ジュニアパイロット
【34】
話は遡り、らいとが小学2年生、こーやが年中くらいの頃から、ANAのジュニアパイロットを毎年夏休みに利用していた。
ジュニアパイロット
添乗員さんが子供だけ預かって、目的地へ送り届けるというシステムだ。仕事で長期のお休みが取れなく、田舎に帰れないと話したところ、義理の母(旦那のお母さん)は孫たちだけでも帰って来れんかね?ということで、このジュニアパイロットを利用してみた。
らいとに話すと「んー、いいよ。こーや連れて行ってくるね」と。
羽田空港に早めに行って、らいととこーやと遊ぶ。
ごはん食べたり、お土産を見たり、
飛行機の着陸や離陸を展望台から眺めたり。
「あの飛行機に乗って行くのかな~」
「違うよ~、あっちじゃない?」
などと話ながら、出発の時間が近づいてきた。
「チケット交換してくるからちょっと待っててね」
とらいとに言うと、
「ぼくも一緒に行く!こーや!行くぞっ」
そして、料金を支払い、ジュニアパイロットの名札を付けてもらう。
ピ◯チュウの名札を付けてこーやは喜んでいる。
そんな中らいとは浮かない顔...
らいと、どーしたんだろ。急に寂しくなっちゃったかな?
そろそろ行かなきゃ!という時に、らいとが泣き出した。
──珍しい...どうした?
「らいと、どうした?行きたくなくなった?」
「ちがう...」
「どっか痛いの?」
「ちがうよ。さっき、見ちゃった、うっ。うっ。」
「なに?なに見たの?」
「ママのお財布の中、僕たちの飛行機代いっぱい払っちゃったから、お金なくなっちゃったの。見たの。明日からママご飯食べれなくなっちゃう...うっ、うっ」
「!!!!──らいと、ちがうよ、あるよ!」
「ほんとに?」
「うん!」
私はお札はなるべく見えないとこに仕舞う癖がある。飛行機代はちゃんとお札入れに入れて、取り出しやすいようにしておいたのだ。
慌てて、別の所からお金を出してらいとに見せる。
「らいと、ほら、ね?ちゃんとあるでしょ?」
「あ...よかったー、ママちゃんとご飯食べれるね」
「そうだね。大丈夫だよ、心配してくれてありがとう」
「あー。。ほんとよかったー」
ほんとにらいとは、、
子供ってこんなちょっとのことにも気付くんだな。
心配かけないように、気を付けなきゃ。
そんなこんなで、2人はゲートに入り、こーやは何度も振り返り手を振る。だけど、らいとはしっかりこーやの手を握り、一度も振り返らずに歩いていく。お兄ちゃんだから、という責任感からなのか...
子供たちが見えなくなるまで見送り、5日間の別れに号泣する。
帰りは泣きながら運転をし、5日間耐えられるか不安を抱きながら家路についた。




