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生徒会との出会い

副会長様にいろいろと案内してもらい、どうにかこうにか寮にまでやってこれた。本当に、何から何まで無駄に広い。


「ここが、君の部屋です。特待生なので一人部屋ですね。」


何という待遇の良さなんだろう。


「部屋はカードキーで開きます。食堂や購買もこのカードキーで会計するのでなくさないように。念のためのスペアと二枚渡しておきます。」

「あ、ありがとうございます。」


さすが金持ち学校だ。レベルが違う。


「では僕はこれで。生活に必要なものや家具などは一通り揃っているので確認してみて下さい。何かあったら連絡してくださいね」


副会長様は半強制的に連絡先を交換してきた。拒否権はなかった。


「あ、そういえば職員室に行くように指示されたので今日中に向かって下さい。色々と渡すものがあるみたいなので。」


そう言うことはもっと早く言ってほしかったです。


副会長様と別れた後、部屋をざっとだけ見てすぐに職員室に向かう。特に代わり映えのない普通の部屋だった。一人にしては広すぎるけど。


「職員室は……」


寮と校舎は繋がっているとはいえ、この学園は広いので、場所を探すにも一苦労だ。誰だ、こんな学校にしたの。もっと狭くしてよ。



歩き回って職員室を見つけ出した。なんかもう今日はヘトヘトだ。若干緊張しつつ、職員室の扉を開ける。


「失礼します……」


先生方の視線が痛い。昔から苦手だったんだよなぁ、職員室のこの感じ。


「ん?なんだ?」


一人の背の高い男の先生がこちらに向かってくる。


「あの、副会長の方から職員室に向かうように指示されたので来ました……一年生の安藤悠太です」


「あ!お前か!例の特待生って」


やっぱりここはご都合主義の小説の世界。上手いこと進んでいく。


「俺はお前が入るSクラス担任をする渡瀬彰だ。よろしくな」

「あ、よろしくお願いします」


今度は私の好きなアイドルグループ「SALT」……ではなく、そのライバルグループにあたる「SHUGAR」のメンバー、渡瀬くんにそっくりだった。ぶっきらぼうなお兄さんキャラが売りだったはずだ。


「初日から遅刻なんていい度胸してんな。入学式もサボりやがって」

「すみません……。」

「代表挨拶をするはずの特待生がいなくて色々大変だったんだからな」

「あ、それって結局どうなったんですか?」

「同じクラスの葉山が急遽代わってくれてな。今度会ったらお礼言っとけよ」


葉山くん、本当にありがとう。どんな子か分からないけれど。


「明日から、新入生のオリエンテーションと軽く授業も始まるから。これが教科書で……軽く予習しとけよ。あと必要な書類何枚かと、あと緊急連絡先の書類と……」


おそらくホームルームで配られたもの達が次々と渡されていく。多すぎるし重い。


「学校生活で何か分からないことがあったらいつでも相談しろよ。」


見た目と喋り方に反してすごく優しい先生だと言うことが分かった。




職員室を後にし、再び寮の部屋へと戻る。足取りは完全に疲れ切っていた。早く帰って寝たい、それだけを目標に重たい鞄を持ちながらなんとか懸命に歩いた。


その時、聞き覚えのある声がした。


「悠太くん、また会いましたね」

「あ、副会長様……」


笑顔が怖い印象しかない為、そう何度も会いたくはなかった。それに、副会長様一人だけではなく、他に何人も連れだっていた。


「椎名、誰だよこいつ」

「こいつじゃない、悠太くんです。ほら、例の特待生の一年生で」

「あぁ!この子が例の」

「入学式の挨拶バックれた特待生か」


そんなに有名なの?小説の中でもそこまで強調してたっけ。過去の自分の行いを少しだけ後悔した。


「生徒会長の染崎大我だ。三年。よろしく。」

「会計の村木莉人、二年生だよ。よろしくね〜。」

「書記の本庄弥市。同じく二年生。……よろしく。」


生徒会長は好きなアイドルグループ「SALT」のメンバーである天然俺様キャラの大我くんに、会計は同じく「SALT」のメンバーチャラ王子こと莉人くんに、書記も同じく「SALT」のメンバーミステリアスな弥市くんにそっくりだった。ここまで来たらもう驚かない。


「って言うか、椎名がいつになくご機嫌だと思ったらそういうことか」

「どういう意味ですか」

「え〜?だって、特待生くんがこんなに可愛い顔してるんだもん、気に入っちゃったんでしょ」

「うるさいですね。……まぁでも、気に入ったといえばそうかもしれないです」

「お!珍しく素直じゃん!」


やいのやいの何やら盛り上がっている。顔がいい男子高校生達が盛り上がっているだけで眼福だ。


「お前ら、会議遅れるから行くぞ」


会長の一言で生徒会メンバーがその後に渋々ついていく。俺も軽く挨拶して歩き出そうとすると、副会長様に腕を軽く掴まれ、耳元で小声で囁かれた。


「悠太、明日の昼休み、生徒会室に来てください。待ってます」


何か良くない予感がするが、とりあえず頷いておいた。この人に逆らってはいけない。本能がそう言っている。






部屋に入って、一人頭の中を整理する。


小説内の設定がそのままこの世界になっていることは確認した。そして、今日分かったことがもう一つ。つまり、主要人物は私の脳内で好きなアイドルに変換されているということだった。



……なんと言うご褒美なんだろうか。実際、自分が主人公で対面している訳だが、美形男子高校生(先生も)に囲まれてパラダイスである。



ただ、BL小説なので、いずれかは誰かとくっ付けたいという話にはなる。正直、まだ全然その展開には連載上なっていなかった。


(今のところ、連載してある部分は入学初日と、生徒会と出会うシーン、食堂に行くシーン、学園生活の様子のシーン……あとなんだ?思い出せない)


何せ、趣味の範囲内で酒の勢いを借り、思いつきのまま衝動で書いているものだから、一々覚えているはずもなく。


これから先、どうなっていくのか。それは作者であるはずの私が一番分かっていなかった。

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