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どこですか、ここは

陽の光がやけに目にしみる。昨日飲みすぎたせいなのかと思うが、飲みすぎた時の独特な二日酔いの感覚がない。


時間を確認しようと半分寝ながらベット近くのスマホを手に取ろうとするが、いつも置いているはずの場所にスマホがない。手探りで見つけようとするが、スマホ以外の何かを倒し、散らかしてしまった。


おかしいと思い目を開けると、何もかもに驚いて目が覚めた。目が覚めると、いつもの場所ではない見慣れない部屋だった。カーテンがベットが、家具が、そこにあるもの全てが私の部屋のものではない。


(ここ、どこ?)


カーテンを開け、落ち着いて部屋の中を改めて見渡す。やはり私の部屋ではない。部屋の隅に置いてある姿見を見ると、背はあまり高くなく童顔の中学生から高校生くらいの男の子の姿が写っていた。


(誰、これ)


ただ、私の好きなアイドルグループ「SALT」の推し、悠太くんに雰囲気が似ていた。悠太くんは天真爛漫なセンターで、童顔、茶髪、小柄が特徴である。あの可愛らしい感じがそっくりだ。


(私じゃない)


服や漫画で散乱としていて、足の踏み場がない。机の上では積み重なったゲームの山が今にも崩れて落ちてきそうだ。


いかにも男の子の部屋のような散らかり方だ。


(何これ、どういうこと)


状況が把握出来ず混乱していると、部屋の外から声が聞こえてきた。


「悠太、あんたいつまで寝てんの!!朝ご飯出来てるから早くしなさい!!」


悠太、それはどこか聞き覚えのある名前だった。しかし、それ以前に私は一人暮らしなはずなのに、誰かいる。何故だ。また、お母さんの様な声色だが、私のお母さんの声ではない。私のお母さんは酒焼けしているからもっと声がガラガラだ。


いろいろと疑問を抱えつつ恐る恐る部屋から出て階段を降り、リビングへと出てみると既に人がいた。


特別大きい家ということもなく、ごく普通の一般家庭の家と言った感じだった。キッチンと繋がったリビングは四人がけのダイニングテーブルが置いてあり、朝ご飯をそこで座って食べている。


「もう、学校遅刻するから、早く食べなさい」


この人はさっきの声の人。多分お母さんだろう。


「あ、悠太、おはよう」


多分この人はお父さん、だと思う。優しそうだ。


「悠太、あんた寝癖酷いけどそんなんで大丈夫?」


この人は……多分姉か何かだろう。ちょっと怖そう。


「そうよ、今度から何もかも自分でやらなくちゃならないのに……心配だわ」

「悠太が寮生活か……寂しいなぁ……」

「お父さんったら昨日からそればっかり」

「だって、悠太が三年間も家から居なくなっちゃうなんて、寂しくて寂しくて……」


家族団欒なひと時だ。ってか、そんなこと言ってる場合じゃない。


「えっ、寮生活って?」

「えっ」

「えっ」


私の発言に家族みんなが驚く。


「何言ってんの!まだ寝ぼけてるの?あんたは今日から蘭吹学園に入学するんでしょ!」



話を要約すると、私は現在、悠太という男の子になっており、しかも今日から高校生。蘭吹学園に入学し、要は男子高の寮生活を送ることになっている。


それって……まんま私が連載しているサイトのBL小説の設定じゃない!?


「まぁ、無理もないでしょ、まさか受かると思ってなかった学校だもん。まだ夢見心地なんじゃない」

「そうだよなぁ。あんな私立のお金持ち学校に特待生で行けるだなんて……お父さん鼻が高いよ」

「本当よね〜。悠太、高校生活も、頑張りなさいよ」



全然ついていけない。学校の設定とか、世界観とか、主人公の特待生とか、何から何まで私の小説の設定と重なりすぎる。



[蘭吹学園、私立の超セレブ達が通うエリート男子高校。官僚の子供や、大手企業のご子息など数多くの金持ちが通っていると噂だ。学生達は寮生活を義務付けられ、規則正しい学生生活を学ぶ。そんな一流高校に、一般家庭出身ながら特待生として入学することになった主人公は入学早々に目をつけられ生徒会始めとした色々なメンバーと絡むことになり……]というのが小説のあらすじである。


正直、男子高校生が好きというノリと勢いだけで書いた小説であり、粗がすごすぎるが趣味の範囲内な為仕方ない。

というか、今はそんなことを言っている場合じゃない。


つまり、これは小説の中の世界に入り込んだってこと?



「あんた早く食べて、寝癖治して出る準備しなさい!」




あまりにも非現実的すぎて何がなんだか分からないが、家族に見送られながら学園へと向かった。

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