表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/2325

第86話 弥生からの誘い

清水家に泊まることになっている弥生、希望も交えてガールズトーク真っ最中である。

 ☆亜美視点☆


 時間は22時。 お泊まりに来ている弥生ちゃんと、夕ちゃんの家から帰って来た希望ちゃんの3人で集まり、ガールズトーク真っ最中である。

 勉強机と本棚、ベッドに小さなテーブルぐらいしかなく、パソコンも置いていない。 可愛いぬいぐるみなんて物も無い、女子高生らしくない私の部屋。 希望ちゃんは慣れたものだけど、弥生ちゃんは入るや否や「ほんまに女子高生の部屋かいな?」と声を上げた。

 やっぱり可愛らしく模様替えしたほうがいいのかな?


「希望ちゃん、夕ちゃんの部屋で何してきたのかな?」


 30分ぐらいで帰って来たから、大したことはしてないと思うけど。

 弥生ちゃんも興味はある様で「どないやのん?」と希望ちゃんを急かしている。


「ベ、別に何でもないよ? 学校で踊れなかったから夕也くんの部屋で1曲ダンスして、あとはちょっと話をして帰って来たんだよ」

「ふぅん」


 まぁ30分ならそんなものかなぁ?


「ほんまにそれだけかいな? 恋人同士やろ? もっとこうなんかあるんちゃうの?」

「キ、キスはしたよ?」

「キスだけかいなぁ」


 弥生ちゃんは「なんやつまらんなぁ」と、お茶菓子を頬張りながら言う。

 意外と、こういう話が好きなのかな? バレー一筋な女の子という印象がどんどん崩れていく。


「で? えっちしたことあんの?」

「はぅ……無い」

「私はあるよぉ?」

「おお? なんや、彼氏おらん亜美ちゃんの方が経験済みかいな?」

「夕ちゃんと希望ちゃんが付き合い出すちょっと前に、夕ちゃんと一晩ねぇ」


 私が唯一、希望ちゃんに勝っている点。 希望ちゃんはまだもたついているようだ。

 んー、今度夕ちゃんにもう一度迫ってみてもいいかもしれないね。


「わ、私達はゆっくり行こうって話し合ったからいいのぉ!」


 ちょっと怒ったように叫ぶ希望ちゃん。

 ふふふー、いいよいいよー。  そうやってもたついてる間に、私はどんどん夕ちゃんに心に近付いていくだけだからねー。


「そういう月島さんは?」

「ウチか? ウチは彼氏とかおらんからなー今は」

「ん?」


 弥生ちゃん「今は」って言ったねぇ。 希望ちゃんも聞き逃さなかったかったようだ。


「今はって?」

「中2の頃にはおったんやんけどなぁ」

「へぇ!! 弥生ちゃんそう言うの興味あるんだね!」

「そら、ウチかて花も恥じらう女子高生やで? まぁ、今はほんまに彼氏とかいらんけどな」


 うーん、可愛いのに勿体ないなぁ。


「その彼とはどうして別れちゃったの?」

「あんま思い出しとうないんやけどなぁ……」


 と、頭を掻きながらそう言う弥生ちゃん。

 でも「まぁ、済んだことやしええけど」と、話しを続けた。


「まぁ、ウチも雪村さんみたいな感じの付き合い方しとったんよ? 当時中学2年生やったしゆっくりでいいやんな? みたいな感じで」


 その頃の事を思い出すように、ゆっくりと話す弥生ちゃん。

 弥生ちゃんからこんな話が聞ける日が来ようとは……。


「せやけど、やっぱ男子っちゅうのはえっちしたいと思うんやろなぁ。 いつまでもその手前で止まってたら、いつの間にか他の女子に盗られとったわ」


 ははは、と笑いながらそんな事を言った。

 け、結構突っ込んだ話だった。

 でも、寝取りかぁ……。 私も同じようなことをしようとしてる身としては肩身が狭い。

 希望ちゃんは希望ちゃんでそれを聞いて思うところがあるらしい。

 これを機に、希望ちゃんが慌てて夕ちゃんとの関係を進めてしまうかもしれない。

 そうなると、いよいよ私の勝ち目が薄くなってしまう。

 事は一刻を争うようだ。


「まぁ、寝取りが悪いとは言わんよ? 亜美ちゃんも、今井君を寝取る気なんやろ?」

「えっ! ま、まぁ……そのぉ……うん」

「はぅぅ! やっぱりそうなの!?」

「あんまり、そういう手段には出たくないんだけど」


 あははは……すでに夕ちゃんの部屋に夜這いに行って、半裸になって何回か迫っているなんて言えないよねぇ。

 

「はいはい、この話はもう終いにしよやー。 あんさんらはあんさんらで悔いの無いようにやりなはれ」


 弥生ちゃんが手をパンパンと叩いて話を切った。

 でも、良い話を聞かせてもらえたよ。

 

「それよりも亜美ちゃん、雪村さん、ちょっとええかな?」


 さっきまでの話とは違う話のようだ。 少し真剣味を帯びた表情で私と希望ちゃんを交互に見やる。

 一体何の話だろう? 私達の共通の話題となるとやっぱり──。


「ここからは、バレーボールの話になるんやけど」


 やっぱりバレーボールの話だ。 何の話だろう?


「亜美ちゃんと雪村さんとこにも話は来てると思うんやけど」


 私は希望ちゃんと顔を合わせる。

 んー、もしかして。


「全日本Uー18の強化合宿の話?」


 弥生ちゃんは「そやそや」と頷いて話を続けた。

 あーやっぱりそっか。 もしかして弥生ちゃんは参加するのだろうか?

 と、思ったのだがどうやらそうではないらしい。


「ウチは返事をとりあえず保留しとるんよ」

「そうなんだ」

「私達は断っちゃったよね?」


 インターハイの後、私と希望ちゃん、そして奈々ちゃんと奈央ちゃんにもU-18の強化合宿の話が持ちかけられた。

 だけど、私達は全員それを断っている。

 特に理由は無いけど、強いて言うなら興味が無いからである。


「監督さんは、まだ諦めてへんみたいなんよ」

「そ、そうなの?」


 あれから話が無いから、てっきりもう諦めたんだとばかり思っていた。 中々ご執心のようだ。

 私たち以外にも世界と戦えそうな選手はいると思うのだけど。

 

「なぁどやろ? とりあえず参加してみぃひん?」

「え?」

「はぅ」


 確か、合宿の予定は来年の春休みだっけ? その後、9月に世界選手権がある。

 うーん……来年のインターハイとは被らないとはいえ……。 やっぱ興味が湧かないなぁ。


「ウチはあんさんらが参加する言うんやったら、一緒に参加したい思うとるんよ」

「弥生ちゃん……」


 合宿は1週間で、場所は滋賀県だったかな? 夕ちゃんも言ってたけど、色んな人とプレー出来るというのは確かに良い経験になるかもしれない。

 少し考えてみる。


「どうする亜美ちゃん?」

「んー」

「ウチな、亜美ちゃんに勝つのが目標ではあるけど、亜美ちゃんと同じユニフォームでプレーしてみたいとも思うてんねん」

「同じ……ユニフォームで?」


 弥生ちゃんと同じユニフォームでプレー。 それは凄く魅力的な話だ。


「どやろか?」

「んー!!」


 世界には興味ないけど……うん、弥生ちゃんと同じユニフォームでプレーしてみたい。


「よし、決めた! 強化合宿行くよ」

「さよか! 雪村さんはどない?」

「亜美ちゃんが行くなら、私も行く」

「おお! ほな、2人は決まりやな? あとは藍沢さんと西條さんにも声かかっとるんやんな?」

「うん」

「じゃあ、明日帰る前に2人に会って話しよか」


 弥生ちゃんは、なんだか嬉しそうだ。

 その後は、時間も遅いという事でベッドに入って寝ることにした。

 希望ちゃんも、今日ばかりは私の部屋で寝ることにしたらしく、3人で色々な話をしながら気付いたら眠っていた。


 翌朝、奈々ちゃんと奈央ちゃんを呼んで緑風に集合し、強化合宿の話をした。

 2人は私が行くならと、2つ返事でOK。

 これで来年の春には、弥生ちゃん、希望ちゃん、奈々ちゃん、奈央ちゃん、私、さらには全国で対戦した人達が一同に会する強化合宿が待っているわけだ。


 今まで興味が無かったけど、いざ決めてみると案外楽しみになってきた。

 私達はそのままお昼を食べに行き、駅まで弥生ちゃんを見送って別れた。

 今度は私達が京都に行く約束もしたよ。 

 

 後日、月ノ木学園にU-18代表監督から確認の連絡あって、私達4人全員で参加することを伝えた。

 これで世界一も見えてきたとかなんとか言ってたけど、どうなんだろう?



 ◆◇◆◇◆◇



「そうか、U-18代表の強化合宿に参加するのか」

「うん、来年の春にね」


 現在、私は夕ちゃんと2人で部活帰りに緑風へ来ている。

 月ノ木祭前に電話でした約束、「パフェ2杯を奢る」を果たしてもらうためである。

 希望ちゃんが「私もっ!」と2人っきりになるのを阻止しようとしたけど「2人でって約束だから」と夕ちゃんがそれを断っていた。 結構びっくりだ。


「まぁ、良い経験になるんじゃねぇのか? っつっても、希望や奈々美、奈央ちゃんも行くってなるとほとんど月学と変わらねぇか?」

「どうだろうねぇ……んむんむ、美味しい~」


 ほわーんとしていると、夕ちゃんが頬杖を突いて苦笑いしている。

 どうせ「良く飽きないなぁ」とか思ってるんだろうけど。


「なんつーか、お前も色々と前に進み始めたな」

「あはは……希望ちゃんの事で進展したのが凄く大きいよ」


 なんだか、やっと解放されたって感じで、体も軽い気がする。


「まったく……俺の方は大変だぞ」

「ご、ごめん……」

「ま、いいけどよ」


 そう言って、コーヒーに口を付ける夕ちゃん。

 こうやって2人でいると幸せだ。

 また、夕ちゃんとデートとかしたいなぁ……。

 なんて思っていたら、ついつい口に出してしまったようで。


「ん? デート?」

「あ、いやその……嫌だよねぇ? あ、あはは」

「別に嫌ってことは無いんだけどな。 立場上それが出来ないだけだ」

「希望ちゃんの彼氏だもんね」

「まぁ、そういうこった」


 うーん、中々上手く行かないものだなぁ。

 恋人か幼馴染かでこれほど動きが制限されるとは思ってなかったよ。


「じゃあ、ここから家に着くまでの間だけデートってのはどう?」

「ここから家まで15分ぐらいかぁ……まぁそれぐらいならいいか」

「本当?! やった!」


 夕ちゃんは喜ぶ私を見て「しょうがない奴だなぁ」呟くのであった。


全日本のU-18強化合宿を決めた亜美。 恋も部活も猛進中。


「奈々美よ。 強化合ねぇ? 私は亜美が行くならついていくわよ? 世界とか興味ないけどさー。 亜美は夕也とも上手く距離を詰めてるみたいね、何か起こりそうよ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ