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第61話 夕也VS春人

バスケの1on1勝負を春人に持ちかけた夕也。

その気にならない春人に対して夕也が持ちかけた勝利の報酬は……

 ☆亜美視点☆


  私達は、春くんに近場を案内する為に、隣駅の辺りまで来ている。

 そこで、春くんがバスケットコートに興味を示したので、夕ちゃん、宏ちゃん、春くんの3人がチームを組んで3on3に乱入した。

 結果は、春くんの本場のストバス仕込みのトリッキーなプレーで、相手チームを翻弄して勝ったんだけど──。


「俺と1onで勝負しないか?」


 試合が終わってすぐに、夕ちゃんが春くんに勝負を申し込んだ。


「え?」


 困惑しているのは春くんだ。


「夕也くん、どしたのかな?」

「純粋に対戦してみたくなったんだろ?」


 自分には関係無さそうだと判断し、こっちへやって来た宏ちゃんが言う。


「でも……」


 対戦に後ろ向きな春くんに対して夕ちゃんは言った。


「勝ったら亜美からキスしてもらえるってのはどうだ?」

「えぇーっ!?」

「えぇーっ!?」


 何か希望ちゃんも似たような反応をしていた。

 奈々ちゃんはもう、けらけら笑いながら「やれやれー!」と煽っている。


「か、勝手に決めないでほしいな」

「悪い、こいつをその気にさせるためなんだよ」


 真剣な表情の夕ちゃんに、言われた。 

 大体、そんなことで春くんがやる気になるわけが……。


「どうだ、春人?」

「魅力的な報酬ですね。 良いですよ、その勝負受けます」


 うわわ、成立しちゃった!


「こりゃ、大変だな亜美ちゃんも」

「宏ちゃん、他人事だと思って……」

「はぅ、亜美ちゃん? もし春人くんが勝ったらどうするの?」

「どうするって言われても」


 勝手に景品にされたんだし、私には拒否権があるよね?

 それに、春くんだって私とキスとか本気でしたいわけないだろうし。

 ああ、でもしたいって言われたらどうすれば……あわわわわ。


「宏太、どっちが勝ちそう?」

「そうだな。 夕也はあれで、プレーヤーとしてなら十分に全国レベルだ」

「じゃあ、夕也くんが勝つね。 良かったね亜美ちゃん」

「どっちが勝っても困るけど」


 希望ちゃんと恋人同士になった夕ちゃん、昨日会ったばかりの春くん。

 どっちともキスなんて出来ないよ。


「まあ、それは俺等がやってるバスケでの話だ。 春人のあれはストバスに特化したスタイル、今回の勝負は春人に分がある」

「あら、残念ね亜美?」

「もう知らないよ!」


 困っている私をよそに、2人の勝負が始まった。

 ルールは3本勝負。 3本で決着しない時は、サドンデス。

 夕ちゃんからの攻撃だ。


 夕ちゃんは基本に忠実なプレースタイル。

 綺麗なドリブルで春くんを抜いてレイアップを決める。

 1ー0で夕ちゃんが先制。

 春くんに攻撃権が移る。

 

 春くんのスタイルは凄くフリーダムなストバススタイル。

 次にどんな事をするかわからない。

 さすがの夕ちゃんでも、そのトリッキーなプレーに、対応し切れずにあっさり決められてしまう。


「相変わらずめちゃくちゃなバスケだな」


 宏ちゃんが呟いた。 私もストバスやるけど、基本的には夕ちゃんに教わったからにわかなんだよねぇ。


「あ、夕也くん、2点目取ったよ」

「夕也もかっこいいじゃない、ね、亜美?」

「うん」


 そんなこと言われなくても、ずっと昔から知っている。


 春くんの2回目の攻撃も成功して2ー2で3本目に突入した。

 夕ちゃんの攻撃だ。

 相変わらず綺麗なドリブルで春くんを抜きに行く。


「やった! 夕也くん、抜いた!」


 上手くフェイントをかけて春くんを抜いた──はずが、ボールが夕ちゃんの手元に無い。

 無くなったボールは、春くんの右手に収まっていた。


「え、何今の?」

「普通のスティールだよ。 抜かれた瞬間に、後ろに右手を伸ばしてノールックで奪いやがった」

「す、凄い」


 確かに凄い。

 前の2本で夕ちゃんのドリブルの癖を見切ったんだ。

 夕ちゃんの3本目の攻撃は失敗。

 次、春くんが決めれば春くんの勝ちだ。


「夕也くんー、頑張れー」


 隣で希望ちゃんが夕ちゃんを応援している。

 春くんの3本目。

 夕ちゃんからボールを受けた春くんは、ボールを一度だけ地面に突いた後、その場からいきなりロングレンジシュートを放った。

 そのシュートは、ロングレンジシュートとは思えない精度で、リングに吸い込まれた。



 ◆◇◆◇◆◇



「マジかぁ」

「グッドゲームでした、夕也」

「おぅ、完敗だ」


 夕ちゃんは、悔しそうだけどちょっとスッキリしたような表情になっていた。

 うんうん、青春だね。


「夕也くん、負けちゃった」

「希望ちゃん、夕ちゃんを労って上げなよ」

「う、うん」


 夕ちゃんへのフォローは彼女の希望ちゃんに任せて私は春くんの方を……キスどうしよ?


「僕は良いですから、夕也の方を労って上げてください」


 む、そう言われると仕方ないなぁ。


「ち、ちなみにキスは?」

「いりませんよ。 それも夕也に上げてください」

「夕ちゃんもいらないんじゃないかな?」


 私は夕ちゃんの前にやって来た。


「お疲れ様、夕ちゃん。 凄くかっこよかったよ」


 真剣な顔で勝負する夕ちゃんは、世界中の誰よりかっこよかった。

 

「負けちゃったけど、良い勝負だったね」

「あぁ」

「悔しい?」

「さすがにな」

「次やったら夕也くんが勝つよっ!」

「うんうん」

「どうだろうなぁ……ストバスでは勝てない気がする」


 と、ちょっと弱気な夕ちゃん。

 珍しいなぁ。


「そだ、キス権が夕ちゃんに移譲されたけど、どうする?」

「あ? 移譲? オレは負けたんだしいらないよ」

「そ、そうだよね」


 結局キスは無しになった。

 ちょっと安心。

 その後は、街案内の続きをして、途中で昼食をとり、せっかくだからカラオケで遊んで帰った。


 ◆◇◆◇◆◇


 時間は流れて夜。

 私は自宅のお風呂に入っているところだ。

 

「亜美ちゃん、私も入るよ?」

「どうぞー」


 最近恒例の希望ちゃんとの入浴タイムだ。


「ねぇ、春人くんとやけに親しくしてるけど、好きになっちゃったの?」


 え? 何で? 昨日は夕ちゃんにも聞かれたけど、そんなにかな?


「好きにはなってないよ?」

「そうなの? 昨日から春人くんにべったりだからそうなのかと」


 そ、そんなにべったりだったかなぁ? と、思い返してみる。


「うわわ、結構べったりだった!」

「無意識?!」

「私、春くんに勘違いとかさせてないかな?!」

「今のところは大丈夫だと思うよ? 多分……」

「そっか! どうしてもアメリカの学校とかどんな感じなのか気になって、つい色々話を聞きたくなっちゃって」


 うーん、勘違いさせないように気を付けないと。


「夕也くんも随分と嫉妬してたよ」

「え? してないって言ってたけど?」

「自分から言うわけないよ」

「あ、そっか」


 夕ちゃん、やっぱり嫉妬してくれてるのかなー?


「じゃあ、話変えよ。 亜美ちゃんは、夕也くんの事どうするか決めたの?」


 と、今度はその話題かぁ。


「ううん、それはまだ時間かかるかなぁ」


 まだまだ、前に進めそうにはない。

 この心の中に立ちはだかる「希望ちゃんの幸せ第一」という壁を破らない限りは。

 

「そかそか、じゃあ私、まだ余裕あるね」

「そだね、今のうちに既成事実でも作っちゃえば?」

「何それ?」

「赤ちゃん」

「あか、赤ちゃんっ?!」


 希望ちゃんは顔を真っ赤にして「そんな、まだそういう事すらしてないのにー」と、もじもじしだした。


「だ、大体亜美ちゃんの方は大丈夫なの? 夕也くんとそういう事したじゃない?」

「大丈夫だよ? ちゃんと、こんどーさん使ったもん」


 当たり前だ。 さすがに高校生で赤ちゃんは作りたくない。


「そか、亜美ちゃんは持ってるんだよね」

「いくつか上げよっか?」

「い、いやいや……」

「いつ、夕ちゃんに迫られるかわかんないよ? いいから持っておきなさい」

「はぅ……」


 その後は、奈々ちゃんと宏ちゃんが正式に交際し出した事へと話題が変わり、他人の色恋について花を咲かせるのだった。


「奈央です。 だいぶ長い作品になってまいりましたわね? 作者さん曰く、この新キャラの役目は本来、佐々木君にやらせるつもりだったようですわ? ただ、幼馴染内でやるより新しいキャラ突っ込んだ方が動かしやすいと思って変えたみたい。 はてさてどうなりますやら」


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