第2318話 3つの滝
滝巡り最初の滝に到着した亜美達。
☆亜美視点☆
本日はママさん組と麻美ちゃんで息抜き旅行に来ているよ。
下呂温泉街に到着した私達は、お昼に鶏ちゃん焼きを堪能。
お腹が膨れたところで観光を開始。
滝巡りをしようという事で、期間外にも関わらず無理を言って入らせてもらっています。
初心者向けのスタンダードコースとはいえ、往復3時間かかる滝巡り。
私達は一番最初の滝、三段に分かれて流れ落ちる段瀑の三ツ滝を目の前にしている。
冬のこの時期、滝の麓は冷んやりとしている。
でも、何かこう神秘的なものを感じさせる光景に、誰も動く事が出来ない。
そんな中、ムードメーカーな3人が口を開く。
「うわはは。 癒されますなー」
「なはは。 マイナスイオン出てるー」
「きゃはは。 見えないけどね」
滝が奏でる音には、人に癒しを与えるf分の1のゆらぎが含まれているという。
宮下さんや麻美ちゃんの言っている事はあながち間違いではないのである。
「では、滝を見ながら滝の上流まで登って行きましょう」
「はーい」
ガイドの滝本さんの後ろについて歩き、ゆっくりと桟道を通りながら、三ツ滝を下流から上流に遡っていく。
谷間に注ぐ陽の光を反射しながら飛び散る水飛沫は、何とも言えない美しさであった。
◆◇◆◇◆◇
三ツ滝を堪能した私達は、次なる滝を目指し歩く。
周囲の景色を楽しみながらトレイルを続けていると、ガイドさんが足を止める。
「ここはどんびき平湿原と言う場所です」
「きゃは。 ドン引きー」
「ははは。 どんびきとはカエルの事なんですよ。 中崎台湿原とも呼ばれています」
「カエルなんですのね」
「はい。 ここの辺り一帯は溶岩台地となっています。 遊歩道を歩きながら自然豊かな台地を楽しんで下さい」
「なはは。 大きな池も見えるー」
「暖かい時期には生き物も色々見られるんですが、さすがにこの時期はあまり見られませんね」
「まあ、仕方ないですわね」
「はいはいー! 溶岩台地って事は、この地面は溶岩なの?」
紗希ちゃんが手を挙げて質問する。
ここは私の出番である。
「溶岩台地は粘性の低い玄武岩質の溶岩が、平らに積み重なって出来た台地の事なんだよ。 つまり、紗希ちゃんの言う通り溶岩なんだよ」
「へー。 すんごいわね、自然って!」
自然には、私が想像も出来ないような不思議な事が一杯あるのである。
もはや地球の存在自体が神秘なのである。
◆◇◆◇◆◇
どんびき平を歩き続けていると、あかがねとよの滝・からたに滝と書かれた看板が現れた。
どうやらもう少しで目的の滝に着くようだ。
更に少し進むと、滝の音が遠くからでも聞こえてくる。
ザーッ!
「うわわ!」
「これはまた立派な滝ね」
「中々に豪快な……」
目の前には高さ10m以上はあるであろう、巨大な直瀑が姿を現した。
「ここはからたに滝。 高さは15mあります」
「なはは! すごー!」
「音が凄いわよね」
「かなりの水量が流れ込んでいますからね。 また、周りの溶岩がホールのように滝の音を反響させているからとも言われています」
「なあ、虹が掛かってるぜ」
「うわわ! 本当だ!」
高所から流れ落ちる滝。
その滝が発生させる細かな水飛沫が、陽の光を反射して虹を作り出している。
これまた何とも美しく神秘的な光景である。
さっきの三ツ滝とはまた違って、「これぞ滝!」と言った感じの豪瀑であった。
今度はもう一つの滝の方へと向かうよ。
一度戻ってから看板に従い歩いて行くと、今回の滝巡りの最後の滝となる滝に到着した。
先程見たからたに滝とはまた違った趣きの滝である。
「『あかがねとよ』です」
「『あかがねとよ』とは、どんな意味なんですの?」
「『あかがね』は読んで字の如く『銅』ですね。 『とよ』は『雨どい』の事です」
「『銅の雨どい』ですのね。 なるほど、しっくり来ますわね」
あかがねとよは、滝面を半円に抉るように流れ落ちてくる斜瀑だ。
全長14mあるということで、こちらも立派な滝である。
特筆すべきはその水の透明度だ。
国内でも随一の透明度を誇るその滝の滝壺は、綺麗なエメラルドグリーンをしているよ。
「ふつくしい……」
「滝って言っても、色々な形の滝があんだなー。 私、滝っつったら高い所から真っ直ぐ豪快に流れ落ちてくるもんなんだって思ってたぜ」
「そうだよ。 滝には色々あるんだよ」
今日見た3つの滝も、世界中にある色々な滝の内の一部でしかないのである。
◆◇◆◇◆◇
スタート地点の公園まで戻って来た私達は、無理を言ってガイドしてもらっていた滝本さんにお礼の言葉を述べ、滝巡りを終えた。
「はー……何かリラックス出来たわね」
「マイナスイオンー!」
「滝、素晴らしいわね!」
皆、今日見た滝に大満足の様子だ。
「さて。 時間が良い時間になってしまったよ。 急いで近くの神社の御朱印巡りを始めようねぇ」
「やったー!」
御朱印を貰える時間は決まっているので少し急いで回るよ!
◆◇◆◇◆◇
「なはは。 ほくほくー」
「良かったね、麻美ちゃん」
「皆さん、私の趣味に付き合ってもらってありがとうございましたー!」
「良いのよー」
「私達も、四国のお遍路を思い出したわ」
「ですな。 あの頃は可憐もまだお腹の中だったわね」
「懐かしいですわねー」
何とか神社を2つ回り、御朱印を頂いた私達。
麻美ちゃんは岐阜県の御朱印初ゲットとの事。
車を手に入れからは、ちょくちょく近場の御朱印巡りをしているらしい麻美ちゃん。
かなりの数の御朱印を集めていると思われる。
「さて。 本日の予定はこのぐらいですわね。 旅館へ向かいますわよー!」
「はーい!」
バスに乗り込み旅館を目指す私達。
ずっとバスの中でお留守番していたペット達を労いつつ、ゆっくり向かうよ。
「くぅはちゃんと仔犬の面倒見てるかなー?」
「大丈夫でしょ」
「きゃはは。 ゴンしゅけ一族は私にべったりね」
「懐いてるわね」
「そうなのよねー」
紗希ちゃんの愛猫達は皆紗希ちゃんにべったりだ。
バスの中では寂しくしていたに違いない。
マロンとメロンはというと、窓の外を流れる風景をじっと見つめている。
いつもとは違う景色に何を思うのだろう。
「旦那達はちゃんと子供の面倒見ながら家の事出来てるのかしらね」
「奈々ちゃん。 息抜き旅行中は家の事はさっぱり忘れて楽しむんだよ」
「ですわよー」
「ごめんなさい。 それもそうよね」
せっかく家事と育児から離れて息抜きに来ているのだから、今だけはそんな事は全て忘れてゆっくり過ごすのである。
バスは旅館に到着し、奈央ちゃんの名前でチェックイン。
当然のように大部屋(ペット用のスペース完備)の部屋に案内してもらう。
「ふわー。 さすがに歩き疲れたわねー」
「3時間近く歩いたからねぇ」
「亜美、ちょっと休んだら早速温泉に浸かるわよ!」
「あ、あはは。 奈々ちゃんはいつも通りだねぇ」
「当然!」
温泉の事になると目の色が変わる我が親友なのであった。
観光後は旅館でゆっくり。
「奈々美よ。 さあ、温泉よ!」
「奈々ちゃん引っ張らないでぇ」




