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第2187話 久しぶりのジュニア達

月ノ木学園中等部バレーボール部の練習を見に行く事になった亜美達。

 ☆亜美視点☆


 6月17日の火曜日である。 先日スポーツ新聞でアルテミスジュニアこと月ノ木学園中等部のバレーボール部メンバーであるさゆりちゃん達の活躍を知った私達は、学園中等部バレーボール部の顧問に連絡を取り、練習の見学をさせてもらう事になった。 成長した皆を見れるのが楽しみである。


「さゆりちゃん達は私達が妊娠中だって知らないよね?」

「知ってるよぅ。 私、さゆりちゃんに教えたもん」

「あ、そうなんだね」


 さゆりちゃんと個人的に連絡を取り合っているらしい希望ちゃん。 細かい事も色々と報告し合っているみたいだ。 地区大会優勝の報告は受けていたらしいけど、県大会優勝はまだ知らなかったらしい。 まあ、決まったのはつい先日みたいだからねぇ。


「月ノ木学園中等部のバレーボール部が全国で活躍するのは私達の世代以来ですわね」

「だね」


 高等部へ他府県からも有力な選手が入ってくるから毎年全国大会や春高で結果を出してはいるが、中等部は地元の子がそのまま進学して来るため、レベルがそこまで上がらないんだよね。 だから、私達が揃っていた世代意外はそこまで活躍が無かったのだけど、さゆりちゃん達のレベルが高いみたいで、昨年からはまた全国大会で活躍している。


「では、今日の放課後の練習を見学に行きますわよ」

「おー!」

「なはは! 真由美ちゃんの『ちょいさー力』がどれ程上がっているかー!」

「何やねんその謎の力は……」


 麻美ちゃんの愛弟子である真由美ちゃんさ、麻美ちゃんと似たようなタイプのプレーヤーらしい。 不思議な選手が他にもいるんだね。



 ◆◇◆◇◆◇



 キーンコーン……


 放課後の時間を狙って月ノ木学園中等部の体育館へと足を運ぶ。 私達も中学時代に汗を流した懐かしの体育館である。 私達妊婦組は椅子を用意してもらい、そこに腰掛けて見学する事に。 

 すぐにバレーボール部の子達が体育館へやって来る。

 夏の大会を勝ち進んでいるので、まだ三年生も在部しているようだ。


「あ、来たよぅ」

「お姉さん達!」

「ご無沙汰しております!」


 パタパタと走り寄ってくるアルテミスジュニアの子供達。 私達妊婦組を見て「お腹の中に赤ちゃんがいるんですか?」と、興味津々。 特に紗希ちゃんはお腹も目立ってきているので、そちらに集まっている。


「きゃはは。私の方は双子ちゃんなのよ」

「おー!」


 目をキラキラと輝かせるジュニア達。 しかし、すぐに顧問の先生から呼ばれて、名残惜しそうにコートへ。 整列している人数を見るに50人いるねー。 結構な数だ。 三年が引退しても安泰そうである。


「見たところ一年生が多いわね」

「だねぇ」


 一年生っぽい子が24人で、二年生16人、三年生10人という感じかな? 二年生にはアルテミスジュニアのメンバーもいる。 彼女達がこのチームの主軸かな?

 スタメンもほぼ彼女達が中心のようだよ。 今からアップが始まるようだ。 体育館を走る所から始まり、ストレッチ、基礎練と続く。 この辺りは私達がいた頃と変わらないようだ。


「懐かしいな」

「だねぇ」

「基礎練を見てもジュニア達のレベルが高いのは見て取れますわね」

「うん」


 トスの練習を見るに、樹里ちゃんと湊さんはセッターとしてかなり成長したようだ。 どちらが正セッターでもおかしくない。 レシーブ練習では希望ちゃんが教えていた百合香ちゃんがダントツで上手い。 将来が楽しみだ。 MB(ミドルブロッカー)の美雪ちゃんと真由美ちゃんもレベルが高い。 ブロック技術だけなら美雪ちゃんの方が上だろう。 ただ、真由美ちゃんには麻美ちゃん直伝の「嗅覚」があるようで、謎のゲスブロックを決めているシーンがいくつか見受けられる。 OH(アウトサイドヒッター)は中々の激戦区。 恐らくはアリサちゃんがエースなのだろうけど、さゆりちゃん、左打ちの華ちゃんも負けていない。 優里ちゃんもパワーのあるスパイクを見せているよ。


「なるほど。 県大会レベルじゃこれに勝てる学校は居なさそうね」

「ですわね」


 基礎練が終わりポジション毎の練習タイムに入っても、ジュニア達の動きは一際目立っている。 まだまだ成長途上というのが実に恐ろしいね。


「ちょいさー!」

「おー! 真由美ちゃん素晴らしい『ちょいさー!」だぞー!」

「麻美の弟子、本当に麻美みたいになってんじゃないの……」

「なはは! 真由美ちゃんは優秀だー」


 パァンッ!


 コートの方ではさゆりちゃんが華麗にスパイクを決めている。 小学生の頃に比べたらフォームも綺麗になったしキレも良い。 あれでエースになれないなんて、レベルが高い世代だね。 まあ、鷹見アリサちゃんは小学生の頃からずば抜けていたし、あの子からエースを取るのは至難の業だろう。


「よっしゃ。 せっかくやし軽くコーチングしたろか」

「なはは」

「はぅ。 私も(リベロ)の練習を見てあげよぅ」

(セッター)は私が見ますわよー」


 私は身重だし、コーチングはやめとこう。 渚ちゃんと麻美ちゃん、希望ちゃんに奈央ちゃん、それに星野すんと天堂さんが顧問に一言断りを入れてから、子供達のコーチングを始めた。

 MB(ミドルブロッカー)を教える麻美ちゃんと星野さんだけど、麻美ちゃんのブロック理論を理解出来るのは真由美ちゃんだけなようだ。 他のMB(ミドルブロッカー)に対しては星野さんが対応している。

 奈央ちゃんは私と同じで妊婦さんなので、動き回ってのコーチングはしないようにしているようだ。 トスのフォームや、(セッター)のプレー中の思考、コート全体をしっかり見て試合を組み立てる司令塔としての役割等を教えている。 まだ子供には難しいんじゃないかな?

 渚ちゃんや天堂さんはバンバンスパイクを打たせて、一人一人にアドバイスをしている。 うんうん、皆も教えるのが上手いねぇ。


「真由美ちゃん! この時はどう『ちょいさー』する?」

「右に手を出して『ちょいさー』です!」

「素晴らしい!」


 何が何だかわからないコーチングをしている人もいるけど、何故かしっかり理解しているのでそれはそれで良いのかもしれない。 師匠の遥ちゃんは「意味わからないけど、天才には理解出来るんだろうなぁ」と、笑う。


「真由美ちゃんは天才肌なのかな?」

「麻美と同じタイプなら一応天才肌タイプだと思うけどなぁ。 何つーか、理論や理屈より感覚で理解しちまうタイプさ」

「な、なるほど」


 私は理論や理屈で理詰めしちゃうタイプだけど、麻美ちゃんや真由美ちゃんは感覚で何でも出来ちゃうタイプなんだね。


「私にはわからないわ……」

「大丈夫。 私も麻美ちゃんのブロック理論はわからないよ。 でも、そのプレーは信頼出来るよ」

「まあな。 何度も麻美のブロックには助けられたしなぁ」

「たしかに……」


 真由美ちゃんもあんな不思議なプレーを連発するようなブロッカーなんだろうか?

 中学の大会ってあまり映像に残っていたりしないからわからないんだよね。 皆の試合を見せてもらいたいところである。

レベルの高さに驚く亜美達であった。


「奈央ですわ。 試合風景も見てみたいですわね」

「だよねぇ」


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