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第2198話 マリアの恋愛観

開幕早々に溜息をつくマリア。

 ☆マリア視点☆


 本日は7月27日の月曜日です。 実家から何やら送られて来たかと思えば……。


「はあ……また」


 届いたのは男性の顔写真が数枚。 いわゆるお見合い写真というやつですね。 母親がこうやって定期的に見合いをさせようとしてくるのです。


「んん? どしたのマリアちゃん? 溜息なんかついちゃって」

「いえ何でもありません」

「んんん? 何それ? うわわ、お見合い写真?」

「……はい」

「お見合いするの?」

「しません」

「え? しないの?」

「母が勝手に送って来ただけですので」

「ああ……なるほど」


 清水先輩は「乗り気じゃないならお断りするしかないよねぇ」と、一定の理解を示している。


「お母さんにはお見合い結婚はしないって言ってあるんだよね?」

「言ってはいるんですが、どうも話を聞いてくれないみたいです」

「そっかあ……マリアちゃんにお付き合いしてる人がいれば安心するのかなあ?」

「おそらくは……。 まあ、お付き合いしてる人なんていないのでそれも無理ですが」

「偽彼氏をでっち上げちゃうのは?」

「それは多分すぐバレると思うのでダメですね」

「すぐバレちゃうの?」

「はい。 多分、彼氏がいるとなったらすぐにでも見定めにやって来ます」

「な、何だか厄介なお母さんだね」

「良いお母様じゃないですの。 要するにマリアが心配なんでしょ?」


 話を黙って聞いていた西條先輩が、ここで話に入ってきました。 母が私を心配しているというのもわかるにはわかるのですが。


「私ももう大人ですから、自分の事は自分で出来ます」

「それはそうだけど、親からしたら子供はいつまでも子供らしいよ?」


 と、清水先輩。 どうやら清水先輩のご両親も未だに先輩の事を心配してたまに連絡してきたりしているそうです。 何処の親も同じという事でしょうか?


「お見合いぐらいしたら良いじゃないですの。 気に入らないなら断れば良いだけだし」

「既に何度かお見合いはしたんですが、やはりどうも……」

「あ、そうなんですのね。 まあ、私にも覚えはありますわ」

「春くんが許嫁を解消した時とかは大変だったよねぇ」

「亜美ちゃんの所為ですわよね?」

「ぴゅーぴゅぴゅー♪」


 口笛で誤魔化していますね。 北上先輩と一体何があったんでしょう? その辺りの事はあまり詳しくは知らないんですが。


「まあでも、さっさと彼氏作っちゃうのが解決の近道ですわよ」

「だから要らないと……」

「何の話してんのー?」

「あ、紗希ちゃん。 お仕事終わり?」

「ええ。 今日の作業ノルマは完了したから後は定時までのんびりよん。 で、何の話?」

「マリアのお見合いの話よ」

「お見合い?」

「はい。 これなんですが」

「おりょ。 またまたたくさん写真があるわね。 結構いい男多いじゃん」

「そうですか?」

「マリアって男の美醜わかんない感じ?」

「誰も同じに見えます」

「嘘だよね? この人とこのテンション全然違うよ?」

「?」

「ええ……」

「男性は顔より性格では? あと、相性」

「そ、それはそうだけど」

「きゃはは。 じゃあ見合いすれば良いじゃん? 会ってみないと性格も相性もわかんないじゃん?」

「そもそも結構するつもり無いのでお見合いする意味がありません」

「なるほどね」

「母がしつこいのだけ何とか出来れば良いんですが」

「そりゃ自分でなんとかしなー」

「何度も言ってるんですよ……はあ」

「きゃはは。 結婚しないなんて言うから親御さんが心配すんのよ。 将来結婚する人は自分で見つけるって言ってやんな」

「なるほど……」

「そうだねぇ。 親を安心させる事が出来れば口出ししなくなるかも」

「考えてみます」

「でも、実際には別に探すつもり無いんですのよね?」

「はい」

「きゃはは」

「あはは」


 という事で、後で母に連絡をしておきましょう。 何とかわかってもらえれば良いのですが。



 ◆◇◆◇◆◇



「もしもし。 私です。 お見合い写真、届きました」


 母に電話で連絡。 お見合いはしない事と、結婚相手は自分で見つけますので、お見合いの話はもう持って来ないでほしいですと伝える。


「自分で見つけるって貴女……本当に大丈夫?」

「大丈夫です。 安心して下さい」

「そう? でもあまり遅いようならまたお見合いセッティングするから」

「大丈夫なのでやめてください……」

「わかったわ。 良い報告を待ってます」

「はい」


 ピッ


「ふぅ……」

「きゃはは。 上手くいった?」

「はい、何とか……助言ありがとうございました」

「でも、本当にちゃんと良い人見つけて親を安心させて上げないとダメですわよ」

「だねぇ」

「それは……」


 やはり恋愛や結婚というものには興味が湧いてこないですね。


「マリアって性欲枯れてんの?」

「どうなんでしょうか?」

「知りませんわよ……」

「こう、何かムラムラしたりしないわけー?」

「しません」

「そんな紗希ちゃんじゃ無いんだから……」

「紗希は年がら年中ムラムラしてるものね」

「きゃは! まあね!」

「そういう時ってどうするんですか?」

「マ、マリアちゃん?!」

「別にそんなこと聞かなくでも良いんですのよ?」

「きゃは! そゆ時はもう自分で何とかするか裕樹を襲うか、はたまた今井君を」

「紗希ちゃん!」

「きゃは」


 やはりわからないですね。 自分で何とかするとは一体どういう事なんでしょう? ちなみにそれを神崎先輩に訊ねると、清水先輩と西條先輩が必死になって止めていました。 何かまずい事でも訊いてしまったのでしょうか?


「マリアって本当に純真といか清楚というか……今時変わってるわねー」

「そうだねぇ。 このまま綺麗なマリアちゃんでいて欲しいよ」

「でもそれだと彼氏も出来なくて、結局親御さんを心配させてしまいますわよ」

「どうすれば良いでしょう?」

「まずは恋愛について興味持たないとダメっしょ」

「興味ですか?」

「今までバレーボールばかりに力を入れてきたんだよね?」

「はい。 清水先輩に追いつく為にひたすらに」

「一旦それをお休みして、他に目を向けてみたらどうかな?」

「それでは清水先輩に追いつく事が出来ません」

「いや、だからお休みするんだよ……」

「出来ません」

「じゃあせめてマルチタスクで」

「そんな器用な方ではないです」

「ダメだこりゃ」


 三人の先輩は溜息をついてお手上げポーズを取る。 何故か勝手に盛り上がって勝手に諦められたのですが……。 私、悪くないですよね?


「うーん。 何か心ときめく出逢いでもあれば考えも変わるかもしれないのにねぇ」

「ですわねー」

「そうねー」

「出逢いですか……無いですね。 そもそも異性に興味が湧かないので」

「恋愛小説とか漫画読んで勉強しなー」

「小説はたまに読みますが、他人事視点で読むので何とも……」

「登場人物に自分を投影して読んでみなさいな」

「はあ、なるほど。 そのように読んだ事は確かにないですね」


 今度試してみるとしましょう。 にしても、どうして恋愛や結婚をしろと言われるのでしょう? 別に生涯独身でも良いと思うのですが……その辺りのことは本当にわかりません。 恋愛について知ればわかるのでしょうか?

マリアは中々手強いようだ。


「希望です。 今まで男子を好きになった事も無いのかな?」

「多分無いんだと思うよ」

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