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第73話 月ノ木祭何やる?

男子バスケ部はウィンターカップの地区予選をやっているようだ。

 ☆夕也視点☆


 ──9月8日──


 ダンッダンッ……

 キュッキュッ……


 市の総合体育館で行われている、ウィンターカップ県大会行きを決める地区予選の決勝。


「夕也、こっちフリーだぞ!」


 宏太がそう言ってパスを要求する。

 言われなくても、お前がフリーなのはわかってるんだよ。

 お相手さん、俺にトリプルチームでプレスかけてきてんだからよ。


「ちっ……」


 試合は第4Qで、十分な点差もある。

 ここは無理して攻める必要は無いのだが。


「ここで退いてるようじゃ、全国で戦えねーよな」


 俺はフリーになっている2年の先輩に一度ボールを回す。

 さすがにトリプルチームの相手なんかしてられない。

 エースとしてマークされるのは仕方ないけど、ウチのチームは俺だけじゃないぞ。


 先輩を経由して宏太にボールが渡る。

 ボールを受けたフリーの宏太は楽々レイアップシュートを決めた。


「っしゃ、ナイス宏太」

「いやいや、エース様がディフェンス3枚と仲良くデートしてくれてるおかげですがなー」

「さすがにお相手さん、俺にディフェンスを割きすぎだな。 お前だって十分に県内上位レベルなのによ」

「まあ、俺はお前程じゃないがな」


 俺だって似たようなとこだと思うが?


「しゃあ、もう一本!」

「おう!」


 その後、試合は大きく動く事はなく、俺達の勝利に終わり県大会行きを決めた。

 


 ◆◇◆◇◆◇



 ──更衣室──


「皆さんお疲れ様です」

「おー北上! ちゃんと県大会まで進んだぞ!」

「はい、皆さん見事なチームワークでした」


 選手として出場出来なかった春人は、ベンチでマネージャーをしてくれていた。

 的確な作戦指示も出してくれていて、非常に助かった。

 県大会からは選手として参加してくれるので更に頼もしい。


「県大会からは頼むぞ! 今年の1年、特に今井、佐々木、北上は全国でも通用すると思ってるんだ。 行くぞウィンターカップ!」

「おう!」


 キャプテンが檄を飛ばし、皆がそれに応える。

 士気が高まっているのがわかる。

 県大会は11月頭、それまでにレベルアップしとかねーとな。


 着替え終えて体育館を出ると、門の前には応援に来ていた幼馴染女子組が待っていた。

 俺達の姿を視認すると、希望が走り寄って来た。


「夕也くん、佐々木くんお疲れ様! 二人ともかっこよかったよ!」

「おう、そうだろ」


 その後ろからゆっくりと亜美と奈々美が歩いてくる。


「おめでと、夕ちゃん、宏ちゃん、春くん」

「いやいや、まだ地区予選だから」

「僕はベンチに座ってただけですけど」

「いや、春人はよく声出してたし、的確に指示も出してたし助かったぜ」


 前半が終わった後ぐらいには、相手チームのプレーヤーの癖なんかを全部把握して作戦を立ててくれた。


「そう言ってもらえるとありがたいです」

「宏太は、今日かなり自由にやれてたわね?」

「あぁ、相手が夕也に3人も引っ付いてくれたからな」

「俺一人を止めたとこでなぁ……ワンマンチームならそれで崩れるんだが」

「夕也のテクニックはかなりのもですからね」

「俺に勝っておいて何を……」

「勝てたのはストリートだからですよ」


 まぁそうかもしれないが、こいつ普通のバスケも卒なくこなすんだよな。

 

「春くんは県大会からは選手で出るんだよね?」

「はい」

「3人とも頑張んなさいよ」

「ふぁいとー」

「おう、お前らも来週頑張れよ」


 来週はバレー部の地区予選だったはずだ。

 3年は引退して1、2年だけでの戦い。 俺らもそうだが、3年生がいないというのはそれだけで精神面に影響が出たりするものだ。


「わかってるわよ」

「うちの女子バレー部って強いんですか?」


 そういえば、春人はバレー部の実績知らなかったんだっけか?


「強いも何も、夏の大会で全国制覇してるぞこいつら」


 俺の代わりに宏太が説明する。


「ぜ、全国制覇ですか?」

「うん」


 亜美はスマホで夏の大会の結果を検索して春人に見せる。


「全国総合体育大会女子バレーボールは、『東の月姫』清水亜美を擁する月ノ木学園高等部が初出場初優勝を飾った。 日本の未来のエース清水亜美は今大会優秀選手にも選ばれている」

「あはは……まぁこんな感じ」

「す、すごいですね。 日本の未来のエースですか」


 さすがに驚愕の表情をしている。 まぁ、どう見ても可愛い普通の女の子だもんな。


「まぁ、今のとこ日本代表になるつもりはないけどね」

「そうなんですか? 勿体ない」

「私としては日本代表として世界と戦うより、月学の皆とバレーすることの方が大事なんだよ」


 亜美らしい考えだ。


「でも、本当に勿体ないな。 今のメンバー以外の人ともチーム組んでプレーするってのは、良い経験になるだろ? 例えば、準決勝で対戦したライバルの……」

「弥生ちゃん? 弥生ちゃんも招集は蹴ってるって言ってたよ」


 この世代の女子バレーは皆そうなのか……その辺が揃えば世界とも戦えるだろうに。


「俺は、そういう舞台で活躍してる亜美達も見てみたいけどな」

「あはは」

「最近は諦めたのか、代表コーチからの口説きも無いわね」


 と、奈々美。


 その後も部活の話をしながら帰り道を歩いた。



 ◆◇◆◇◆◇



 それから数日後、今は学校でLHR中である。

 議題は、来月に迫った月ノ木祭で我々1-Bは何をやるかだ。

 ちなみに春人は残念ながらD組になってしまったのでクラスにはいない。


 クラス委員長の二見さんが教壇で仕切っている。


「では、やりたい出し物がある人は挙手でお願いします」


 委員長の言葉に数人が手を上げる。


「はい、谷君」

「お化け屋敷で!」

「はぅっ……」


 どこからともなく聞き慣れた「はぅ」が聞こえてきた。

 そんなものやったら、お化け役の希望がお客さんを怖がって叫ぶ事になる。

 お化け屋敷は阻止せねば。

  

 二見さんが黒板に「お化け屋敷」と書いていく。


「次は、村井さん」

「演劇なんてどう?」


 うーん、確かに悪くはない。 うちのクラスは男子も女子もハイレベルだから題材と配役次第ではウケる可能性はある。

 だが、圧倒的に準備時間が足りない気がする。


「吉村君」

「ここはやはり鉄板の喫茶店だ! しかもフロアスタッフはコスプレした女子で固めるコスプレ喫茶だ!」

「「おおお!」」


 男子どもが揃って感嘆と称賛の声を上げる。

 と、同時に女子からは溜め息が聞こえてくる。

 どうなるやら。


「他はありませんか? なければこの3つで多数決を取ります」


 特に追加は無さそうなので多数決に進むことになった。


「では、お化け屋敷が良い人」


 谷君を筆頭に6人が手を上げている。

 女子がここで数人挙手ってるな。


「では、演劇が良い人」


 バッと女子の票が集まる。 亜美、奈々美、希望、奈央ちゃんもここに手を上げた。

 ただ、恐ろしいのはスケベ男子どもの団結力である。

 いや俺はスケベじゃねぇぞ! 消去法でコスプレ喫茶が残っただけだから!

 断じて、希望や亜美のエロメイドとか期待してるわけではない!


「では最後、コスプレ喫茶が良い人」


 男子どもの手が一斉に上がる。 もちろん俺と宏太はここだ。

 結果はコスプレ喫茶が3票差で勝利をもぎ取った。


「はぁ……本当男子ってさぁ」


 女子から非難の声が上がるが、多数決で決まった物はしょうがない、日本は民主主義国家なのだ。


「では、すんなり決まったのでこのままスタッフの振り分けを決めたいと思います」


 二見さんは淡々と進行していく。 本当に委員長向いてるなー。

 女子達も諦めたのか黙ってしまう。

 しかし、その表情は真剣だ。

 多分だが「フロアスタッフだけは絶対に避ける」という意志が現れたものだろう。

 どんなエロイ衣装着せられるか、わかったものではないからな。


「どうやって決めましょうか?」

「やっぱりフロアスタッフは看板娘になるし、男子から女子への人気投票で決めたほうがいいと思うぜ!」

「ちょっと待ちなさいよ! お客さんは男性だけじゃないでしょう!?」


 男子と女子で意見が割れる。


「じゃあ、男子と女子で人気投票やりましょう」


 二見さんが間に入り意見を出した。


「なんだか変な展開になってきたな」


 結局はその案が採用されて、男女によるお互いの人気投票の結果、双方の上位六人が、フロアスタッフとして採用されることになった。


 ここに、月学1-Bの第一回人気投票が開始された!!

急遽勃発したクラス内の男女人気投票! 誰がコスプレすることに?

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