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第2327話 見定めよう

奈央による三浦さんの面接?

 ☆奈央視点☆


 本日は1月22日の日曜日よ。

 今日は緑風でバイトとして働く女性、三浦さんとの会談がある予定よ。

 内容は、現在隣町に建設中のチェーン喫茶店「サイジョーカフェ○○支店」の店長を任せられるかどうかを見定める為の会談よ。

 三浦さんの事はそれなりに存じてはいるけど、詳しい人柄等はよく知らないのよね。

 あくまでも喫茶「緑風」の客とバイト店員の関係でしかないものね。


「という事で、三浦さんが喫茶店を経営するのは問題無くなったよ」

「なるほど。 昨日会っていたという人は彼氏さんなのね」

「うん」


 三浦さんが喫茶店をやるにあたり、彼氏……もしかしたらいずれは結婚するかもしれない相手に理解を得る為に昨日話をしたという事らしいわ。

 まあ、そういうのは大事ね。


「まあ、今日はそんなに難しい話をするつもりもないですわよ。 本人のやる気と意志の確認をしたいと思ってるだけ。 後は簡単な説明ぐらいかしら」

「なるほどだよ」

「まあ、これはビジネスのお話になるので、妥協は一切しませんけど。 ダメそうだと思ったら店長候補からは外しますわよー」

「き、厳しいねぇ」

「西條グループのビジネスの話ですもの」

「そだねぇ……。 あ、そろそろ時間だしお店に行こう」

「了解ですわ。 春人君、界人の事は頼みますわね」

「はい。 いってらっしゃい」


 さて。 では三浦さんに会って話をしてみますか。



 ◆◇◆◇◆◇



 緑風へとやって来た私と亜美ちゃんは、裏の事務室に通される。

 面接する時とかにもこの部屋を使うらしい。


「お、お忙しい中わざわざ時間を作っていただきありがとうございます」

「そんなに固くならなくても良いですわよー。 知らない仲ってわけじゃありませんし」

「は、はい」

「リラックスだよリラックス」


 さすがにオーナーになる相手と対峙するのは緊張するみたいですわね。

 まずは軽く談笑でもしながら、緊張を解くとこから始めますか。


「今日は彼氏さんとやらは?」

「彼は店の経営には一切関わらないので、今日は外してます」

「一緒にお店をやるというわけではないのね」

「はい。 そうなりますね」

「ふむふむ。 どんな方なんですの?」

「え? い、至って普通の家庭で育った普通の男性で、普通にサラリーマンですけど……や、やっぱり中流階級より上でないと任せられないとか?」

「え? いえ別に。 単純にどんな方とお付き合いされてるのか興味があっただけですわよー」

「そ、そうなんですか? あ、あれ? 面談始まってますよね?」

「ええ。 まあ、今は軽い話で場を和ませて、三浦さんにリラックスしてもらう時間ですわ」

「な、なるほど。 さ、さすが西條グループ次期総帥……」

「おほほ。 では、程良く解れたところで本題に入りましょ」

「よろしくお願いします」

「まず初めに、サイジョーカフェについてはご存知ですわね?」

「はい。 たまにですが市内のお店にも」

「ふむ。 サイジョーカフェは現在、全国に3000店舗以上、海外にも支店を持つ業界最大手のチェーン店ですわ。 その内の1店舗を貴女に任せられるかどうか、見定めさせていただきます」

「はい」

「おお、奈央ちゃんビジネスモードだよ。 私も秘書モードにならないと。 クイックイッ」


 隣で伊達メガネを掛けて上下させている亜美ちゃんは置いといて、とりあえず話を進めていきましょ。


「まず、現在建築中の店舗の場所ですが……」

「多分、隣町の駅前で工事してる場所ですよね? 駅前に何が出来るのか気になってたんですが」

「そうそう。 あそこに店が建ちますわ」

「立地良さそうですね」

「ですわね。 通いでも住み込みでも、どちらでも構わないですわよ」

「家から近いので通いですね」

「ふむ。 店舗完成予定は7月中旬。 開店は8月末辺りを予定してますわ」

「もうそこまで……」

「なので、それまでにまず、三浦さんには西條ホールディングスに入社してもらう事になりますわね」

「や、やっぱりそうですよね」

「ええ。 それから、開店までに喫茶店の経営について学んだり、経営者研修なんかも受けてもらう事になると思いますけど、その辺りは大丈夫そう?」

「はい! 大丈夫です」

「私達も出来る限りのサポートはするつもりだよ」

「お願いします」


 ふむ。 ここまでのやりとりだけでも「やる気」は十分に伝わりますわね。

 後はもう研修等でその「手腕」を見るぐらいかしら?


「店長さんいらっしゃいます?」

「え? て、店長? いますけど」

「なはは! 呼んでくればいいですかー?」

「何で麻美がいるのよ……まあ、良いけど。 呼んで来てちょうだいな」

「りょーかーい」


 麻美は敬礼したかと思うと、凄い勢いで店長さんを呼びに行った。


「あ、あはは。 店長さんに何かお話ですか?」

「いえ。 喫茶店の経営について学ぶなら、ここでしばらく経営者の補佐的な仕事を三浦さんにさせてあげられないかと」

「なるほど」

「ど、どうでしょうねー」

「私としては早めに三浦さんの手腕を見ておきたくてね」

「わ、私のし、手腕ですか? ありますかねー……」

「いきなり完璧にやれとは良いませんわよ。 研修だってまだだし、経営者見習いの卵ですもの。 徐々に慣れていって、店舗開店までにはある程度の経営力を身に付けてもらえれば」

「は、はあ」


 パタパタ!


「店長、連れて来たー」

「ぜぇぜぇ……い、いきなり引っ張って走らないでくれないかね……」

「あ、あはは……」

「そ、それで話というのは……?」


 店長さんにわかりやすいように、今回の話を伝える。

 店長さんは「ふむ」と、小さく頷き……。


「経営の補佐ねぇ」

「お、お願いします」

「まあ、サイジョーカフェさんと比べると、業務量なんてたかが知れてるけど、三浦君の将来の勉強になるというなら構わないよ」

「あ、ありがとうございます!」

「ふむ。 これである程度形は整いましたわね! とりあえず、三浦さんを新店舗の店長候補として仮採用とさせていただきます!」

「か、仮なんだね」

「まあ、一応ね。 ここからは三浦の努力次第ですわよ。 やる気は見て取れるので、あとは経営者としての経験値を積むところから」

「頑張ります、オーナー!」

「西條さんでも奈央さんでもお好きに呼んで下さい」

「オーナーちゃん!」

「ち、ちゃん?!」

「小さくて可愛いからつい……」

「あはは! 良いねぇ!」

「ま、まあ好きに呼んでと言ってしまった以上仕方ありませんわね……ちょくちょく様子は見に来るようにするから、頑張ってくださいね」

「はい!」

「以上! 三浦さんの採用面接終了! お疲れ様でした!」

「ありがとうございました!」

「終わったねぇ。 さあ! フルーツパフェを食べるよぉ」


 亜美ちゃんは秘書モードを解除して「パフェー♪」と、変な歌を歌いながら部屋を出て行ったわ。

 あの子、フルーツパフェの事しか考えてないのかしら?

 優秀なんだけど、ちょっと変わってるのよねー……。

 ま、とりあえず夏の開店に向けて準備していきましょう。

ひとまず三浦さんに投資する価値アリと踏んだ奈央であった。


「紗希よん。 三浦さんもなかなかやるわね!」

「やる気が凄いよ」

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