第2171話 バイクを買おう
バイクを買いに向かう弥生とキャミィ。
☆弥生視点☆
5月6日。 そろそろ帰るいう姫百合さんとブルーウイングスの子達を見送ったウチらは、バイクを買う為にサイジョーモーターとやらへ向かう事に。 亜美ちゃん、西條さん、キャミィ、星野さんと向かうで。
ブロロロ……
「亜美ちゃんも大型二輪取ったらええやん」
「私は普通免許だけで良いよ」
「さよか」
「残念です」
まあ、亜美ちゃんが大型バイク乗り回してる姿て想像つかへんからな。
「ところで、納車てどれくらいかかるんや?」
「サイジョモーターでは大体一週間ぐらいでやらせてもらってますわ」
「結構早いんやな」
「おほほ。 当然! 速い! 安い! 美味い! ですわよ」
「牛丼か何かかいな……」
まあ、一週間やったらすぐやな。 しばらくは近場を走って慣れるとこからやろか。
「でも、二人はいつの間に大型二輪なんか取ったの?」
「普通免許取った後すぐやで」
「じゃあ結構前ですのね」
「ソヤナー」
「そんなに空いてて、バイク運転出来るの?」
「何とかなるやろ……」
「ワハハ!」
実際乗ってみなわからんやろけど。
「大丈夫ですよ。 自転車みたいなものです」
「さすがに自転車とは違うと思うよ……」
◆◇◆◇◆◇
サイジョーモーターに到着したウチらは、早速担当者をつけてもらい話を詰めていく。 買う車種は既に決まっとるからスムーズなもんや。
星野さんは何や追加パーツとやらを見てはるみたいや。 サイジョー製のバイクはカスタマイズ性もあるらしいで。
「こちら二台の納車はいつになりますの?」
「どちらも来週中には可能です」
「ほんまに早いんやな」
「ワハハ。 たのしみやナ」
「やな。 バイク来てちょっと乗るのに慣れたら、早速星野はんとどっか走りに行くのもええな」
「おお、ソヤナ」
「星野さんも喜ぶよ」
さて。 契約も進めてバイクの購入も完了。 来週になったらウチとキャミィのバイクが手に入るっちゅう事やな。
「星野はん、こっちは終わったで」
「あ、はい。 私はこれを買って帰ろうかと」
「それは何ぞやだよ?」
「シートですね。 色が可愛いので付け替えようかと」
「そないな事も出来るんか」
「はい。 色々なカスタマイズパーツで見た目とか変えられるんですよ。 カウルとかマフラーとかテールランプとか色々です」
「ほう。 自分だけのバイクが作れるっちゅうわけやな」
「おもろいナ」
確かに。 ただの乗り物やのうて、自分で好きなバイクに出来るんか。 これはハマるんもわかるで。
「ほな、今日のところはこれで帰るか」
「ヤナ」
「じゃあ車取ってくるよ。 待ってて」
亜美ちゃんが車を取りに行くの待ってる間、ウチとキャミィは星野さんに教えてもらいながら、カスタムパーツを見る事にした。
「ほう。 ほんま色々あるんやな」
「はい。 カウルとかも変えられるんですよ。 車種毎にありますよ」
「ブレーキやらチェンジペダルやら、細かいパーツまで色々あんな」
「はい。 私のもいくつかカスタマイズしてあります」
「ほぉん。 慣れてきたらちょっとずついじってみるわ」
「是非是非。 楽しいですよ!」
ブロロロ……
プーッ!
「お、亜美ちゃんやな」
「行きますわよー」
「ワハハ」
「はい」
亜美ちゃんが車に乗って店の前まで来たみたいやな。 今日はこのまま「皆の家」に帰るとしよか。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
「ただいまだよ」
「やで」
「ワハハ」
「ですわよー」
ってなわけで帰って来たで。
「私も大型二輪免許欲しいぞー!」
「だからやめなさいっば。 車があれば良いでしょ?」
「ぶーっ!」
「それに、普通免許でも乗れるバイクがあるでしょ」
「大型は乗れないー!」
リビングでは、麻美っちが大型二輪の免許が欲しいとか何とか言うとるみたいやな。 それを姉ね藍沢さんがやめとけと怒っとるみたいや。
「うわわ。 何々? どうしたの?」
「おう、亜美達か。 おかえり」
「まあ、見たまんまよー? 麻美が大型二輪免許取って星野さん達とツーリングしたいって言い出したのよん」
「だはは! 麻美っちはすぐ影響されるんやな」
「カッコイイからー」
「まったく我儘ばかり言うんだから」
「ま、まあ良いじゃない。 麻美ちゃんが取りたいって言うなら取らせてあげなよ」
と、亜美ちゃんは麻美っちの味方に回るみたいや。 まあ、ウチもどちらか言うたら麻美っちの味方やな。
「そやで藍沢さん。 心配なんはわかるけど、麻美っちかて子供やないんやし」
「あんた達はそうやってすぐ麻美を甘やかして……」
「ぶーっ!」
「とりあえず落ち着けよな」
「遥は黙ってなさい」
「えぇ……」
こりゃ藍沢さん、相当反対しとるな。 まあ事故とかが心配なんやろうけど、そないな事言うたら何も出来へんで。
「お姉ちゃん嫌いー!」
バタバタ……
麻美っちはそう言ってリビングを出て行ってもうた。 ほんまこの姉妹は仲がええんか悪いんか……。
「ふん……」
「奈々ちゃん……」
「ワハハ……」
さすがにリビングの空気が重いな。
「渚、麻美っちのとこ行ったり」
「わかった」
麻美っちの方は渚に任しといたら大丈夫やろ。 後はこっちやなあ。
「ねぇ奈々ちゃん。 何でダメなの?」
「危ないでしょ。 それに車があったらバイクは別に無くても良いじゃない」
「それはまた別やと思うけど、危ないっちゅうんは間違いあらへんわな」
「だけど、危ない危ないって言ってたら何も出来ないじゃーん」
「だからってバイクは別に乗らなくて良いじゃない」
「それはそだけど。 そこはもう麻美ちゃんの自由にさせてあげなよ」
「……知らないわよ。 勝手にすれば良いわ」
そう言うて藍沢さんもリビングを出て行ってもうた。 はあ。 何や面倒くさい姉妹やな。
「奈々ちゃんの方は私が何とかするよ」
「頼むで」
そっちは亜美ちゃんに任せるしかないか。 ウチらはリビングで待つ事しか出来へんな。
「な、何だか私がツーリング仲間を作ろうとした所為で大変な事に」
「あー、星野さんは何も悪くないわよー? あの姉妹は大体いつもあんな感じだし」
「これぐらいの喧嘩はしょっちゅうだぜ」
「そ、そうなんですか?」
「ですわよ。 すぐにいつも通りに戻るわ」
まあ、そやろな。 姉の方は妹の事を大事にしとるからこそ、危ない事から遠ざけようとしよるんや。 現に危険が無いような趣味とかには特に口出しせえへんからな。
「しばらくは待ちですわね」
「だなぁ」
さて。 二人はどういう落とし所に持っていくんやろな。
◆◇◆◇◆◇
「私も免許取る事にしたわ……」
「だはは! 藍沢さんも取る事になっとるやん!」
「仕方ないでしょ……見える所にいた方がまだ安心出来るわ」
「なはは。 お姉ちゃん心配し過ぎー」
「うっさい」
「ほらね? すぐに元通りっしょ?」
「た、たしかに」
どうやら藍沢姉妹が二人共大型二輪免許を取る事になったらしい。 藍沢さんが妊婦やから、短期で取れるコースでいくみたいや。 妊婦の間は乗られへんやろうに……。
麻美と奈々美も大型二輪を取る事に?
「遥だ。 いつもの光景だな」
「だねぇ」




