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第二話 勇者一行出発当日

何度も改稿するかもしれません。おおまかな内容は変わらないと思いますが、ご了承ください。

第1,2話連続でほぼ説明回になってます、すみません。次回は説明回ではなく、ちゃんと物語になります。

 屋根を伝って王都の北大通りに出る。もちろん、勇者一行の出発を俺が見ていることが知れると面倒ごとになりかねないため、気配を消して行動する。〔隠密〕Lv:1程度の隠形は粗末なものに過ぎないが、この距離なら気付かれる事は無いだろう。


 そこは人で溢れかえっていた。皆、勇者一行の出発を目の当たりにしたいのだろう。人混みからでは彼女たちが見えないからか、屋根に登って眺めている人もいる。怪人(ミュータント)になって、視力も例外なく強化されているため、ここからでも彼女たちがよく見える。


 送ったペンダントは……首にかけているな。親指サイズで八面体状の、白色透明の魔石に紐を通しただけの地味なものだ。そのうちバッグの肥やしになるだろうが、それで構わない。廃棄或いは破壊さえされなければ良い。 

 あれには治癒魔法の魔法陣を彫り込んであり、自分の魔力から作成した品である為、メリアがもし敵に連れ去られたとしてもペンダントに込めた魔力を頼りに追いかけることができる。そんなことはそうそう起こらないだろうが、念には念を入れておいた。


 さて、勇者一行の〔ステータス〕を見るとしよう。普通は他人の〔ステータス〕を見る事は出来ないが、〔鑑定〕系のスキルである〔慧眼〕があれば可能だ。このスキルは、スキルや魔法、適正職の概要、道具の性能も見る事が出来るので、かなり重宝する。


 まず、メリアから。魔物の革製の鎧をつけて、剣を腰から提げている。髪が昔に比べ長くなっていたものの、茶髪だったから、すぐに彼女だと分かった。

――――――――――――――――――――――――

名前:メリア

種族:人間(ヒューマン)♀ Lv:27

職業:冒険者 ランク:S

適正職:勇者Lv:3

体力:417/417 魔力:315/315

攻撃力:111

魔法攻撃力:104

防御力:98

魔法防御力:89

素早さ:127

器用さ:115

スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔剣術〕Lv:8 〔魔力操作〕Lv:3 〔聖剣〕Lv:2 〔手加減〕Lv:5

魔法:〔亜空間倉庫(インベントリ)〕 〔炎弾(ファイアバレット)〕 〔水弾(アクアバレット)〕 〔雷弾(エレキバレット)〕 〔岩弾(ロックバレット)〕 〔風弾(ウィンドバレット)〕 〔氷弾(アイスバレット)〕 〔光弾(ライトバレット)〕 〔聖なる一筋の光(ホ-リーレイ)

――――――――――――――――――――――――

 〔手加減〕があるということは、やはり戦いが苦手なままで、気づかないうちに手加減しているからか。それと、気になる点がもう1つ。何というか、少しだけ纏う雰囲気が変わった気がする。悪い意味で大人らしくなった、という表現がしっくりくる。


 次は見るからに重そうな金属鎧を着て、斧と盾を装備した、守護者の男。

――――――――――――――――――――――――

名前:ケイディン

種族:人間(ヒューマン)♂ Lv:29

職業:冒険者 ランク:S

適正職:守護者Lv:3

体力:617/617 魔力:150/150

攻撃力:163

魔法攻撃力:48

防御力:217

魔法防御力:177

素早さ:87

器用さ:100

スキル:〔鑑定〕Lv:2 〔盾術〕Lv:8 〔斧術〕Lv:7 〔魔力操作〕Lv:1 〔攻撃集中〕Lv:5 〔要塞〕Lv:2

魔法:〔亜空間倉庫(インベントリ)

――――――――――――――――――――――――

 いわゆるタンクか、物理特化のステータスだ。防御系の能力に関しては最早化け物じゃないか。人当たりの良さそうな奴だ。


 次、ひと目で聖職者だと分かるような服装をし、権杖に似た杖を持っている聖者の女の〔ステータス〕だ。

――――――――――――――――――――――――

名前:アギサ

種族:人間(ヒューマン)♀ Lv:23

職業:冒険者 ランク:S

適正職:聖者Lv:3

体力:216/216 魔力:337/337

攻撃力:65

魔法攻撃力:78

防御力:67

魔法防御力:81

素早さ:137

器用さ:97

スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔棒術〕Lv:6 〔魔力操作〕Lv:3 〔祈り〕Lv:3

魔法:〔亜空間倉庫(インベントリ)〕 〔水弾(アクアバレット)〕 〔風弾(ウィンドバレット)〕 〔光弾(ライトバレット)〕 〔治癒(ヒール)〕 〔自然治癒(リジェネ)〕 〔浄化(ピュリフ)

――――――――――――――――――――――――

 ヒーラーか。いかにもそれらしいステータスだ。服装も雰囲気も、聖女というイメージと違わない。


 最後、眼鏡をかけて、宝玉が先端にはめ込まれた杖を持ち、紺色のローブを着ている賢者の〔ステータス〕。

――――――――――――――――――――――――

名前:ソイフォル

種族:人間(ヒューマン)♂ Lv:27

職業:冒険者 ランク:S

適正職:賢者Lv:3

体力:253/253 魔力:546/546

攻撃力:73

魔法攻撃力:412

防御力:71

魔法防御力:101

素早さ:114

器用さ:117

スキル:〔鑑定〕Lv:3 〔棒術〕Lv:7 〔魔力操作〕Lv:5 〔魔法改造〕Lv:3

魔法:〔亜空間倉庫(インベントリ)〕 〔索敵(サーチ)〕 〔炎弾(ファイアバレット)〕 〔水弾(アクアバレット)〕 〔雷弾(エレキバレット)〕 〔岩弾(ロックバレット)〕 〔風弾(ウィンドバレット)〕 〔氷弾(アイスバレット)〕 〔光弾(ライトバレット)〕 〔闇弾(ダークバレット)〕 〔炎牙(ファイアタスク)〕 〔水牙(アクアタスク)〕 〔雷牙(エレキタスク)〕 〔岩牙(ロックタスク)〕 〔風牙(ウィンドタスク)〕 〔氷牙(アイスタスク)〕 〔光牙(ライトタスク)〕 〔闇牙(ダークタスク)〕 〔魔力砲(マナブラスター)

――――――――――――――――――――――――

 賢者の雰囲気はまさにインテリ、図書館に籠るのが似合う奴だ。



 これで勇者一行のステータスはすべて確認した。勇者一行の適正職はどれも成長性が高いものらしい、Lv:90以上にもなれば化物じみたステータスになるだろう。


 噂によれば、勇者一行は王都を出た後、大陸の南、東、北、西にいる四天王を順に倒して、その後魔王がいる大陸へ渡り、魔王を討伐する、という流れらしい。彼女たちが出発して少ししたら俺もこの国を出て、彼女たちの後を追うとしよう。


 ステータスがあったり、魔王討伐が「組織」ではなく勇者一行という「個人」を主軸として行われたりと、この世界はまるで王道RPGのようだ。それだけ個人の力が強大で重視される世界だという見方もあるが。


 その馬鹿げた仮説にのっとって考えるなら、彼女たちが出発直後に危険な目にあうなどありえない。しかし、念には念を入れておくに限る。


 ―――(視点:メリア)―――


 私はメリア。12歳の時に勇者だと分かってから、王都で6年間訓練して、今日旅立つ。戦うのは苦手だけど、みんなの幸せのため、勇者の私が頑張らなくちゃいけない。


 そんなことを考えていた今朝、予想外の人から贈り物が来た。送り主は私の幼馴染だったペルシオで、送られた珍しい色の魔石のペンダントには〔創傷治療(リカバー)〕の魔法陣が込められていた。見たことも聞いたことも無い魔術だったけれど、添えられた手紙に「とある高名な魔術師の、現在開発中の魔術の1つだ」と書かれていたから、当然といえば当然かもしれない。



 彼は、私が勇者だと分かった日に、邪法使いの適正が見つかった。邪法使いは伝説で悪者になっていて、だからみんな、彼の事を悪魔だ、化け物だ、って言っていじめていた。


 彼は、すごく優しくて、頼れる兄のような存在だった。伝説で、勇者たちを裏切った邪法使いなんかとは全然違う。何でみんなして、彼をいじめるんだろう。私には全く分からなかった。


「ペルシオを伝説のと一緒にしないで!」

とあれからしばらく周りの人に訴えかけていたけれど、何も変わらなかった。


 私が頼っていた彼のその背中は、日に日に小さく、生気はうすくなっていった。そんな彼が心配で、彼が斥候養成学校に入ってからも文通だけはしていた。


 彼が15歳になってから連絡が途絶えていたけれど、今日贈り物をしてくれて、ああ、彼はちゃんとどこかで無事に暮らしているんだなって、ちょっとだけ安心した。勇者一行として大陸中を旅するのだから、いつか彼にも会えるはず。


 魔王を倒したら、今度は何の目的もなく、世界中を旅してみたいな。


「さ、メリア、行こうぜ!」

 勇者パーティの一人、守護者のケイディンが私を呼んだ。

「私たちならきっと成し遂げられます。かつての勇者様方が、私たちを見守ってくださっていますから」

 聖者のアギサがいう。

「救世主の使命を、果たしに行こう」

 賢者のソイフォルが自分たちを奮い立たせるようにそう言った。

「うん、行こう!」

 私は王都を発った。その時、私はペルシオくんが私が思うより近くで、見守ってくれているように感じた。……気のせい、かな。もう6年も経つけど、あんな事があった彼のことが心配なだけかもしれない。



 ……さ、切り替え切り替え! 私の使命は魔王を倒して、この大陸を救う事! みんな、行ってきます!

ミリアはペルシオのことを、頼れる兄のようなもの、でも今はどこにいるかわからず、そう簡単に会えない人と考えています。「ペルシオに会いたい」という主旨のことを言っていますが、妹が「生き別れた兄に会いたい」というようなもので、現在、恋愛感情らしいものは芽生えていません。

視点の変化について、視点変化の度、視点となるキャラクター名を記載します。

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