第八話 装備更新
遅くなりました。
登場する武具、魔法具についてはある程度時代を考慮しています。ファンタジーとは言え、流石に現代武器を機構ごと再現した物(アサルトライフルはなし、一見ほぼアサルトライフルだけど仕組みが全く違うものはあり)や、その他現代にしか存在しえないような技術、物品(音速を超えて空を飛ぶ乗り物とか)は登場させないつもりです。ただ、武具の威力が現代兵器を超えることはあり得ます。
―――(ペルシオ視点)―――
予想外の収入のおかげで、装備を更新できる。俺は冒険者ギルドから出て右へ進み、冒険者ギルドの二軒隣にある武具屋に向かう。
武具屋はそれほど広くないが、この時間帯には人が押しかけないので、のびのびと武器と防具を見て回れる。投擲武器が欲しいので、それらを重点的に見ていく。手当たり次第に〔慧眼〕を使い、品質を見定める。〔武具支配〕で操作するのにも使用するが、自分の手で扱う為にも、投擲武器を購入したい。
投げナイフ、チャクラム、投擲槍、投げ斧……手裏剣、苦無は流石に無いか。〔武具支配〕を使うならどれでも大差ないだろうが、邪法を介さない投擲用としてなら〔短剣術〕が適用される投げナイフがいいだろう。
籠に纏めて放り込まれていたものの中からなるべく丈夫なものを探す。10本ほど見繕っておく。
次は防具。胸部や肘、膝、足は既に革で保護してある。装備重量の増加を嫌って最低限の防具しか着用していなかったが、しかし、やはりそれ以外の部分のための防具も必要だと、ピーキットとの戦いで痛感した。
あれだけ容易く身体を切り裂かれてはたまらない。
購入するものとしては、鎖帷子のような、動きを阻害しない、やはり軽量なものが好ましい。これもまた、コストパフォーマンスが良いものを探す。金属鎧、魔物の革鎧なども他にあったが、俺がそれを着ることは一生ないだろう。
店主に武具の購入と短剣の修理を頼む。この短剣は俺の相棒だ。死ぬまで使い続けたい。
「これらの品の購入とこの短剣の修理を頼む」
「この短剣、一体どんな使い方をしたらこうなるんだ? ボロボロじゃないか。刃は欠けて、刀身は柄との接続が緩くなっているぞ。まぁ、直せないことはないが……。こりゃ修理費は大分高くなるな。新しいものを買うのと大差ない額だ」
「それでも構わない。直せるなら頼む」
「武器に愛着が沸いたタイプか、まぁ良い。承った。明日の朝に受け取りに来てくれ。それと、投げナイフ10本で銀貨50枚、鎖帷子は銀貨80枚と銅貨20枚だ」
俺は銀貨を差し出す。これで路銀を除いた残金は銀貨67枚と銅貨60枚。稼げる内に稼いでおこう。
「ちょうど金貨1枚、銀貨30枚と銅貨20枚。毎度あり!」
俺は武具屋を出た。今は14時頃。この町の門が閉まるのは21時だから、今から「ディーズ丘陵の魔物討伐」を受諾しても問題なく間に合うだろう。
俺は冒険者ギルドへ行き、再び「ディーズ丘陵の魔物討伐」を受諾した。ギルド受付の担当者から「あんたまだ戦う気!?」とでも言いたそうな、驚愕と呆れの混ざった視線を受けながら俺は冒険者ギルドを後にする。
再びディーズ丘陵の林に入る。冒険者たちは4パーティ、中に居る。奥の方に潜っているのが1パーティのみいるから、彼らにだけは注意しておこう。
居た、森狼だ。しかも群れ。数は3体。
的が小さいが、投げナイフの練習には使える。
〔武具支配〕は使わない。視界に入らないように留意しながら投げナイフの柄を持って投げる。
1投目。投げナイフは森狼たちの頭上を通り過ぎていく。最初はこんなものか。奴らに気付かれていないのは僥倖か。
2投目。森狼に当たったが、それは刃ではなく柄だった。奴らは投げナイフが飛んでくることには気付いているが、俺の存在には気付いていないようだ。
3投目、4投目……7投目にしてやっと刃が森狼に刺さった。殺傷とまではいかなかったが、コツは掴んだ。
8投目を7投目と同じ森狼の首に当て、仕留める。ある程度狙って当てられるようになった。
9,10投目を他の森狼に当て、残りの森狼は〔惨劇〕で仕留める。
<経験値を入手しました>
投げナイフをものにするにはまだ訓練が必要だ。投げナイフと魔物の死体を回収して他の魔物を探す。
次は、小鬼戦士2体、小鬼射手1体、小鬼魔術師1体の群れだ。投げナイフを4つ、1体につき1本投げる。
小鬼戦士1体、小鬼魔術師1体を仕留めることができた。どちらも頭に投げナイフが刺さって死んでいる。
残りは腕に当たったらしく、小鬼戦士1体と小鬼射手1体は武器を取り落としていた。
<経験値を入手しました>
追加で1体につき1本ずつ投げる。
今度はどちらも頭に当たり、仕留めることができた。
<経験値を入手しました>
<Lvが上がりました>
投げナイフと魔物の死体を回収する。できれば次は猪系と戦闘したい。〔武具支配〕で投げナイフを遠隔操作する訓練がしたい。
〔探査〕。俺の真横に何か居るらしい。正面の奥にも何か居る。
……全身が濃い茶色の小型の蛇、暗殺蛇か。〔索敵魔法〕がないと発見できないといわれる、隠密行動が得意な中位種の魔物だ。
このような魔物まで出没するのか……
投げナイフを投げる。暗殺蛇の体を地面に縫い留めた。
それに〔武具支配〕を行使、魔力を糸のように変形させ投げナイフの柄に絡ませる。そして暗殺蛇を頭まで真っ二つに切り裂くよう魔力糸を動かす。
が、それはその場で振動するだけで、奴の体を切断しない。
……しまった、投げナイフは耐久性のために焼き入れが甘いから、切れ味はほとんどないのだったか。
俺は〔武具支配〕を切って、投げナイフを頭に向かって投げる。暗殺蛇はのたうち回っていて、命中させられる自信が無かったので、投擲したのは3本だ。
2本は暗殺蛇の頭の可動域を狭め、3本目の投げナイフが奴の頭を貫いた。
魔力:1006/3455 → 946/3455
<経験値を入手しました>
投げナイフと暗殺蛇を回収して、俺は正面の奥に居る存在の元に向かう。
2体の暴れ猪の群れ。獲物を探しているらしく、ゆっくりと辺りを見回しながら歩いている。
そうだ、銃弾の様に投げナイフを飛ばせないだろうか?
投げナイフを軽く上に放り投げ、〔武具支配〕を行使。魔力糸で掴み空中で静止させ、錐揉み回転を始める。そして、徐々に回転速度を上昇させる。
問題無し。上手く回転している。
回転させたまま、手前の暴れ猪の脳天に投げナイフが飛んでいくよう狙い、勢い良く前に押し出す。同時に掴んでいた魔力糸を消滅させる。
すると、投げナイフは矢のように射出され、飛んでいく。
投げナイフは暴れ猪の眼球に穴を開け、奴の脳天を貫通した。
<経験値を入手しました>
魔力:948/3455 → 930/3455
今度は複数のモノの同時操作を試みる。
もう一体の暴れ猪に向け、今度は2本、錐揉み回転する投げナイフを射出する。それらはほぼ狙った通り、奴の腹と頭を打ち抜いた。体表を抉り、体内まで深く潜り込んでいる。
魔力:930/3455 → 908/3455
<経験値を入手しました>
それから5体の魔物を狩った。内訳は小鬼兵2体、放浪狼3体。
魔力:915/3455 → 803/3455
〔武具支配〕についてだが、現在は8本までしか操れないようだ。それ以上は、技量的問題により魔力糸を生成できなかった。訓練すれば同時に生成、操作で可能な魔力糸の数は増えるだろう。
投げナイフには切れ味がないため、刃物を操って敵を斬る、などという戦い方は試せなかったが、銃弾の様に打ち出せるなら十分といえる。熟練すれば、射出後の投げナイフの軌道を、魔力糸で引っ張る事で湾曲させられるかもしれない。
太陽の位置からして、現在18時。日没まで秒読みだ、帰還するとしよう。
<魔物について>
小鬼戦士...肌の色は濃緑色。目は黒い。大きい鉤鼻を持ち、六頭身の人型の魔物。身長約144㎝。武器を使用する知能があり、中でも近接武器を得意とし、好んで使う。ほかの小鬼系の魔物と共に集落をつくることもある。
小鬼射手...肌の色は濃緑色。目は黒い。大きい鉤鼻を持ち、六頭身の人型の魔物。身長約144㎝。武器を使用する知能があり、中でも遠距離武器、特に弓を得意とし、好んで使う。ほかの小鬼系の魔物と共に集落をつくることもある。
小鬼魔術師...肌の色は濃緑色。目は黒い。大きい鉤鼻を持ち、六頭身の人型の魔物。身長約144㎝。魔法を使用する知能があり、杖を持っている。ほかの小鬼系の魔物と共に集落をつくることもある。
暗殺蛇...全身が濃い茶色。全長1m。〔索敵魔法〕が無いと発見できないほどの高い隠密性を持つ蛇系の魔物。一撃で獲物を噛み殺すのに特化しているため、顎の力が強い代わり、ほとんど使わない毒腺が退化している。




