第81話 月ノ木祭前日
月ノ木祭前日、自由行動で誰と誰が回るかで一悶着?
☆夕也視点☆
亜美の「希望から俺を奪う」宣言から約2週間が過ぎた。
この間、亜美と希望の間では小競り合いレベルでの争いが何度か繰り広げられたが、姉妹仲に亀裂が入ったりするような事は無く仲良く喧嘩してるようである。
最初の頃、亜美は暴走気味になり肉体関係を求めてきたが、最近は落ち着いて来たようで軽いスキンシップ程度になった。
軽いと言っても、抱き付いて来たり腕を組んできたりと恋人みたいなノリでやってくるのだが……。
それを見た希望が対抗して俺に抱き付いたりしてくるのがお決まりの流れになりつつある。
亜美と希望はそれぞれ奈々美と紗希ちゃんを味方につけたようで、色々作戦会議(?)をしているようだ。
そんなこんなで今日は10月4日の金曜日。 翌日に月ノ木祭を控えている。
月ノ木祭で、俺達1-Bはコスプレ喫茶をやることになっている。 男女の衣装は奈央ちゃんが用意してくれた。
男子の衣装は一律全員ホスト風の衣装で統一されている。
なんでも、俺達のクラスの男子はレベルが高いらしく、女性客も取り込もうという算段らしい。
女子の衣装も完成しているらしいが、当日まで秘密という事らしい。
亜美も希望も少々不安そうだが、奈央ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。
次に店番の時間だが、俺と希望と亜美は同じ時間に入っていて午前中はクラスの手伝いをすることになっている。
奈々美と宏太も午前に入ろうとしていたが、1番人気と2番人気の男女を同じ時間に固めるのは戦略的にNGということらしく、2人は午後に回った。
「春人君は?」
「僕ですか? 僕も午前中はクラスの手伝いですよ。 といってもほとんどセルフサービスなんですが」
「そっかぁ、じゃあ亜美ちゃんと一緒に回れるね? 良かったね!」
亜美と一緒にって言うところ強調するように言った。
「んん? 私と春くん? 4人で回ろうよぉ?」
あぁ、希望ちゃんの奴、春人に情報を横流しして同じ時間に休憩に入れるようにしたな?
亜美もそれ察したのか、4人で回る提案を出してきた。
これは希望も想定内だったのか「しょうがないなぁ」と簡単に妥協した。
まったく、希望も亜美も楽しそうにやり合いやがって……。
間に挟まれる俺の身にもなってほしいものだ。
「なぁ、俺は希望と2人で回りたいんだが?」
「夕也くん?」
せっかく恋人同士なんだから、そう思うのが普通だ。
希望だって本当は2人で回りたいはずだしな。
「……夕ちゃんがそう言うなら無理は言えないね」
しょぼんと落ち込んでしまった亜美。 罪悪感はあるが、ここは心を鬼にしよう。
「悪いな亜美」
「ううん、いいよいいよ」
明らかな作り笑顔で手を振ってそう言う亜美。
「じゃあ春くん、2人で回ろっか」
「わかりました」
結局はそう言う風に落ち着いた。
希望は想定外の展開だったのかちょっと首を傾げていたが、俺と2人で回れるという事になったのでとりあえず満足したようである。
◆◇◆◇◆◇
夜の事である、亜美が電話を掛けてきた。
『もしもーし』
「どーしたー?」
『夕ちゃんに相談がありまーす』
何やら亜美から相談があるらしい。 一体何だろうか?
亜美は「あのね?」と話を切り出してきた。
『私、希望ちゃんに頭を下げて夕ちゃんと2人で回る時間を作らせてもらえたの』
頭を下げてって、そこまでして俺と回りたいのか?
希望がOKする程だ、かなり食い下がったんだろうな。
「それ、どんな頼み方をしたんだよ?」
『あはは……泣きながら土下座しました……』
「な、泣いて土下座ってお前……」
そこまでされては、さすが希望も折れざるを得なかったってことか。
で、後は俺に了承を取れればってことで、その為の電話なのだろう。
さて、どうしたものか?
『夕ちゃんは、いや? 希望ちゃんは、夕ちゃんが良いって言うなら良いよって言ってくれたんだけど』
「ふぅむ……」
さすがの希望も快く承諾したというわけではないようだ。
「はぁ……悪いけど、希望の事を考えるとやっぱりな」
『あぅ……そ、だよねぇ? やっぱ彼女大事だもんね』
亜美は暗い声でそう言うとしばらく黙った。
ただ、涙を流してまで希望に懇願したのが本当だとしたら、少し可哀想になる。
俺だって、亜美の事が嫌いってわけじゃないし、はっきり言って心苦しい気持ちはある。
はぁ、しょうがねぇな。 どうも俺は、こいつに厳しく当たるって事が出来ないらしい。
「じゃあ、最初言ってたように4人で回るか? お前と2人で回るっていうのはちょっと出来ねぇけど」
『……やっぱり2人は嫌?』
「嫌じゃねぇよ? でも、希望と付き合ってる以上はな?」
『彼女想いだね』
「そうだろ?」
『羨ましい……』
心から羨ましいと思っている声でそう言う。
「亜美。 今度2人で緑風にでも行くか? それで埋め合わせさせてくれ」
『パフェで埋め合わせ? ちょっと足りないなぁ? 私は涙流して希望ちゃんにお願いしたんだよ?』
「それで勘弁してくれよ」
『あはは、しょうがないなぁ? パフェ2杯で許すよ』
明るく笑う声が聞こえてきた。
パフェ2杯で元気になってくれるなら安い物だ。
『私、絶対諦めないよ』
「ははは、覚悟しとくよ」
『ふふふ、また体で迫っちゃおうかなぁ』
「いや、あれは勘弁してくれ」
本当に本気で来るから困る。 いきなり目の前で脱ぎ出した時は焦った。
目が真剣だったし、やっぱり魅力的な体してるしで気を抜いたら襲いそうになる。
『どうしよっかなぁー?』
「あのなぁ」
『ふふっ、冗談だよぉ。 さて、明日も早いし、そろそろ寝よっか?』
「あ、あぁ。 そうだな」
『おやすみ、夕ちゃん! ちゅっ』
電話越しにキス音が聞こえてきて、俺は苦笑いしながら「おやすみ」と返事をした。
◆◇◆◇◆◇
翌日、いつもの校舎とは変わってお祭りムードになっている月ノ木学園高等部。
一般の人も参加可能なこの学園祭は他校の生徒はもちろん、他府県からのお客さんもいたりする。
紗希ちゃんの彼氏の柏原君は当然来るらしいのだが、驚いたのは……。
「亜美ちゃん、約束通り来たでぇー」
「弥生ちゃん!」
たしか京都の子だよな、この子……。
月学の正門前に立っていたのは亜美のバレーボールのライバルの子が来ていた。
わざわざ京都から来たのか?
「お、初めましてやんね? ウチは月島弥生。 前々から亜美ちゃんに誘われててなぁ。 昨日の夜のうちに来たんよ?」
「お、おう、初めまして今井夕也です。 夜に京都から? 大変ですなぁ」
「ははは! 普通にしてくれてええよ? 夕・ち・ゃん?」
「ゆ、夕ちゃんって……」
亜美以外にそう呼ばれたことが無かったのでなんか新鮮である。
「今日はゆっくり楽しんで行ってね? あ、今晩は家に泊まっていくでしょ?」
「ほんま助かるわぁ。 ホテル代バカにならんからなぁ」
亜美と弥生ちゃんはある程度話をした後に一旦別れて、俺達は1-Bに向かった。
午前中に店の手伝いをする俺達は、そのまま準備に取り掛かる。
月ノ木祭開始15分前になり、俺達フロアスタッフ組は更衣室へ向かいコスプレ衣装に着替えるのだった。
女子組は着替えるのに時間がかかっているようなので、先に教室へ持ってきて開始時間を待つことにする。
さて、女子の衣装は一体どうなってることやら?
10月のイベント、月ノ木祭が始まる!
「奈央ですわ! 皆さんの衣装は我が西條グループ服飾部門が総力を挙げて準備しましたわよ! ぐふふ……続きが気になりますわ! 奈央ちゃんメイン回はよしろって方はブクマと評価をお願いしますわ! 私のメイン回ってあるの?」




