第七話 勇者一行の狩り
メリア視点です。
―――(メリア視点)―――
昨日はあの後、全員がLv:30ぐらいになるまでここで狩りをすること、それと同時に不自然な魔物の強化、増加の原因を探ることを決めて、全員の今のステータスを確認した。
起きたのは日が昇ってすぐくらい。朝食を食べて、ソイフォルとケイディンと合流し、勇者パーティ全員で冒険者ギルドに入った。
冒険者の1人と偶然目があう。すると急に彼はニヤッと笑い、冗談交じりに大声を張り上げた。
「さあさァ、大陸を救う勇者様御一行のお通りだァ! テメェら、道を開けろォ!」
みんながこちらを見て、そしてすぐに歓声があがる。まるでお祭り騒ぎだ。ガヤガヤ言いながらも彼らは横に避け、私たち掲示板までの道とギルド受付までの道ができた。道をつくらないといけないほど混んでいたわけでもないのに。さらに、ギルド職員も手を叩いて騒ぎに混ざっているように見える。
「……」
私たちの内、誰もこうなるとは思っていなかった。顔には出さなかったけれど、こういうのは気恥ずかしい。けれど同時に、冒険者ならこうだよね、と納得もしていた。
「楽しい事や面白い事が大好き、でも仕事はキッチリこなす。それが冒険者なのよ」
昔、故郷の村に訪れた冒険者のお姉さんがそう教えてくれた。
私たちは「ディーズ丘陵の魔物討伐」という依頼を受けた。冒険者たちの歓声と熱気を背に、私たちは足早にギルドを去り、ディーズ丘陵へ向かった。
ギルドから出ても、ソイフォルとアギサの顔が引きつっていたままなのを見ちゃって、私は笑いをこらえるのに必死だった。ソイフォルとアギサは、ああいうたくさんの人とその元気な感じが苦手だったんだろう。
町を出た後、私たちは北東に進み、ディーズ丘陵の平原に向かった。見晴らしがよくて、不意打ちに気をつける必要はないみたい。あっちこっちに魔物が見える。冒険者たちもちらほらいるけれど、お互い邪魔にはならないぐらいには離れている。
パーティの基本、前にケイディン、真ん中にアギサと私、最後にソイフォル、という陣形を組んだ。
アギサが〔祈り〕でみんなの能力を上げ、邪悪なものによく効く聖なる力を宿させる。
「じゃあ、先制攻撃、行くよ! 〔雷弾〕!」
そう言ってソイフォルは目の前の暴れ猪の群れに魔法を放つ。
でも、それはただの〔雷弾〕じゃない。賢者だけが持つスキル、〔魔法改造〕で効果が変えられたもの。
群れの中心に落ちた〔雷弾〕は地面に着くと同時に弾けて、放電した。電撃をまともに浴びた暴れ猪の群れはしびれて動けなくなっている。
その隙に私、ケイディン、アギサは暴れ猪の群れに向かって走っていき、それぞれの武器で攻撃する。アギサは杖を使っているけれど、ちゃんと急所を攻撃して攻撃力の低さを補っているみたい。
<経験値を入手しました>
「倒しました」
アギサが言う。ケイディンもトドメをさしたみたい。魔物の死体はお金になるから、〔亜空間倉庫〕に集めておく。
次に見つけたのは小鬼の群れ。今度はソイフォルは魔法で援護せず、他の一匹の狼を一人で倒すつもりだ。
アギサが〔祈り〕を使ったのを確認してから、私とケイディンは小鬼の群れへ突っ込んでいく。
小鬼の群れの編成は、こちら側から剣を持った小鬼兵2匹、その後ろに弓を持った小鬼兵2匹。
私は飛んできた矢を避け、そのまま回転して剣を横に薙ぐ。
剣を持った小鬼兵は首を真横に切り離され、ドサ、と倒れる。そのまま距離をつめ、弓を持った小鬼兵を同じように斬る。
<経験値を入手しました>
<Lvが上がりました>
<スキルのLvが上がりました>
<適正職のLvが上がりました>
ケイディンは剣を持った小鬼兵を大盾で殴って、弓を持った小鬼兵にぶつけてから、斧でまとめて叩き切っていた。
「おっ、スキルのLvが上がった」
彼の方も、戦いが終わったみたい。
ソイフォルはというと、放浪狼を氷の彫像にしていた。
今度は狩猟猪の群れだ。
狩猟猪たちはこちらに気づくと5頭でこちらを囲むように移動してから突進してきた。
ソイフォルが〔雷弾〕を放つも、群れ全体をとらえられなかった。
2頭は動きを鈍らせられたけど、残りの3頭はそのまま来た。
暴れ猪とは比べ物ならないくらい、狩猟猪の突進は速い。
左斜め後ろと真後ろ、そして右斜め後ろから狩猟猪がすぐそこまで来ていた。
「俺が左からの2頭を受ける!」
「私は右からの1頭を!」
右斜め後ろから来た1匹の牙に剣を添えて、突進の向きを変える。
ケイディンは斧で1頭の頭を殴ってひるませ、もう1頭を大盾で受け止めた。
衝撃が強かったのか、顔をしかめている。
アギサが彼の治療に入り、ソイフォルがカバーに入る。
「〔治癒〕!」
「〔風牙〕!」
狩猟猪の足元から風が吹きあがり、狩猟猪の体を切りつける。
ひるんで後ろに下がったところに、彼の斧が振りぬかれる。二匹とも頭を砕かれ、倒れた。
私は、突進を受け流した後、目の前に差し出された横腹に剣を刺して、振りぬく。
血が溢れて、狩猟猪は体から力が抜け、横たわった。
<経験値を入手しました>
「ケイディン、無理をしないで下さい。私に1頭任せて下さってもよろしかったでしょうに……」
「悪い、行けると思ったんだ」
魔物を狩り続ける内に、空の端が夕暮れに染まった。今日はこれで切り上げて、休もう。こう判断して、依頼達成の報告のために冒険者ギルドに戻った。
依頼達成報酬をもらい、宿に戻る。そして夕食を済ませてから、私たちはソイフォルたちの部屋で話を始めた。
「ソイフォル、何か手がかりはつかめた?」
「いや、まったく。もっと強い奴が現れないと。変な魔力の流れもなかった。〔魔力操作〕のLvがもっと高ければ、そこら辺の魔物からでも不自然な魔力の動きを感知できるんだけど……」
「そう。時間がないわけでもないから、そんなに焦らなくても良さそうかな。他には?」
「アギサの立ち回りを見ていて思ったんだが……」
……
「こんなもんかな? じゃあ、今日一日でどれぐらいステータスが上がったかの確認をしよう」
そう言って、みんなお互いのステータスを伝える。
まとめると、
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名前:メリア
種族:人間♀ Lv:27 → 29
職業:冒険者 ランク:S
適正職:勇者Lv:3 → 4
体力:409/417 → 428/437 魔力:315/315 → 331/331
攻撃力:111 → 132
魔法攻撃力:104 → 125
防御力:98 → 118
魔法防御力:89 → 109
素早さ:127 → 147
器用さ:115 → 135
スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔剣術〕Lv:8 〔魔力操作〕Lv:3 〔聖剣〕Lv:2 〔手加減〕Lv:5
魔法:〔亜空間倉庫〕 〔炎弾〕 〔水弾〕 〔雷弾〕 〔岩弾〕 〔風弾〕 〔氷弾〕 〔光弾〕 〔聖なる一筋の光〕
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名前:ケイディン
種族:人間♂ Lv:29 → 30
職業:冒険者 ランク:S
適正職:守護者Lv:3
体力:617/617 → 657/657 魔力:150/150 → 154/154
攻撃力:163 → 193
魔法攻撃力:48 → 50
防御力:217 → 247
魔法防御力:177 → 197
素早さ:87 → 91
器用さ:100 → 110
スキル:〔鑑定〕Lv:2 〔盾術〕Lv:8 〔斧術〕Lv:7 〔魔力操作〕Lv:1 〔攻撃集中〕Lv:5 〔要塞〕Lv:2 → 3
魔法:〔亜空間倉庫〕
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名前:アギサ
種族:人間♀ Lv:23 → 25
職業:冒険者 ランク:S
適正職:聖者Lv:3
体力:216/216 → 232/232 魔力:305/337 → 323/357
攻撃力:65 → 72
魔法攻撃力:78 → 100
防御力:67 → 74
魔法防御力:81 → 103
素早さ:137 → 167
器用さ:97 → 117
スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔棒術〕Lv:6 〔魔力操作〕Lv:3 〔祈り〕Lv:3
魔法:〔亜空間倉庫〕 〔水弾〕 〔風弾〕 〔光弾〕 〔治癒〕 〔自然治癒〕 〔浄化〕
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名前:ソイフォル
種族:人間♂ Lv:27 → 29
職業:冒険者 ランク:S
適正職:賢者Lv:3
体力:253/253 → 269/269 魔力:486/546 → 507/570
攻撃力:73 → 80
魔法攻撃力:412 → 442
防御力:71 → 78
魔法防御力:101 → 123
素早さ:114 → 144
器用さ:117 → 137
スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔棒術〕Lv:7 〔魔力操作〕Lv:5 〔魔法改造〕Lv:3
魔法:〔亜空間倉庫〕 〔索敵〕 〔炎弾〕 〔水弾〕 〔雷弾〕 〔岩弾〕 〔風弾〕 〔氷弾〕 〔光弾〕 〔闇弾〕 〔炎牙〕 〔水牙〕 〔雷牙〕 〔岩牙〕 〔風牙〕 〔氷牙〕 〔光牙〕 〔闇牙〕 〔魔力砲〕
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となった。
「明日はもうちょっと奥の方へ行こうか」
そんなことを決めて、私とアギサは自分たちの部屋に戻った。
<魔物について>
小鬼兵...肌の色は緑色。目は黒い。大きい鉤鼻を持ち、五頭身の人型の魔物。身長約120㎝。武器を使用する知能がある。ほかの小鬼系の魔物と共に集落をつくることもある。
狩猟猪...猪と狼を7:3の割合で混ぜたような生物。体毛は茶色。目は黒く、発達した牙と歯を持つ。顔は狼のように細長く、脚は猪のように太く、胴体は普通の猪より細く、長くなっている。狼のように群れで狩りをする。
放浪狼...体毛は薄灰色、目は黒色。全長約160cm、体高約90cm、体重約50kg。少数の群れで旅をする。大体どこにでもいる。




