第2328話 投資する価値
「皆の家」のリビングで三浦さんについて話す亜美達。
作者インフルエンザに罹患した為、数日更新を休ませて頂きます。
☆亜美視点☆
三浦さんとの話が終わり、私と奈央ちゃんは「皆の家」へとやって来た。
日曜日という事もあり、リビングにはそれなりに人が集まっている。
私はソファーに座り、奈央ちゃんにそれとなく訊いてみる。
「にしても、あっさり三浦さんの採用を決めたねぇ?」
「まあ、やる気の程は窺えたので。 既にある程度の資格や喫茶店経営の知識も身につけてらっしゃるようですし、少しあの店長の元で仕事を覚えれば、十分育つと判断したわ。 私、勝てると踏んだら投資は惜しまないタイプなのよー」
「そ、そうなんだね」
割と何にでも予算注ぎ込んでるように見えるけど、一応全て勝算があるからという事なのかな?
うーん。
まあ、収益率を見ても失敗してるってのは確かに無いんだけど。
「三浦さんなら、良い感じに支店を盛り立ててくれるはずですわよー」
「だね。 三浦さんにはサイジョーカフェの研修も受けてもらうんだよね?」
「まあ、開店前とかで良いと思いますわよ」
「だねぇ。 市内にある支店で研修を受けてもらう事になるかな?」
「ですわねー」
「ふむふむ。 じゃあ今の内に色々と手を回しておかないとね」
「よろしくですわ」
「きゃはは。 何か凄い話になってんね。 三浦さんがサイジョーカフェの店長やんの?」
「夏に開店する新店舗をお任せする予定よー」
「へー。 開店したら行ってみよ」
「三浦さんって、どっちの店員だ?」
「結婚してない方だよ」
「あー。 あのボブカットの方か」
宏ちゃんはそもそもあまり緑風には行かないから、見た目ぐらいしか記憶してないらしい。
私なんか、三浦さんがバイトとして入った日から知ってるよ。
「バイトが店長になぁ。 しかもサイジョーカフェとか」
「大出世ですね」
「そだねぇ」
とはいえ、今回の話が無くても三浦さんなら夢を叶えていただろう。
サイジョーカフェみたいな大手チェーンではなくても、小さな喫茶店を開いてのんびりと経営していたはずだよ。
◆◇◆◇◆◇
翌日だよー。
今日も今日とて私は緑風に足を運んでいるよ。
もちろん、三浦さんの様子を見に来たというわけではなく、いつも通りパフェを食べに来ただけである。
「んむんむ。 んまーだよ」
「あーう」
「美夕にはまだ早いよぉ」
「あんた、本当に毎日来るわね」
「奈々ちゃん達がバイトしてるからねぇ。 駄弁り相手に困らないから」
「仕事中なんだけど?」
「お客さん、私だけだよ?」
「……」
周りを見ても、今のところは私だけになっているよ。
この時間はいわゆる隙間時間となっており、客足が少ない時間帯なのだとか。
「三浦さんは?」
「今日から店長の仕事手伝ってるー! 仕入れとか、売上管理とか、色々教わってるみたいー」
「おお。 早速なんだねぇ。 素晴らしいよ素晴らしい」
「なはは」
早くも店長補佐の仕事を始めたらしい三浦さん。
これは夏頃が楽しみな逸材である。
「あ、三浦さん」
「オーナー秘書さん!」
「あ、あはは。 パフェの人で良いよ」
「あ、あはは」
裏の部屋から出て来た三浦さんを呼び止めると、こちらへと歩いて来たよ。
「あの、サイジョーカフェについて質問よろしいでしょうか?」
「ん? 良いよぉ」
質問があるという事は、やる気がある事の表れである。
こういうやる気の芽を摘まないように、しっかりと話を聞いて応えてあげるのが上司の役目だよ。
「サイジョーカフェには、いわゆる定番メニューの他にも、店舗オリジナルのメニューがありますよね?」
「あるねぇ」
サイジョーカフェは基本メニューの他にも、三浦さんの言う通り店舗毎にオリジナルメニューを開発して出しているお店がある。
「その辺は店舗毎の店員さんや店長さんに一任してはいるよ。 ただ、一応私達もチェックはしてるけどね」
「そうなんですね。 オリジナルメニュー……何だか腕が鳴りますね」
「何か既にアイデアがあったりするの?」
「いえ、まだまだ妄想の域を出ないレベルですよ。 あはは……」
「いやいや。 最初はそんなもんだよ。 いずれ形になる日を楽しみにしてるよ」
「なはは。 亜美姉はパフェなら大体喜ぶー」
「パフェは何物にも勝る最高のデザートだよ」
「あんたの場合、ほとんど主食みたいなもんでしょ……」
「さすがにパフェでおかずは食べないよ……。 んむっ……んまー」
やはり緑風のフルーツパフェは最高に美味である!
◆◇◆◇◆◇
「へえ。 オリジナルメニューの構想を?」
「みたいだよ」
「中々に気が早いですわね、三浦さんも」
「それだけやる気を見せているって事だよ。 将来性◎だよ」
「まあ、私が投資するに値すると見込んだ方だし、それぐらいは当然ですわよ」
「きゃはは。 でもカフェのメニュー開発って、何か楽しそうじゃない? デザインに似たようなものを感じるわ」
「確かねぇ」
何も無いところから、自分のアイデアだけで形にしていくその様は、確かに紗希ちゃんがやるようなデザインに似ているかもしれない。
「三浦さんはどんなオリジナルメニューを考えるのかしらねー」
「期待大だねぇ。 ちなみに私は、緑風のフルーツパフェを移植する事を強くおすすめするよ」
「亜美ちゃんはそれだけあれば生きていけるもんね」
「うむだよ」
私の命の源とも言える緑風のフルーツパフェ。
これは未来永劫に受け継がれて、絶やしてはならないものなのである。
「サイジョーカフェは私もよく行きますね。 ツーリング中に寄ったりしますよ」
と、星野さんも会話に加わってくる。
星野さんは結構色々な事をしてる人だねぇ。
「△△支店のスイートポテトパイなんかは最高ですよ」
「おお、あれは確かに美味しかったねぇ」
試作段階の物ではあったが、一度試食させてもらったよ。
あれはかなり美味だったよ。
お紅茶に良く合うんだよねぇ。
「ふむ。 そういう店舗オリジナルメニューでも人気のある商品は、全店舗に横展開していくべきですわね」
「そうだねぇ。 やっぱり勿体無いよ」
他にも色々なオリジナルメニューが各店舗には存在している。
一度そういうメニューの売上等のデータを精査して、検討してみる必要がありそうだよ。
「亜美ちゃんよろしく」
「らじゃだよ」
奈央ちゃんも同じ事を思ったらしく、すぐに私に仕事を振ってきたよ。
まあ、どうせ私の仕事になるだろうと思っていたよ。
後で各店舗のデータを精査して……。
「3000店舗だよぉ?!」
「ですわよー」
こ、これはまた大変なお仕事を振られたものである。
3000店舗以上ある店のデータを片っ端から確認し、オリジナルメニューの取捨選択をしていかなければならないよ。
「とほほだよ」
「おほほですわよー」
他人事だと思って軽い感じの奈央ちゃん。
ちょっとぐらいは手伝ってほしいものである。
亜美の仕事がまた増えたのであった。
「遥だ。 とか言って、亜美ちゃんならすぐ終わらせるんだろうな」
「いやいや、さすがに……」




