第83話 月ノ木祭午後の部
午前中、店当番の仕事をなんとか終えた亜美達は、午後のメンバーと交替して自由行動を開始するのだった。
☆亜美視点☆
午前の店当番をなんとか終えて、次の人たちにバトンタッチする。
奈々ちゃんと奈央ちゃんとコスプレ衣装が見れるよ。
「お疲れー、交替よー」
着替えて奈々ちゃんが教室へ入ってきた。
「おぉ……」
「藍沢さんすんごい似合ってる」
「そう?」
奈々ちゃんはなんと、大胆にスリットが入っていて胸元もハート形に開いているチャイナドレスを着ていた。
えっちな衣装だ!
「奈々美、また際どいの着せられてるなぁ」
夕ちゃんが、奈々ちゃんの胸の当りを見ながらそんなこと言っている。
希望ちゃんの目が怖いよ。 夕ちゃん気付いてぇ!
「でも結構気に入ってるわよこれ」
チラチラとスリットを開いたり閉じたりしている奈々ちゃんに男子の目が釘付けになっている。
凄い破壊力だよ!
「奈々美、大盛況ですわねぇ」
「あんたの見立ても中々」
「当然ですわ」
遅れて奈央ちゃんが教室に入ってきた。
「きゃーっ! なにこれ可愛い!!」
奈央ちゃんを見た女子達が嬌声を上げている。
一部男子も奈々ちゃんよりそっちの方に寄っていく。
ロリコンさんと、セクシーお姉さん好きに別れたようだ。
クラスの男子の性癖がわかるよ!!
そんな奈央ちゃんの恰好はというと、ゴシックロリータっていうのかな? フリフリの衣装で凄く可愛らしい。
幼女っぽさが増しているようだ。
「午後もこれなら大儲けね!」
午前中に私達と頑張ってくれていた真鍋さんがそう言って腕を組んで頷いている。
うん、これなら大繁盛だよね。
私達は皆と交替して更衣室へ向かうの為に教室を出るのだった。
教室を出るとすぐに、独特の方言で呼び止められる。
「亜美ちゃん、待っとったよ」
「あ、弥生ちゃん」
「神崎さん達が午後から、店番や言うから、この後は亜美ちゃんと回ろう思うてな」
「あ、そ、そうなんだ」
しまったぁ! 自分で呼んでおいて忘れてたー!
どどど、どうしようー!
夕ちゃんと希望ちゃんに言うの忘れてたよー!
「と、とりあえず着替えるから更衣室前で待ってて!」
「はいよぉ」
◆◇◆◇◆◇
とりあえず着替えるために更衣室へ入った。
更衣室では先に来ていた希望ちゃんが着替えていたので、弥生ちゃんの事を話してみた。
「ん? 別に5人で回ればいいんじゃないかな? 夕也くんも春人君も何も言わないと思うよ?」
「い、良いの?」
「本当は夕也くんと2人が良いけど。 あんな風に泣き付かれちゃねぇ」
「うぅ……」
「でも、人数多い方が楽しいよね」
「ありがとう」
希望ちゃんに感謝しつつ、制服に着替え終えて、2人で更衣室を出る。
すると、男子の更衣室前で夕ちゃんと弥生ちゃんが楽しそうに話をしている。
普段は絶対に見かけないツーショットなので凄く新鮮だ。
結構息が合うのかな? 希望ちゃんがなんか複雑な顔をしている。
「おう、出てきたか」
「お待たせ」
「春くんは?」
近くを見回してみたけど姿が見えない。
私はスマホを出して連絡を取ってみることにした。 どうやらB組の前で待っているらしい。
「んじゃ、先にあいつを迎えに行くか」
「ごめんね、本当は2人が良かったよね?」
「今更言うな」
こつんっと頭をグーで叩かれる。
「仲ええやん?」
「幼馴染だからなー」
そう言うと今度はくしゃくしゃと頭を撫でる夕ちゃん。
んー、幸せー。
「早くいくよっ!」
それを見てふくれっ面になった希望ちゃんがサッと間に入って妨害してきた。
んー、残念。
希望ちゃんは思いの外、独占欲の強い女の子のようだ。
「はぁ、なるほどなぁ。 今井君、中々おもろいことなっとるやん?」
「助けてくれ」
「ははは、頑張りなはれー」
夕ちゃんの背中をバンバン叩いて励ましている弥生ちゃん。
本当に初対面かなぁ?
◆◇◆◇◆◇
B組の前で待っていた春くんを回収して5人になったところで、まず何処に行こうかという話になった結果、お腹空いたという夕ちゃんと弥生ちゃんの言葉を尊重して、D組のカップラーメン屋に行くことになった。
紗希ちゃん達も来てくれたことだしね。
「いらっしゃーい! 好きなの選んで、お金払ったら自分でお湯入れて食べてね」
紗希ちゃんが可愛く説明してくれた。
なるほど、確かに楽々ラーメン屋さんだ。
私は、定番のカップヌ〇ドルを手に取り、紗希ちゃんにお金を渡してお湯を注いだ。
お手軽かつハズレが無いという理由のおかげが、D組のカップラーメン屋さんも繁盛しているようだ。
「結構盛況だね」
「でしょー? あ、席に案内するね」
紗希ちゃんについていき、5人用テーブルに案内してもらう。
「んじゃ、ごゆっくりー」
紗希ちゃんは、手を振って次のお客さんの対応に戻っていった。
遥ちゃんはというと、空になったポットに水を足しているようだった。
力仕事担当なんだろうか?
私達はそれぞれのカップラーメンを啜りながら、この後の行動をどうするか話し合うことにした。
「さっき、回っとるに時に聞いたんやけど、体育館の方で14時から演劇部が、何ややるらしいで?」
「あー、劇ねー」
「吹奏楽とかもあるらしいな」
「いいですね、観に行きましょうか」
「んじゃ、まずは体育館だね」
割とあっさりと行き先が決まり、その後は弥生ちゃんのお話になった。
どうやら京都立華は女子校の所為か、外部の人に開かれるような大きな学園祭は無いとの事。
一応学校内だけでの学園祭はあるらしいけど、やはり寂しいらしい。
「学校休んで来た甲斐あるわ。 呼んでくれておおきにやで」と、感謝された。
楽しんでくれているようで安心した。
「あんさん、北上君言うたっけ?」
「あ、はい」
「ええ男やん。 亜美ちゃんは彼の何処が気に入らんのや?」
急にそんな話を振られて、ラーメンを吹き出しそうになった。
確かに、電話で春くんについて話して色々言ったけど、何も気に入らないとまで言ってないよぉ!
「え、僕って亜美さんに気に入られてないんですか?」
「いやいやいやいや! そんなことないよぉ!」
「そ、そうですか」
「亜美、月島さんにどんなこと言ったんだよ?」
夕ちゃんは、箸を止めて私の方を向き訊いてくる。
「どうって……良い人なんだけど、今のところ付き合ったりは考えてないみたいなことを……」
「そやそや、それて気に入らんてわけやないの?」
「ち、違うよぉ!」
弥生ちゃんは「なんやそうかいなぁ。 北上君、堪忍してや」と、ごめんねのポーズを取り可愛らしくウインクしながら春くんに謝っていた。
ほー、弥生ちゃん結構あざとい事もできるんだ。
「せやけど、あんさんら複雑やなぁ。 今井君と雪村さんが付きおうてて、それを亜美ちゃんが邪魔しとって、そんな亜美ちゃんを北上君が好いとるって?」
ラーメンを啜りながら「めちゃくちゃやん」と笑いながら言った。
バレーボールに一途でクールな女の子だと思ってたけど、結構普通の女子高生なのかもしれない。
弥生ちゃんの事が色々知れて、今日は嬉しいよ。
「そやなぁ、ウチはあんさんの方が好みやで?」
「俺?」
弥生ちゃんがチラっと夕ちゃんの方を見てそう口走ると、夕ちゃんは自分を指差して不思議そうな顔をしている。
やっぱモテるんだ夕ちゃん。
「ウチがこっちの人間やったら、間違いのう惚れとるわ」
「ダメだよ、月島さん!」
ラーメンを凄い勢いでかき混ぜながら。希望ちゃんが怒りを露わにしている。
それを見た弥生ちゃんは「堪忍堪忍」と、謝っている。
私は、ニヤニヤしているのを見逃さなかった。 これ、ワザとやってるやつだ!
イジって楽しんでる人の顔だ!
ちょっと親近感が湧いたよ。
◆◇◆◇◆◇
カップラーメンを食べ終えた私達は、予定通り体育館の劇を観賞しに来た。
オリジナルのファンタジー物らしく、異世界からやってきた男の子とその男の子を拾った女の子の恋のお話だった。
結構良いお話だったよ。
その後は吹奏楽部や、生徒会メンバーによるバンドなどの出し物を堪能した。
それらの出し物が終わった頃には15時半を回っていて、繁盛していたお店は軒並み完売の札がかかっていた。
私は、バレー部の焼うどん屋さんが気になったのでそこへ向かうことにした。
「先輩―どうですかー?」
「あー、清水さん雪村さん、丁度いいところに!」
なんだか忙しそうだった。 軒並み完売したお店がある所為で、しわ寄せが来ているらしい。
手伝ってほしいとの事だ。
私は、チラッと夕ちゃんと希望ちゃんの方を見る。
仕方ない、ここは私だけここに残ってお手伝いしようか。
「じゃあ、私残ります」
「ありがとう、清水さん助かるー」
「ほな、ウチも手伝いますわ」
と、隣に立っていた弥生ちゃんが腕を捲ってやる気になっている。
嬉しいけど、わざわざ遊びに来てくれた他校の生徒を手伝わせるなんて。
「わ、悪いよぅ!」
「何言うてんのん? 誘ってくれた感謝の気持ちやないの。 ウチに任しとき」
なんかうちの生徒よりうちの生徒っぽいよ弥生ちゃん!
それを見た夕ちゃんと希望ちゃんも「しょうがないなぁ」と苦笑いしながら、焼うどん屋さんを手伝い始めた。
春くんも「こういうの良いですよね」と、お客さんの整理を始めるのだった。
こうなったら仕方ないので、私も屋台に入り焼うどんを作り始めるのだった。
数十分後にはお客さんも捌けて、玉も無くなり完売となった。
「皆ありがとう! おかげで助かったわ」
「いやいや、良かったです」
夕ちゃんが汗を拭きながら応える。
弥生ちゃんも満足そうな顔をしていた。
「貴女、京都立華の月島さんでしょ? わざわざ千葉まで来てくれたのにごめんなさいね」
「あー、そんな構いませんよ! ウチが好きで手伝うただけですから」
両手をぶんぶん振りながらくすぐったそうな顔でそう返していた。
「そうだ、清水さんはミス月ノ木にエントリーしてるのよね?」
「はい」
「へぇ、なんやおもろそうやな」
「おもろいかどうかはわかんないけど……」
先輩達に「頑張ってね」と応援されて、私は「頑張ります」と苦笑いで返すのであった。
そうこうしている間に時刻は16時半。
コンテストに出場予定の生徒は体育館に集合するようにという旨の放送が校内に響いて来た。
私と夕ちゃんと春くんは、希望ちゃん達と別れて先に体育館へと向かった。
月ノ木祭も終盤。 亜美達はミスコンに参加するために一足先に体育館へ向かう。
「遥だよ。 ミスコンかぁ。 私にゃ縁が無いね、何て言ってたら奈央に『男子部門に出ればワンチャンあるんじゃないの?』なんて言われたんだ。 私女子だから! 面白くなってきた、遥ちゃん負けるな! って人はブクマや評価お願いね! 私の扱い良くならないかねぇ?」




