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第三話 異常事態発生

まだ説明回気味。ですが、ちゃんと物語らしくなってきますよ!

 勇者一行は北から王都を出たな。もう姿は遠くに見えている。では、こちらも行動開始としよう。俺は屋根を飛び移り、王都の門を飛び越える。門番に発見されたくないからだ。


 フィルディータ王国はルイード教という、勇者を神の遣いとして崇める宗教を国教をしている。つまるところ、少なくともこの国においては、国民全員が勇者の味方であり、邪法使いの敵である。他国に渡れば多少変化するだろうが、大陸南部においてはこの宗教の影響は強い。


 勇者一行が出てすぐに俺が王都を出ようとしていることが知られると、これまた神話のせいで勇者一行に悪事を働こうとしているのではないか、とあらぬ疑いをかけられかねない。奴らは、こじつけが得意分野なのだ。


 本当に忌々しい。俺が生まれ落ちたこの国も、俺を貶めたあの宗教も。



 王都の外はフェル平原が広がっていてあちらこちらにジェル状、分類上は不定形(スライム)系とされる魔物が見える。その北にはオプロト大森林、東には商業都市エピヒ、南には港町オルモ、西にはサトという町がある。


 「魔物」とは、この世界において、「生きている」と定義されたものの総称である。たとえ岩の塊であろうとジェル状であろうと、「生きている」と判断されればそれは魔物の一種だ。


 メリアに持たせたペンダントの魔力から、彼女たちはオプロト大森林を北進して、隣国のデピス王国に向かっている事がわかる。


 デピス王国は国教の無い国で、様々な考え方が混在している。邪法使いに対する考え方も千差万別だ。


 王国、と名乗っているものの、この国には議会が存在する。


 数年前、何の前触れも無く突然に王が現在の政治体制を導入する事を宣言し、議会政治になったらしい。議会には、平民、貴族からそれぞれ3人ずつと王家から1人、代表を選び、多数決で決議するらしい。


 そのうち議会では平民と同列に扱われる貴族たちの不満が高まって、反乱がおこるのではないか、と俺は危惧している。


 あそこに行く目的は、Lv上げと勇者の聖剣を抜くためだろう。


 最近デピス王国では魔物の数が増え、かつより強力になっているらしく、冒険者の間ではLv上げの名所として有名になっている。この魔物の増加に魔王らが関わっている、という噂も存在する。


 勇者の剣というのは、RPGではお約束の、勇者にしか抜けない剣である。俺も一度、実物を見てみたい。考古学的に重要かつ興味深いものであるからだ。



 歩き続けて1日が経った。勇者一行は天幕を張って休み、俺は近くの樹の上で待機して夜を越した。


 彼女たちは森の中をどんどん進んでいく。この1日間、様々な手段で計測したところ、賢者が斥候役を兼ねているようで、自身を中心に半径300メートルほどを魔術で索敵している。この範囲は、一般的な索敵魔法である〔索敵(サーチ)〕と大して差が無い。特殊な索敵魔法を何者かから教授された訳では無さそうだ。


 しかし、賢者は、魔術の規模や効果を自由に加減できるという。それも、その気になれば、もっと広い範囲をカバーできるのだろう。流石に、大して危険な魔物が出現しないこの辺りで、魔術の規模を拡大しているとは考えづらい。



 〔探査(ソナー)〕を使い、賢者が探しきれないであろう部分を重点的に索敵する。勇者一行に索敵された事を感づかれないよう、〔虚構(フィクション)〕で〔探査(ソナー)〕への認識に限定してジャミングをしかけ、知覚し辛くした。ばれたら面倒だ、隠蔽工作は徹底するに限る。


 問題が生じない限界索敵半径は500メートル、全方位問題な……


 ……否、何かが居る。



 この森の、この辺りで出現するには不自然な人型の魔物、それも、頭から角が生えている。その魔物はジリジリと勇者一行に近づいていっている。


 賢者の〔索敵魔法〕の範囲にも入ったがその存在は構わず進む、賢者も気付いた素振りは無い。


 これは……明らかに敵、魔族だ。動きからして、相当場数を踏んだ暗殺者だろう。このままでは、勇者一行のうち、誰かが不意打ちにより命を落とす。


 俺が目指すのは、勇者一行全員が生還する「ハッピーエンド」だ。誰一人として、欠けさせはしない。


 問題は、どうやって敵を勇者一行から引き剥がし、排除するか。


 爆音を立てて注意を引くのはどうだ。700メートル程度まで届く音を鳴らすのは今の俺でも可能だが……、ここでそれをやると、間違いなく勇者一行全員にもばれる。却下だ。


 〔空間歪曲(ワープ)〕で急襲して、遠くへ、森の奥深くへ瞬間移動させるか。それがいい。〔空間歪曲(ワープ)〕は独特の音が鳴るが、〔虚構(フィクション)〕で誤魔化そう。


 時間が無い。早急に行動を起こす。


 俺は敵のすぐ近くに〔空間歪曲(ワープ)〕で移動し、続けざまに自分の足元に〔空間歪曲(ワープ)〕を使用する。唸り声とともに足元には闇へと繋がる亀裂が生まれ、俺と敵はそれに落ちていく。


 たどり着いた先は、オプロト大森林の奥地、勇者一行からは4キロメートルほど離れている。ここなら、少しくらい派手に戦っても、構わないだろう。

今回は前二回に比べ短めですが、キリがいいので話を一度切りました。

次回、戦闘回です。

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