母からの教え
【7】
退院してこれから1ヶ月は実家にいることになっている。
母からお風呂の入れ方や、オムツ換え、なんで泣いているかを見極める研修が始まった。
「お母さ~ん!!らいとが泣き止まないよ!ミルクも飲まない、抱っこもしてる、オムツも変えた!なんでだろ~;;」
母がニコニコしながら、らいとを抱き上げた。
「ほぉ~ら、らぁくん、どーしたの? ...うんうん、そぉかぁ~」
らぁくんは母が呼ぶ、らいとの愛称だ。
「お母さん、なんて?」
「喉渇いたんだって」
「え?!そうなの?」
母が私にらいとを差し出し、私が大泣きするらいとをだっこする。
その間に手早く離乳食用のりんごジュースを作ってきた。
またらいとを腕の中に抱え、哺乳瓶を口に持っていくと...
お? お~!!
ゴクゴクのんでる!あっという間に60mlのジュースを飲み干した。ぷは~と、満足げならいとが、こっちをみる。
はいはい、ごめんね、気付かなくて...
さすがはお母さん。だてに4人育ててないなー。
満足してすやすや眠るらいとの背中を母がさする。
飲んだあとは背中をさすって、げっぷを出させるのだ。
「あとはねー、赤ちゃんはずーっと寝てるでしょ?だから背中が痛くなったりするから泣くときもあるんだよ。」
「そうなんだね。」
オムツ換えするときは、外して5分くらいは足の運動させてあげると気持ちいいんだよー、と言って、らいとの両足を持ってお腹に近付けたり伸ばしたり、最後に付け根のあたりをもみもみしたり...。
わぁほんとに気持ち良さそうだ♪
たしかに、ずーっとオムツしてるのイヤだよなー。。
母は、「自分がもし赤ちゃんだったら」という仮定でたくさんの事を教えてくれた。
1ヶ月が経ち、新居に戻ることになった。
「お母さん、ありがとうね。」
「うんうん、頑張るんだよ、らぁくんに会いに行くからね」
母が泣く。。めっちゃ泣く
別れが辛いんだろう...
「お母さん...」
「ん?」
「いつでも会えるし、歩いて5分だから!」
そう...実家からすぐのところに、部屋を借りていたのだ。
何、泣いてんだし。
案の定、母は毎日来ることになる。
「散歩がてらに、寄ってみたー」と言って、手を丁寧に洗ってから、らいとを抱き上げる。
「らぁくん、久しぶりだねー、会いたかったねー」
──昨日ぶりでしょ
まぁ、可愛がってくれてるしね。
毎日、らいとと母のやり取りが本当に楽しい。
というか、むしろ母の一人芝居と化していた。




