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私の大切なたからもの  作者: 黒猫マグカップ
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36/40

母の命日

【36】



6月16日は母の命日。

母が亡くなって今日で8年が経つ。


母は自分で血が作るのが難しく、定期的に輸血をしていたので常に体調が良くなかった。

どこかから出血があった場合にはすぐに入院、と言われていた。


母は入院を嫌っていたので、もし出血したら、病院ではなく色んな所に遊びに連れていってほしいと、言ってきた。

入院したら、もう退院できないとわかっていたのだ。


なんとか元気になってもらいたく、私も薬の勉強をし、漢方薬やある栄養ドリンクにたどり着いた。

動悸と息切れが酷く一段も階段が登れなかったのに、薬とドリンクの効果で、休み休みだが13段(建物の約1階分)を登れるようになった。


「今日は調子いい!」など話していたが、おそらく母の調子いい=私の不調と同じくらい辛かったに違いない...いつも母は「この体もう飽きた」「今度生まれてくるときは絶対に病気しない」と話していた。


そんな母が私に夜中(午前0時過ぎに)電話をしてきた。

「お母さん、もうダメかも...」と。

あんなに強い母がそんなこと言う、、ということは...。


腰が痛い、と苦しむ母を看るのは辛かった。

とにかく痛みを取ってあげたい。

救急車で病院に向かうが、とにかく苦しそう。

どうしよう。。でもきっと先生がなんとかしてくれる、痛みを取ってくれる。


そんな中でも母は「もう遅いから家に帰れ、お母さん大丈夫だから」と私を帰らせようとする。

全然大丈夫そうじゃない。。

それでも苦しそうな母を見るのが辛く、お医者さんにお任せして母の言うとおりに早朝に家に帰った。


家に着き、仮眠を取っていると、すぐに病院から電話が来た。


───A群溶連菌。別名「人食いバクテリア」

人の中に入り込み4~5日かけて人間の細胞を食い尽くす。


余命3日と宣告された。

生きた心地がしない。

心配でしょうがなかった。

一秒でも多く母の傍に居たかった。


先生は、痛みに耐えられないだろうと、眠らせる薬を投与した。

呼吸もできないから、呼吸器も入れる。。


母は3日間眠っていた。

その間とにかく母が心配で片時も離れたくなかった。



高熱が10日ほど続く。熱を出して溶連菌と闘っているとのことだった。

先生も、どんどん良くなっている!奇跡だ。と

余命3日と言われていたが、これはもしかしたら?!助かるかもしれない。がんばれお母さん!


この日から家族の夜間の出入りは禁止され、通常通り21:00までの面会となった。


4:00 眠れず、車で母の病院まで行く。祈ることしかできないが、じっとはしてられなかった。

6:00 家に帰り朝ごはんをつくる。

8:00 子供たちを送り出して、私も仕事に向かう。

9:30~15:00 事情を話して仕事は15:00上がりにさせてもらっていた。

16:00 家に着いて夜ご飯を作る。

17:00 母の病院へ向かう。

───毎日、母がベッドに座って元気になっている姿を期待しながら病室に入る。


目は覚まさない。

呼吸器を入れたまま苦しそうな顔をする。

痛いのかな、苦しいのかな。早く元気になってほしい。

それだけが願いだった。


21:00 面会時間終了

21:30 帰宅

1ヶ月間これが生活のリズムになった。



生気の抜けた私を見ていられなかったのか、らいとが言った。

「もう寝なよ。あとは片付けておくから」

「...うん」

「あーちゃん大丈夫だよ」

「うん。そーだよね。」

「とにかく寝ろ!」


子供たちに、こんな顔を見せて申し訳なかったが、それでも母の存在は大きすぎた。


母が入院してちょうど1ヶ月、病院から連絡が来た。

溶連菌と闘って勝ったのだが、母の細胞はボロボロ。

臓器が機能できなくなってしまった。今夜が山だと...


らいととこーやにも話をした。

病院に行き、母の心電図、心拍計を眺める。

どんどん下がっていく...


このまま息を引き取るのを待っているようで、変だった。


らいとも同じ事を言った。

「このままあーちゃんの心拍計が0になるのを待つの?なんか嫌だよ」

嫌だよね。。でもどうすることもできない。



6月16日(日)13:30

多臓器不全で母は逝ってしまった。


でもこれで苦しいのから解放されたから、よかった。

お母さん頑張ったんだ。


いつも母が言っていた「今度生まれてくるときは絶対に病気しない」と言う言葉。どうか叶っていますように。



でも。。なんでだろ。

ここに母は居るのに、なぜ目を開けないのか、なぜ動かないのか、優しかった母の魂はどこに行ってしまったんだろう、という不思議な感覚だった。


らいととこーやはあーちゃんを見つめていて、どう感じているんだろう。

寂しそうに見つめていたが、私があまりにも落ち込んでいるから、子供たちはきっと何も言わずそっとしておいてくれたのだろう。

私にもし子供がいなかったら、立ち直れなかったかもしれない。らいととこーやの存在が私を助けてくれたんだ。




毎年、母の命日と、自分と母の誕生日に思うこと。

「生まれてきてくれてありがとう」

「生んでくれてありがとう」

「らいととこーやを産ませてくれてありがとう。可愛がってくれてありがとう」


今日もお墓に行って、大好きな母に感謝を伝えてこよう。













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