第249話 色々なレース
アニマル牧場でポニーレースをすることになった一行。
皆は上手く乗れるのか?
☆亜美視点☆
アニマル牧場での4組デート中。
私達はポニーに乗ってレースをすることになった。
乗り方のレクチャーを受けた私達は直線300m程のコースの前でポニーに跨ってスタートの合図を待つ。
スタートした後は、頑張って首を押して上げたり、鞭代わりのタオルでお尻を叩いてあげると良いらしい。
落馬すると危ないので、ヘルメットも着用。
スタッフさん達が、手綱を抑えてポニーが走り出さないように抑えている。
スタートの合図で同時に手を離すというスタート方法らしい。
「よろしくね、私のパートナーさん」
首の辺りを撫でてあげる。
「じゃあいきますよー」
スターターの人が声を上げる。
いよいよスタートだよ。
ドキドキ……
「3! 2! 1! スタート!」
皆のポニーが一斉にスタートを切る。
「いけぇー」
スタートしてすぐに手綱を掴んで必死にポニーさんの首を押す。
結構疲れるよぉ。
「頑張れポニーさんー」
周囲を見てみると、奈央ちゃんが凄く上手てトップを走っている。
さすがだよぉ。
それに紗希ちゃん、宏ちゃんも続いている。
「むう」
タオルでお尻を叩こうとして、思いとどまる。
痛いんだろうなぁ……。
うん、私は叩かないよ。
「頑張れぇ!」
その分目一杯手綱を押す。
その私の思いに応えてくれたのか、少しずつ前3人との差が詰まっていく。
後ろの状況は良くわからないけど、すぐ後ろに夕ちゃんと奈々ちゃんがいることはわかった。
春くんと柏原君はわからない。
「奈央ちゃんすごいぃ」
とてもじゃないけど追いつけそうにない。
でも宏ちゃんのポニーには何とか並びかけた。
そこがゴール。
「うう、4着かぁ」
「やったわー!」
「もうちょっとだったのになぁ! 奈央上手すぎ」
「み、皆凄すぎる……」
ゆっくりとゴールしてきたのは柏原君。
ものすごく息が上がっている。
でも、こういうのってポニーさんの足の速さも大事だけど、騎手の上手さも大事なんだねぇ。
ということで──。
1着 奈央ちゃん
2着 紗希ちゃん
3着 宏ちゃん
4着 私
5着 夕ちゃん
6着 奈々ちゃん
7着 春くん
8着 柏原君
となりました。
うーん真ん中。
「お疲れ様でした! 頑張ってくれたポニーさんと騎手さん達に拍手~!」
パチパチパチ……
観客の皆さんから拍手を貰う。
何だか照れる。
私達は、大きく手を振りながらコースを後にした。
「あー楽しかったぁ」
「そうねー。 結構爽快だったし」
「僕は疲れた……」
「情けないなぁ裕樹は」
勉強に全振りの柏原君はさすがに辛そうである。
「亜美、次は?」
「次はレースはレースでも子豚レースだよ」
「こ、子豚?」
「さすがの私も豚には乗ったことないわね」
何か勘違いしてる人がいる。
「子豚さんには乗れないよぉ。 レースを見るんだよ。 13時半からやるんだって」
「あ、乗らないのね」
「まあ豚には乗りたくねぇよな」
「そうですね」
ということで、豚さんコーナーへと足を運ぶ。
そこにはいろんな豚さんが、ブヒブヒ言いながらひしめいていた。
「こらまた凄い光景だな……」
「可愛いー」
紗希ちゃんは目を輝かせているが、男子勢からは不評。
「可愛いかこれ」
「僕にはわからないなー」
「そうだなー」
「……」
「あっはは……」
「で、この子達がレースするの?」
「うん、そうみたい」
豚さん達がスタッフさんにに誘導されていく。
コースは直線コースで6頭立てで行われるようだ。
「豚って走るのか?」
「まぁ、それなりには走ると思うぞ」
「想像つかないわね」
「そうね」
これはこれでドキドキする。
選ばれし豚さん達が、コースへ入りブヒブヒ言いながらスタートを待つ。
「まもなくスタートします! 皆さん、応援してあげてください!」
よーし、応援するよ。
「豚さん達頑張れー!」
「ブヒブヒ」
「おー、亜美ちゃんの応援に反応してる! 可愛い!」
「じゃあ、私は緑のゼッケンの豚を応援するわ」
「私は赤のー! 行け赤豚!」
何だかんだ、スタート前から盛り上がっている私達。
「宏太も混じって走ってきたら? 多分バレないわよ?」
「誰が豚だおい」
「猿だよな。 前にお前そっくりな猿がいたし」
「余程イケメンな猿だったらしいな?」
「うわわ、宏ちゃんポジティブ過ぎ」
などと盛り上がっている内に、豚さん達のスタート準備が整ったらしい。
「ではー! スタート!」
掛け声と共に、ゲートが開いて一斉にスタート……を切ってない豚さんもいるね。
「あはははっ」
「自由過ぎるでしょあの子達」
ゴールへ向かってテクテクと歩いている子もいれば、スタート地点で寝ている子、途中まで進んでたのにスタートまで戻る子まで様々。
「これはこれで面白いな」
「うんうん。 すんなり行かないね」
「皆頑張れー!」
紗希ちゃんの応援にも力が入る。
周りの子供達も、一緒になって応援していた。
短いコースにも関わらず、1番最初にゴールする豚さんが現れるまで5分を要した。
「いやいや、面白い物を見ましたね」
「豚のレースって聞いてどんなしょーもないものかと思ったけど、中々笑えたわね」
春くんと奈央ちゃんにも喜んでもらえて何よりだよ。
最後に、豚さんを撫でたい人は居ないかとスタッフさんに聞かれたが、誰も手を挙げる事はなかった。
豚さん可哀想。
◆◇◆◇◆◇
その後は乗馬用のお馬さんコーナーへ行き、乗馬を体験し、休憩を挟んで売店へとやってきた。
希望ちゃんに、ぬいぐるみを買ってあげる約束だったねぇ。
「亜美は何か買うのか?」
「希望ちゃんに頼まれてるの」
私はぬいぐるみコーナーで、スマホで写真撮り希望ちゃんに送信した。
「希望ちゃんならどれ選ぶと思う?」
「このベルを持った牛だろ」
「あ、やっぱりそう思う? 私もだよ」
私達は希望ちゃんの好みをよく知っている。
が、一応希望ちゃんの返信を待つ。
少しすると、希望ちゃんから返信があった。
「あはは。 やっぱりこれだって」
「わかりやすいな」
予想通り、ベルを持った牛さんを選んだ希望ちゃん。
私はそれを手に取って、会計へ向かう。
少々お高い買い物ではあったけど、希望ちゃんの喜ぶ顔が見れるので問題無し。
会計を出た場所で皆を待っていると、それぞれが気に入った物を買っていた。
「奈々ちゃんは何買ったの?」
「ん? これ? アルパカ抱き枕よ」
「アルパカ抱き枕? どんだけ首が長いんだよ……そいつはもうキリンだろ」
夕ちゃんが言うように、袋から見えるアルパカさんの首は異様に長い。
抱き枕として使えるようにという事なのだろう。
「大体よぉ、それ首絞めて寝るんだろ? 可哀想じゃね?」
「締めるんじゃなくて抱くのよ!」
宏ちゃんと奈々ちゃんは言い争いを始めてしまうのだった。
この2人はお付き合いしてても昔から変わらいなぁ。
「紗希ちゃんのは?」
「これ?」
と、紗希ちゃんが自分の背中を振り向く。
その紗希ちゃんの背中には巨大な豚さんのぬいぐるみが背負われている。
「聞くまでも無いだろ……」
「そ、そうだね」
以前、ボケねこショップに行った際も巨大なボケねこぬいぐるみを買って背中に背負ってたことがあったね。
大きいの好きなんだろうか。
「紗希、あんたそれ背負って遊ぶの?
「もちろん!」
「なんというか……遊びにくそうですね」
「紗希は大体いつもこんな感じだから多分慣れてる……」
「きゃはははは」
「……奈央ちゃんは?」
「私は馬のぬいぐるみね。 なんだか有名な馬みたいよ?」
「有名な馬?」
赤兎馬とかかな?
「オグリキャップだって」
「知らないよ?!」
後で調べてみると、一昔前に活躍した競馬のお馬さんで絶大な人気を誇り第二次競馬ブームの火付け役になったアイドルホースさんらしい。
さすがに知るわけない。
でも可愛いぬいぐるみさんだ。
「そういう亜美は何買ったのよ?」
「私は、希望ちゃんに頼まれた物を……」
「自分のは買わなかったのか?」
「え?」
宏ちゃんに言われて気付いた。
確かに自分の者何も買ってないよ。
「うわわ……何か見てくる」
「俺もついて行くよ」
慌てて店内に戻る私と、それについてくる夕ちゃん。
そんな私達を見て、皆は「しょうがない子」と笑うのだった。
子豚レースも観終えて売店へ。
それぞれ欲しいものを買ったようだ。
「希望だよ。 亜美ちゃんありがとう! 帰ってきたら早速お部屋に飾るよぅ。 でも、お部屋の中ぬいぐるみ増えてきたなぁ……ぬいぐるみ専用のお部屋が欲しい」
「夕ちゃんの家に作っちゃえばいいんじゃないかな?」




