたのか、机に手を突き立ち上がろうとするヤマト。

 トーン。

 次はヤマトが手をついた両手指の間にナイフがそれぞれ突き刺さった。

 俺はまたジョッキを空にして机に置く。


「動くなよ、危ないだろ?」

「ちょ、ストップ。冗談、冗談やて」


 トーン。

 次のナイフは両目の横を通過し、壁に突き刺さった。

 俺は更にジョッキを一気飲み欲した。


「なあ?」

「は、はい!旦那!な、なんでございましょうか!」

「とっておきの情報、知りたくないか?」

「あ~、いえ、結構で......」


 スチャッ、とナイフを構える。


「是非、教えて頂きたいです!」

「そうか、それならしょうがない」


 俺は、予備の酒の入った大樽を担ぎ、ゴッゴッゴ、と飲みほし、ドン、と床に置いた。

 振動で串入れや空のジョッキが机の上からバラバラと落ちていった。


「うおっ、そんなアホな!?」


 ふ~、と一息つき、口を腕で拭いながら、俺は言った。


「俺がどれだけ酒を飲めば狙いが狂うか、その身をもって教えてやる」

「か、堪忍してや~!!!」


 シリエスにヤマトの断末魔が響き渡ったのであった。

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