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第2186話 雨の日は退屈

梅雨時の雨天時は退屈らしい。

 ☆麻美視点☆


 今日は井口夫妻の入籍祝いパーティー翌日ー。


 ザーッ……


 梅雨時期という事もあり、外は生憎の雨。 出かけるのも嫌になるという事で「皆の家」のリビングで暇を持て余している。


「ぬーん。 暇ー」

「そうだねぇ」


 カタカタ……


 亜美姉は隣で執筆作業をしているので、多分暇ではないー。 いや、むしろ暇だから執筆作業をしているのかー? 


「まあ、梅雨時期だし天気が崩れるのはしょうがないわよん」

「神崎先輩はデザインのお仕事しないんですかー?」

「日曜日だししないわよん? 一応あれは仕事だから土日祝日は在宅ワークも無し」

「それもそーかー」


 神崎先輩は妊娠時期が皆より少し早く、もう6ヶ月を過ぎているー。 随分前から在宅ワークに切り替えて働いているけど、土日はそれも無いらしいー。 今は退屈そーにスマホを触っている。


 ザーッ……


「で、東京組はいつまでいるのよ?」


 お姉ちゃんが月島先輩達の方を見ながら聞く。 月島先輩は「夕方には帰るで」と、短く答えた。 東京クリムフェニックスも練習が始まっているらしく、あまりながらこちらには滞在出来ないらしいー。


「そやそや。 西條アルテミスのベンチメンバーはどないなってるん? 渚はエースに抜擢されたて聞いたけどやな」


 思い出したように話を振ってくる月島先輩ー。 私達の在籍するチーム、西條アルテミスの今シーズンのベンチ入りメンバーは既に決まっているー。


「昨年からは大きく変わっていませんわね。 そこに麻美や渚、海咲さん辺りが入ってきている感じですわ」

「さよか。 麻美っちとの対戦も久しぶりやな」

「たしかにー」

「海咲さんとは公式戦では初対戦ねー。 うちに入ってきた大空さんもかなりに実力よ」

「海咲さんと浜波さんは高校時代のライバル同士だったんだよ。 全国でバチバチやり合ってたね。 あと、大阪ホワイトフォックスに入った大空さんも入れて三強って扱いだったよ」

「そうですねー。 海咲さんは私や天堂先輩の後輩なので、実力の程はよく知ってますよ」


 星野さんはその辺りの選手の一年上の先輩だったっけー。 当然、大空さんや浜波さんとも対戦経験があるらしいー。 どの選手も油断出来ない選手であるとの事ー。 MB(ミドルブロッカー)の私はその辺の選手のスパイクを止めていかなければならないのかー。 今の内にシミュレーションしなければ!


「むぅ。 ちょいさ! ちょいさー!」

「はぅっ?! あ、麻美ちゃん急にどうしたのぅ?!」

「唐突にちょいさり出して笑うんだけど」

「大空さんや浜波さんのスパイクを止めるシミュレーションー!」

「それは今やらなくても良いんじゃないですの?」

「だはは。 ほんまおもろいやっちゃな」

「せめて亜美みたいに脳内だけでやりなさいよ」

「亜美姉の脳内シミュレーションがどうなってるか知らないー」

「何か凄くリアルなシミュレーションしてるらしいわよ?」

「多分私には無理ー」

「あはは……また私が人外扱いされてる」

「仕方ないですよ。 清水先輩は人外なので」

「マリアちゃんまで?!」


 亜美姉は「しくしく」と泣き真似をしながら「人間なのに」と呟いていたー。


「亜美ちゃんの子供もまた天才やったらどないしよな」

「夕也の地が混ざるから案外普通の子が産まれてくるんじゃない?」

「私も普通の子だよ?!」

「いや、もう無理があるんだよなあ。 亜美ちゃんは間違いなく普通じゃないよ」


 蒼井先輩にまで言われで亜美姉はまた「しくしく」と泣き始めるのだったー。



 ◆◇◆◇◆◇



 東京組が帰り、少し静かになったリビング。 とはいえ、今日は日曜日で外は雨なので皆がリビングに来て暇を潰しているー。 私も相変わらず暇なので、本を読みながら「ほへー」としている。


「ほへー」

「何なのよそのバカみたいな声は」


 お姉ちゃんに呆れられたような声でそう言われる。 別に意識しているわけではなく、本をボーっと読んでいると自然と口から出てしまうのだー。 それを知っている亜美姉は「これは麻美ちゃんのクセみたいなものだよ」と、お姉ちゃんに説明している。


「変なクセね」

「クセなんて得てして変なものだよ」

「そうかしら?」

「奈々美にも変なクセあるだろ」

「私の変なクセ?」

「格闘アクションの映画見ながら殴りかかってくるとか」

「ああ、無意識で全然知らないんだけどたしかに変なクセね」

「なはは。 認めたー」

「うっさい。 でも多分私は夕也か宏太にしかやらないわよ」


 それは嘘であるー。 お姉ちゃんが自分で言っている通り「あれ」は無意識なので基本覚えていないのだー。 私もあのクセの被害に遭った事があるー。 最初にやられた時はさすがに驚いたー。 あれ以来、お姉ちゃんと格闘技アクション映画を見る時は席を一つ離して取るようにしているー。


「私もこの前奈々ちゃんと映画見に行った時に初めてやられたよ?」

「え? 亜美にも? 嘘でしょ」

「いやいや。 全部避けたけど、映画の内容には集中出来なかったよ」

「クセって怖いわね!」

「そ、そだねぇ」


 お姉ちゃんは亜美姉に謝りつつも、クセを治す気はないらしい。 お姉ちゃんのあのクセに比べたら私の「ほへー」なんて可愛いものだ。


「にしても暇よねー」

「この雨じゃ出かけたくもないし」

「はぅ。 雷さえ鳴らなければ何でも良いよぅ」

「希望ちゃん、雷は克服したんだよね?」

「怖いものは怖いよぅ」

「なはは。 希望姉は相変わらずー」

「何か面白い話はないかねー」


 蒼井先輩がスポーツ新聞を広げる。 何か面白いニュースでも探しているのだろー。 ペラペラと紙面をめくりながら「ふむ」と頷く。


「ふむ? おん?」

「どうしたの? 何か面白いニュースでもあった?」

「月ノ木学園中等部バレーボール部の記事があるぜ」

「え? さゆりちゃん達って事?」

「おう。 ほら」


 蒼井先輩が新聞をテーブルの中央に広げる。 皆で新聞を覗き込み記事を読む。 ふむふむ。 月ノ木学園中等部、昨年から公式大会無敗記録継続中。 


「今年もインターミドル出場を決め、勢い止まらず。 あの清水世代の再来か?」

「うわわ」

「やるわねあの子達」

「そんなに強くなってたのん?」

「みたいですわね」


 あまり大きな記事では無いけど、スポーツ新聞の全国紙に載る程の活躍を見せるとはー。 写真も小さく出ており、さゆりちゃんやアリサちゃん等、我々アルテミスジュニア達が笑顔で写っているー。 皆、少し大きくなったかー?


「嬉しいねぇ」

「あの子達、本当に成長早かったですものね」

「そうね。 これは私達もうかうかしてられないわ」

「きゃはは。 まだまだ若いもんには負けん!」

「紗希ちゃん、年寄り臭いよ」

「きゃはは!」


 さゆりちゃん達はインターミドル連覇を目指して練習中のようだ。 結果が楽しみだー。


「あの子達、高校はこのまま月学に進学かしら?」

「どうだろうね?」


 今度暇があれば練習風景を見学に行こうという話になって、早速学園側に連絡を取る西條先輩であったー。

さゆりちゃん達は活躍しているようだ。


「奈々美よ。 あの子達凄いみたいね」

「うん。 びっくりだよ」

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