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第2178話 麻美風邪を引く

麻美が熱を出しているようだ。

 ☆夕也視点☆


 5月21日。 「皆の家」へとやって来た。 リビングへ入ってみると、マスクをつけて座る麻美ちゃんの姿が入ってきた。


「麻美ちゃんどうした?」

「夕也兄ぃ。 風邪引いた」

「お、おう? 麻美ちゃんが風邪とかいつぶりだ?」

「小学二年生以来だそうよ」

「そんなに前か」

「……」


 あぁ、そういえば風邪引いて熱が出ると大人しくなるんだっけか。 ガキの頃初めて見た時は驚いたもんだ。 奈々美や亜美が言うにはこれが素の麻美ちゃんらしい。 いつも明るい麻美ちゃんはキャラを作っているのだとか。 何でそんな事してるのかは誰にもわからないのだが。


「今井君を見ても飛んで行かないわね」

「さすがにそんな元気はないんじゃ無いですの?」

「それもそっか」


 静かな麻美ちゃんに慣れない他の皆。


「何か麻美ちゃんが元気無いと、こっちまで気分が落ち込んでくるね」

「雰囲気暗くなりますわね」

「そんだけ皆のムードメーカーやってか事やろ」

「だな。 麻美ちゃん、寝てなくて大丈夫なのか?」

「もうちょっとしたら部屋に戻る……」


 ううむ。 かなり参ってるなこりゃ。


 麻美ちゃんはのそのそと立ち上がり、ゆっくりとリビングを出て行くのだった。


「ちなみに熱はどんくらいあるんだ?」

「今朝測った、37.8あったらしいわ。 さっき病院から帰ってきたとこなのよ」

「そうなのか」


 早く元気になって、いつもの笑顔を見せてほしいものだ。


「麻美っちが元気になるまでは、ウチとキャミィここに泊まるで」

「きになるからナ」

「まあ、ただの風邪だし心配しなくて良いわよ」

「元気な姿見てから帰らせてもらうで」

「そ、そう」

「明日には多分治ってんでしょ」


 と、紗希ちゃん。 麻美ちゃんの場合、普段ほとんど風邪を引かないからよくわからないんだよな。 まあ、そんなに長引く事はないだろうが。


「いつもはもうちょっと静かにしろって思うけど、いざ静かにされると困りますわね」

「あはは……」


 何だかんだ言いながら、皆も麻美ちゃんは元気な方が良いと思っているようだ。 俺もそうだからな。



 ◆◇◆◇◆◇



 夜、夕飯の時間だが麻美ちゃんは部屋から出てこないようだ。 まだ体調が戻らないのだろうか。 亜美が夕飯を部屋に持って行って帰って来たので、麻美ちゃんの様子を聞いてみる。


「うん。 まだちょっと熱が続いてるみたいだよ」

「そうか」

「まだあかんのか。 麻美っちの元気パワーやったら風邪ぐらいパパッと撃退出来そうなもんなんやけどな」

「そうよねー。 『なははパワー』で何とかなりそうなのにさ」


 月島さんと紗希ちゃんがそんな事言うが、麻美ちゃんだって普通の人間だからなぁ。 「なははパワー」というのも本来の麻美ちゃんではなく、キャラ作りの中でのものだったりするし。 実際にはそんなパワーあるのかどうかわかったもんじゃない。


「とりあえず明日まで様子見ね」

「だねぇ。 さて、私達もご飯にしよう」

「だな!」

「早くしてくれー!」


 宏太と遥ちゃんはいつも通りだな。 この二人も風邪を引かないよな。 やはりバカは風邪を引かないのか。 俺は別だがな。


「うめー!」

「だな!」

「ははは!」


 

 ◆◇◆◇◆◇



 風呂の時間になると麻美ちゃんが降りてきた。


「お姉ちゃん、汗拭いて」

「わかったわよ。 ここには他の人とかもいるからお風呂行くわよ」

「うん」


 まだダメか。 麻美ちゃんは奈々美の後ろについて歩き風呂場へ向かった。 まあ、奈々美に任せておけば大丈夫か。


「麻美、ほんま大丈夫かいな?」

「渚程は辛そうやないやろ。 あんたは風邪引いて寝込んだらほんま動かれへんようになるからな」

「そやねんな。 私は動かれへんようになるからな」

「そういえばそうだったねぇ。 私が一回お見舞いに行った時も辛そうにしてたもんね」

「その節は助かりました」

「だはは。 亜美ちゃん、おおきにな」

「いやいや」



 ◆◇◆◇◆◇



 今日は結局麻美ちゃんが元気な姿を見せる事は無かったが、かなりマシにはなってきたようだ。 これなら明日には「なははー」が聞けるかもしれないな。



 ◆◇◆◇◆◇



 翌日5月22日の朝。 麻美ちゃんは既にリビングのソファーに座っていた。 マスクを着けてはいるが。


「あ、夕也兄ぃーおはよー」

「おう。 結構マシになったか?」

「6割ぐらい」

「そうか。 まだそんなもんか」


 まだ完調とまではいかないようだが、それでも昨日よりは余裕があるようだ。 しかし「なははー」は出ないな。


「あ、麻美ちゃんおはようだよ」

「おはよう亜美姉ー」

「お、ちょっと元気になったね」

「6割ぐらいらしいぞ」

「そかそか。 もうちょっとだねぇ」

「うん。 今日中にはいつも通りに戻れるように頑張る」

「無理はしないようにねぇ」

「うん」


 これぐらいの麻美ちゃんも良いのだが、やはりいつも調子になってほしいもんだ。


「お、麻美起きてきてんじゃんー。 どうー?」

「神崎先輩おはようございますー。 もうちょっとってところですー」

「おー、ちょっと戻ってるじゃん。 きゃはは」


 皆、麻美ちゃんの事心配してんだな。 ムードメーカーだからなぁ、麻美ちゃんは。


「今くらいが丁度良い塩梅でしょ」

「あ、奈々ちゃんおはよ。 たしかに丁度良いけど、やっぱりいつもの麻美ちゃんが一番だよ」

「まあ、そやなー」

「あ、弥生ちゃんもおはよう」

「おはようさん」


 続々と皆が集まってくるリビング。 麻美ちゃんも皆の前では元気に振る舞っている。 とはいえ、やはりまだまだ6割程度だが。


 朝食は麻美ちゃんも食卓を囲み、皆と楽しく喋りながら過ごす。

 昼過ぎになると……



「なはは。 だいぶ良くなってきたー」

「おお、いつも通りになりつつあるねぇ!」

「ええ感じやな麻美っち」

「回復早いわね……」


 このように「なはは」も飛び出し復調をアピール。 この分なら夕飯時には完調してるかもしれないなぁ。


「なは! なはは!」


 いや……。 既に完調してるかこれ? 奈々美はこの麻美ちゃんを見て「はあ、またうるさくなるわね」と溢しながら、表情は綻んでいた。


 ちなみに、夜には本当に完調していつもの麻美ちゃん節を見せていた。 月島さんとキャミィさんは安心せたらしく、明日には東京に戻るとの事。


 で、話は少し逸れて……。


「そうだ夕ちゃん。 今日皆と検診行ったんだけど、お腹の子の性別は女の子かもしれないよ」

「わかったのか?」

「まだ確定では無いけど、今見える範囲だと女の子っぽいって。 ちなみに奈々ちゃんのとこも女の子かもだって。 やったね!」

「やったのか」


 遥ちゃんの所は男の子で、奈央ちゃんのところも希望通り男の子っぽいらしい。 バランスは良いのか?

 紗希ちゃんの双子も女の子で可憐ちゃんも女の子だから、女の子が多くなりそうではあるか……。

素の麻美は静かで良かったが、やっぱりいつもの麻美が一番。


「遥だ。 麻美はうるさいぐらいが丁度良いんだよな」

「場が明るくなるからね」

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