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空中庭園上陸

 侍女の一人が、飛空艇の横を飛行する魔獣に向かってファイヤー・ボールを唱えたが、魔獣は火球を受けても速度を緩めず、飛空艇との距離を徐々に詰めてくる。


「このままでは、ダメですね」


 カルガナが剣と盾を手に、飛空艇のへりに足を掛けた。


「ちょっ……カルガナ様、ダメです」

「危ないです、止めてくださいっ」


 魔獣に飛び移ろうとするカルガナの腕や脚を侍女が掴んで止めた。


「そうだ、大将はどっしり構えていろ」


 クロキがガントレットの状態を確認しながら、カルガナに代わって船のへりに足を掛けた。


「まあ、どっしりなんて、女性に言う言葉ではありませんよ」


 そう言って笑うカルガナを一目見て、クロキも笑みを浮かべながら魔獣に向かって飛空艇から跳んだ。


 魔獣を操る白銀の騎士はクロキの動きに気付き、魔獣を操作してクロキが飛び移るのを防ごうとしたが、クロキはワイヤーを利用して難なく魔獣に飛び移り、魔獣の背に乗る白銀の騎士を倒すと、魔獣を操作しようと手綱を握ってみた。


「こうか……イケる」


 手綱自体に何らかの魔法が掛けられているらしく、案外簡単に魔獣を操作できたため、クロキは魔獣を操って他の魔獣に向かって行った。


 クロキは飛空艇を襲う魔獣を攻撃していき、仲間が空中庭園に到達するのを援護していったが、魔獣が奪われたことに気付いた白銀の騎士たちがクロキの乗る魔獣を攻撃し始めた。

 クロキは魔獣を操って回避しようとしたが、そこは熟練の差、複数の魔獣に追い詰められ、クロキの乗った魔獣は落下を始めた。


「クロキっ、飛び降りなさい!」


 その声に従いクロキが飛び降りると、カルガナの乗る飛空艇が真下でクロキを受け止め、そのまま速度を上げ、追撃する魔獣を振り切って空中庭園の真上まで接近したが、待ち構えていたひと際巨大な魔獣が口を開け、飛空艇に向かって火球を吐き出した。


「飛び降りなさいっ!」


 カルガナの声を合図に全員が飛空艇から飛び降りた直後、火球が飛空艇に命中し、飛空艇は爆発した。


 クロキとカルガナは地面を滑りながら無事空中庭園に着地し、三人の侍女も倒れながらも何とか着地に成功した。

 無事到達できたのは飛空艇七隻約三十人。半数以上が到達できたのは、カルガナの判断とクロキが魔獣を奪ったことによるもの。


 だが、空中庭園には白銀の騎士が数十名。空には魔獣が数匹跳び回り、クロキとカルガナの目の前に、空気を張り詰めさせるほどの強い魔力を放つシルクの様な金色の髪を垂らした白銀の女騎士、破壊の七徒が一人、アンジェラが立ちはだかった。


「アンジェラ様、そっちの黒髪の女がカルガナです。そっちの黒い男は……ご存じですよね」


 そう言ってアンジェラにカルガナを紹介したのは、橙色の髪をショートカットにした女騎士。ロンの国で行われた昂天祭でクロキと戦った女騎士サビーナであった。


「あなたは……」


 アンジェラが、兜の下に見える紅いルージュの小さな唇を開く。


「なぜ戦うのですか?」


 以前クロキにもした質問をカルガナに向かって言った。

 カルガナは横目でチラリとクロキを見ると、クロキは小さくうなずいた。


「私が戦う理由ですか? 国を護るため。それが、私がここにる理由です」


 カルガナが答えると、アンジェラは静かにランスをカルガナに向けた。


「では、あなたは私の敵です」


 カルガナはアンジェラのその言葉に、なぜか微かな悲しみを感じた。


「あなたは……いえ、これ以上の会話は無駄ですね」


 カルガナがアンジェラに向かって走り出す。

 同時にクロキも走り出し、カルガナと並走した。


 アンジェラの前に白銀の鎧に身を包んだ女騎士たちが立ち塞がり、カルガナに向かって剣を向けたが。カルガナは盾で受け流しつつ、女騎士の鎧の隙間を狙って剣を突き刺した。

 別の女騎士が背後からカルガナを狙うが、そこは、クロキが素早く女騎士の懐に入り、鳩尾に蹴りを入れて吹っ飛ばし、左右から同時に放たれた水流と炎の渦を低く屈んでかわすと、炎の渦と水流がぶつかり合い、周囲を真っ白な水蒸気が包んだ。


 アンジェラら白銀の女騎士たちがクロキらを見失い、周囲の気配を警戒していると、姿形は見えないが、叫び声だけが耳に響いて来た。

 アンジェラの傍で、サビーナが水蒸気が治まるのを今か今かと待っていたが、なぜか一向に白い景色が元に戻らない。


「これは……」


 サビーナが気付く。水蒸気だったのが、いつの間にかに水系魔法ミストによる濃霧に変わっている。


「サビーナ、離れていなさい」


 ふと、アンジェラが言った。

 サビーナが数メートル離れると、アンジェラは穂先を真上に向けた状態で、ランスを身体の正面で構えた。


「天翔ける翼、エアウェイブス」


 アンジェラの背から金色の翼が生えると同時に周囲に風が巻き起こり、濃霧を全て消し去った。


 武器を構えて立つクロキ、カルガナ、カルガナの侍女三人と、地面に倒れる白銀の女騎士たちの姿が露になる。視界が奪われた僅かな間に五人によって十人以上が倒された。


 アンジェラを振り返るカルガナの顔には返り血。返り血はまるで化粧のようにカルガナを彩り、同じ女である白銀の女騎士らも思わず唾を飲み込んだ。


「来るぞ、避けろっ!」


 クロキが叫んだ直後、アンジェラがランスを前に構えて高速でカルガナに突っ込んできた。

 その勢いに弾き飛ばされるカルガナ。


「「「カルガナ様!」」」


 カルガナを心配して一斉に叫ぶ侍女ら。


 だが、カルガナは咄嗟に盾で受けており、怪我はなかったが、空中を舞い、地面に倒れた。

 その瞬間を待っていたかのように白銀の女騎士らがカルガナに襲い掛かるが、カルガナはブレイクダンスをするように頭を下にして回転しつつ、剣で白銀の女騎士の脚を斬りつけ、女騎士たちが怯んだところで身体を起こすと、盾で目の前の女騎士を殴り倒し、続く背後からの攻撃をのけ反ってかわすと、そのままバク転をして女騎士の肩に蹴りを入れ、女騎士の体勢が崩れたところに背後からクロキが迫り、女騎士の頭部を殴打し気絶させた。


 攻撃を仕掛けてくる白銀の女騎士らがいなくなったところで、再びアンジェラが突進して来る。

 クロキとカルガナは左右に跳んでかわしたが、アンジェラが速度を緩めることなく急角度で方向転換をしてクロキに狙いを定めて突進してきた。

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