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第2200話 後輩達の恋愛事情②

ターゲットを天堂さんに移した亜美達。

 ☆亜美視点☆


 後輩達の恋愛事情を根掘っている私達。 星野さんからの話によると、天堂さんはどうも怪しいという。 クリスマスには遊びに行くのを断られたり、おしゃれに気を遣ったり、誰かと一緒に旅行に行っていたりするのだとか。 星野さんはその「誰か」を男の人だと思っているようだ。 ちなみに天堂さん本人は女の人と旅行に行ったと証言しているらしい。 まあ、疑う理由としては弱いけど、可能性が0という事も無い。


 ガチャ……


「ふぅ。 自主練終わり……って、皆さんどうしてそんなに私を見るんですか?」


 自主練を終えてリビングへやって来た天堂さんに視線が集中する。


「まあまあ、天堂さんこちらに座りたまえ」


 紗希ちゃんが指した席は上座となる席。 つまり主役席だ。


「え? え?」

「早く早く」


 意味もわからずに主役席に座らせられる天堂さん。 緊張した面持ちで私達の顔を見回している。


「では、ただ今より取り調べを行います」

「と、取り調べですか? わ、私何かしましたでしょうか?」

「それをこれから調べていくんだよ」

「え、ええ……」

「ではまず。 クリスマスに星野さん達の誘いを断った事があるそうね? どうしてかしら?」

「クリスマスですか? クリスマスは基本的には家族と過ごしていますので。 星野さんにもそう話したと思うけど」

「確かにそう聞いてますけど、本当かどうかはわかりませんし」

「う、嘘をついてどうするの……」

「ふむ。 この話は一旦置いておきましょう。 次の質問を」

「最近おしゃれに気を遣っていたり、おしゃれなカフェを探したりしているそうですね? 何故ですか?」

「お、女としては普通ではないでしょうか?!」

「それもそだねぇ」

「でも、今までは特にそんな素振りを見せた事も無かったじゃないですか?」

「そうなのかねー!?」

「べ、別に良いじゃないですか。 一応社会人になったし。 だ、大体何の取り調べなんですか?」


 仕方ない。 ここは核心を突いていくしか無さそうである。


「現在天堂さんには、彼氏がいる疑惑がかけられています!」

「ええ……さては星野さん?」

「あ、あははは」

「はあ……」

「実際はどうなのよん?」

「いませんって」

「本当にぃ? 一緒に旅行に行ったって人、本当は男の人と行ったんじゃないのん?」

「いやいや……」

「どうなのかな?」

「お、女の人ですってば。 近所に住んでるお姉さんとですね」

「お兄さんではなくて?」

「うっ……」

「おやおや? 今、ちょっと詰まりましたわね?」

「な、何の事でしょう?」

「吐けー! 吐いて楽になれー!」

「さあ!」

「は、はあ……」


 天堂さんは一つ大きな溜息をつき、観念したように話を始めた。


「西條先輩のおっしゃった通り、近所に住んでいるのはお兄さんです」

「おっとー! 遂に吐いたわね!」

「ち、ちょっと待ってください! だからと言ってお付き合いしてるわけではなくてですね!」

「違うの?」

「はい。 交際はしていません」

「ふむ。 でも、一緒に旅行には行くのね?」

「そ、それは……。 旅行先というのが私達の好きなアニメのイベントが行われる場所でしてぇ……」

「好きなアニメ?」

「は、はい……じ、実は私、結構なアニオタでしてぇ」

「そ、そうなの?」

「ずっと隠していたのですが……」

「つまり、近所のお兄さんと同じ趣味で同じアニメが好きで、そのアニメのイベントを見に二人で旅行に行ったと」

「そうです」


 うーむ。 なるほど。


「つまり趣味仲間的な相手だと?」

「はい……」

「なーんだ。 そっかー」

「なははー」


 と、皆は納得したように頷く。


「……で? その人の事は好きなわけ?」

「え?」

「そこだよねぇ。 ただの趣味仲間にしては仲良しっぽいけど?」

「そ、それは一応幼馴染ですし、そ、それに私がアニメ好きになったのもあの人の影響ですし」

「ふぅん……で?」

「ううっ……」


 天堂さんはまたもや言葉を詰まらせる。 これはやはり。


「正直な話、よくわからないというのが本音です。 一緒に推し活してる時は凄く楽しいですけど、恋愛感情があるのか自分でもわからなくて」

「うわわ。 また面倒臭いパターンだよ」

「きゃはは!」

「ふむ。 まあ、近しい間柄だとありがちですわよね」

「私は夕ちゃんの事意識し出したのは中学生ぐらいだったよ? ずっと一緒にいても気付く時は気付くもんだよ」

「そうなんですか? じゃあ私はやはり、趣味仲間としてしか見ていないって事なんでしょうか」

「かもしれないねぇ」


 どうやら天堂さんはその「お兄さん」の事は趣味仲間という風にしか見れていないというのが現状のようだ。 こればかりは私達ではどうすることも出来ないよね。


「取り調べはこれで終わりかしらね?」

「ですわね。 知りたい事はわかりましたし」

「だね。 天堂さん、何かしら進展があったら報告よろしくねぇ」

「は、はい。 進展なんかあるかなぁ……」


 天堂さんも中々難儀だねぇ。



 ◆◇◆◇◆◇



 取り調べを終えた私達は、そのままリビングで話の続きをしていた。


「天堂さんが好きなアニメって?」

「今は『3分の1』ってアニメなんですが」

「なはは。 知ってるー」

「私も知ってるわよん」


 サブカルに詳しい麻美ちゃんと紗希ちゃんはその作品を知ってるらしい。

 内容としては、幼馴染の女の子、学校の女子の先輩、転校して来た同級生の女の子から好意を寄せられる主人公が、誰か一人と将来結婚するという話みたいだよ。 その三人の声優さんがユニットを組んでライブしたりするイベントがあり、それに近所のお兄さんと一緒に行ったらしい。


「ふうん。 中々可愛い絵柄だね」

「そうなんですよ」

「なはは。 アニオタにアニメの話を振ると長くなるぞー」

「え、そうなの?」

「そそ」


 麻美ちゃんと紗希ちゃんに言われた通り、ここから天堂さんの怒涛の作品語りが始まってしまった。 今度からは気を付けよう。



 ◆◇◆◇◆◇



 夕飯を食べ終えた私達は、天堂さん言う「お兄さん」の写真を見せてもらうことに。


「この人です」

「うわわ。 結構カッコイイ人だね」

「本当、天堂さんより身長高いってどんだけ?」

「190くらいだったかと」

「なはは。 デカいー」

「アニメオタクって小太りメガネのイメージありましたけど、こんなイケメンさんもいますのね」

「なはは。 そのイメージは古いですー。 今は結構幅広い層が活動してるんですよー。 有名なアイドルとか芸能人もアニメ好きでグッズ集めてる人もいるー」

「そうなのね」

「ふうむ。 この感じだとこの人、結構モテてそうじゃない?」

「だよね。 ライバル多そうだよ天堂さん?」

「ライバルと言われましても」

「あ、そっか。 まだわからないんだよね」


 とはいえ、気付いた時には他の女の人と、なんて可能性も高そうなビジュアルである。 果たして天堂さんはこの先、この人どうなるのだろうか? 要注目である。

天堂さんも中々難しいようだ。


「奈々美よ。 まあ、わからないでもないわね」

「恋愛って難しいねぇ」

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