第2177話 ツーリング終了
ツーリング中の麻美達。 四人はは海の近くのレストランへ。
☆麻美視点☆
今日は5月20日の火曜日ー。 私は先日、大型二輪の免許を短期コースで爆速で取得ー。 更にバイクの「スーパー雷神」を買い、今日は初ツーリングに来ているー。 星野さんに月島先輩、キャミィ先輩も一緒だ。
今日は星野さんがよく走るという内房の方を走っているー。 途中コンビニ等で休憩を挟み、内房の海が望める浜へと到着ー。 ここは星野さんのお気に入りスポットなんだそうだ。 綺麗な夕日と日の入りが見れるようで、今は近くの喫茶店で時間を潰しているー。
「メロンソーダうまー」
「このリンゴサイダーもうまいデ」
「あんさんらは下がお子様やな。 大人はやっぱりブラックコーヒーや」
「ですねー」
お子様と言われてしまったー! 一応コーヒーも飲めはするけどメロンソーダの方が好きなのだー。
「星野さんは大人やな」
「いえいえ」
「私の方が年上で姉弟子だぞー!」
「そこ張り合うんかいな」
「ワハハ」
私の方が大人だぞー!
「時間的にはどないなん?」
「かなり人が傾いてきたみたいやで」
「そろそろですね。 行きましょうか」
「りょーかーい」
「ガッテン」
お会計を済ませて喫茶店を出、歩きで浜の方へ移動する。 外は既に夕焼け色に染まり、日が少しずつ海に溶けていく様子が見て取れる。
「素晴らしい景色ー」
「はい! 私のお気に入りの景色です」
「こらお気に入りになるんもわかるで」
「ソヤナー」
他の観光客やバイク乗りのお仲間さん達もこの場で夕日を拝んでいる。 もしかしたらこの辺のバイク乗りの間では有名なスポットなのかもしれない。 私達はその夕日が完全に海に消えるまで眺めるのであった。
◆◇◆◇◆◇
日が暮れて、夜道をバイクで走る。
「なははー。 日が出てる時よりは断然快適ー」
「やな」
「ただ、視界は悪くなるので気を付けて走りましょう」
「ガッテン」
夜道は街灯の類いがあるとはいえ、海沿いは結構暗い為危険であるー。 安全運転ー。
「途中でどっかレストランにでも入って晩飯にしよや」
「そうですね。 街中に入ったらそうしましょう」
「りょーかーい」
「ガッテン」
だいぶバイクの運転にも慣れてきたー。 いきなり大型は難しいかと思ったけど意外といけるー。
「麻美っち、あまり調子に乗らんようにな」
「は、はいー!」
危ない危ないー。 調子に乗って速度上げそうになったー。 月島先輩感謝ー。
「目を離したらほんま危ないやっちゃな。 藍沢心配すんのもわかるで」
「な、なはは」
しばらく走り街中に入った私達は、ちょうど見つけた西條グループのレストランに入って夕食にー。
「いらっしゃいませ。 四名様ですね。 こちらへ……」
「ちょい待ち。 店長さんおる?」
「て、店長さんのお知り合いですか?」
「これ見たらわかるかいな?」
「……?! 少々お待ちください!」
月島先輩が出したのは、西條先輩が私達皆に配っている西條グループゴールドカードだ。 西條グループ総帥や令嬢の西條先輩の関係者である証明になるカードだ。 これを出すという事は西條グループの偉い人と知り合いだと言っている事と同じなのであるー。 やって来た店長さんに、VIP席に案内してもらう。
「ま、まだ慣れませんね、この扱い」
「だはは。 いい加減慣れや星野さん」
「は、はあ」
まあ、普通はこんな経験する事自体無いからねー。 中々慣れないのも無理はないだろー。
「まあええか。 早速何か食おうや」
「ソヤナ」
慣れてしまった私達はこれが普通になってしまっているので、いつも通りの感じでメニューを開き、高級料理を注文する。 星野さんも恐る恐るではあるが高級料理を頼んでいた。
◆◇◆◇◆◇
食事を終えてバイクに乗り家路に着くー。 今日は月島先輩とキャミィ先輩も「皆の家」でお泊まりするそうですー。 私も今日はそっちに泊まるー! 渚にも連絡したら渚も「皆の家」に来るとの事ー。
ブォーンブォーン……
「無事到着やな」
「皆さんお疲れ様でした」
「ワハハ。 たのしかったデ」
「私も楽しかったー」
「そうですね。 私も仲間と走れて楽しかったです」
という事で私の初ツーリングは終了したー!
「ただいまー」
「あ、おかえりだよ」
「おかえり。 無事帰ってきたわね」
「だはは。 大丈夫やて。 しっかり安全運転しとったし」
「ですね。 ちゃんと乗れてましたし」
「それなら良いけど」
「なはは。 くしゅんっ」
「ありゃ? 麻美ちゃんくしゃみしてるけど大丈夫?」
「な、なはは。 くしゅんっ!」
「夜走るのはちょっと冷えますからね……」
「なはは。 大丈夫だと思われー。 くしゅんっ」
とは言ったもののくしゃみが止まらないし何かちょっと寒気がするー。 もしやこれはー……。
「体温測るー……」
「何? 熱あるの?」
「わからないー」
とりあえず体温計で熱を測ってみると。
「37.1。 あるわね、熱」
「珍しいやん。 私が千葉に来てから初めて見るで」
「渚でも見た事あらへんのかいな」
「あらへん」
「そりゃそうだよ。 麻美ちゃんが最後に風邪引いたのなんて小学2年ぐらいの時だからねぇ」
「よく覚えてますわね……」
「もしかしたら走ってる時にはもう?」
「いやー。 多分帰って来てからだと思うー。 ツーリング中は何とも無かったー」
「それなら良いんですけど」
「とりあえず部屋で大人しくしてなさい」
「りょーかーい。 くしゅんっ」
熱がある以上無理は出来ないので部屋に行って早めに休む事にー。 仕方ないー……。
◆◇◆◇◆◇
☆奈々美視点☆
「麻美が風邪引くとはね。 バカは風邪引かないは嘘ね」
「麻美ちゃんは賢いよ?」
「バカなんはキャラ作っとるんやろ?」
「本人はそれを否定するけどねぇ。 あれは作ってるよ」
「そ、そうなんですか?」
星野さんはびっくりしたように声を上げる。 まあ、普通に見たらあれが素に見えるわよね。
「あの元気娘が風邪ねー。 私はそっちのが驚きよ」
「紗希ちゃん……麻美ちゃんだって人間だし風邪ぐらい引くよ」
「化け物の亜美ちゃんでも引くもんね」
「人間だから引くんだよ……」
亜美はこんな時にも化け物扱いされるのね。 ちなみに麻美が風邪を引いたのは多分これが3回目とかじゃないかしら? 本当に引かないのよね。 風邪を引いて熱が出るとキャラ作りする余裕が無くなるらしく、素の麻美になるのよ。 私はたまに見るけど、他の皆には新鮮なんじゃないかしら。
◆◇◆◇◆◇
「お姉ちゃん、喉乾いた」
「誰や?!」
「麻美よ。 ジュース持って来るから待ってなさい」
「うん」
「お、大人しい」
「これが素の麻美なのね」
「別人ですわね」
さすがに皆驚いているわ。 とりあえずジュースを持って来て渡すと、ちょこんとソファーに座りゆっくり飲み始める。
「なはは笑いも何もあらへん」
「こんな違うの?」
「ええ」
「ありがとうお姉ちゃん。 おやすみ」
ジュースを飲み終えると、そそくさと部屋に戻っていくのだった。
いつもあんなキャラ作りしてて疲れないのかしらね?
麻美が風邪を引いてしまったようだ。
「紗希よ。 麻美でも風邪引くのね」
「一応人間だからね」




