第2150話 アイドルの恋愛事情
「皆の家」に戻って来た夕也達。
☆夕也視点☆
花見を終えて戻って来た俺達。 「皆の家」には姫百合さんとブルーウィングスの皆さんもやって来ている。 何というか、相変わらずやりたい放題のトップアイドル様だ。 後輩のブルーウィングスの子達にまで悪影響が出ているようだぞ。
「可憐ちゃんー。 こんにちはー」
「にちゃー!」
「おお。 結構言葉を喋るようになってますね」
「うん。 人の真似をしてるんだと思うけど、だいぶ喋るようになったわよ」
「うりーりー」
「あはは。 惜しい惜しい。 ゆりりんだよ」
「うりりんー?」
「うーん。 まあそれでよし!」
姫百合さんも可憐ちゃんの事を可愛いがっている他、ブルーウィングスの子達も可憐ちゃんを眺めて目を輝かせている。
「そういえば、皆さんもお腹の中に赤ちゃんいらっしゃるんですよね?」
「うん。 私、奈々ちゃん、奈央ちゃん、紗希ちゃん、遥ちゃんが妊婦だよ」
「す、凄い……」
「きゃはは。 私のは双子ちゃんなのよん」
「おおー、双子ちゃん!」
「それはそれは楽しみですね! 性別はもう判明してらっしゃるんですか?」
「まだ確定じゃないけど、多分女の子だって聞いてるわ。 私以外の妊婦さんはまだわかんないみたい」
「そうなんですね」
ブルーウィングスの子達は妊婦の皆に興味津々。 そういえば彼女達は「アイドル」という肩書きを取り除けば「恋に恋する女子高生」なわけだが……。 姫百合さんやブルーウィングスが所属する事務所は、意外とそういった「恋愛」については自由なんだそうだが、やはり「アイドル」という肩書きが邪魔して「恋愛」のハードルが高かったりするのだろうか?
「どうかしたの夕ちゃん?」
「ん? ああ、いや……」
こういう事って聞いてしまっても良いもんなんだろうか? んん……。
「んん? 夕ちゃん?」
「いや、やめとく」
「気になるねぇ」
亜美は「私にだけ教えてよ」と言ってきたので耳打ちで亜美にだけ話してみる。 俺の話を聞いた亜美は……。
「気になるねぇ。 大丈夫だと思うけどね。 私が代わりに皆に訊いてみるよ」
と、亜美の奴は興味津々な目をしながら手をパンパンッと叩いて皆の注目を集める。
「何? どうしたのよ亜美?」
奈々美が不思議そうに首を傾げる。
「うん。 実はブルーウィングスの皆さんに訊きたい事があるんだよ」
「私達にですか?」
「そうだよ」
こいつは本当に訊くつもりのようだ。 亜美は色恋の話が大好物だからな。 もう「どんな話が聞けるか楽しみでしかない」というような顔をしている。
「ズバリ! 絶賛女子高生なブルーウィングスの皆の恋愛事情について訊いてみたいんだよ」
「わ、私達の」
「恋愛事情ですか?」
「だよ」
奈々美と奈央ちゃんは呆れたような顔をしているが、紗希ちゃんや宮下さんのように、亜美と同じく興味津々というような顔を見せている者もいる。
「あのね、彼女達はアイドルなのよ? しかもかなり多忙な。 そんな余裕あるわけ……」
「岬は彼氏いるよね?」
「ええーっ?!」
「いるんですの?! アイドルなのに?!」
「は、はい。 一応……幼馴染なんですけど」
「おお……他の皆はいないの?」
「いないですねー」
意外にも、一人は彼氏持ちなんだそうだ。 亜美は更に興味津々な顔を見せる。
「幼馴染さんなんだねぇ。 でも、忙しくて会ったりデートしたり出来ないでしょ? どこで見られてるかもわからないし」
「あはは。 そうなんですけど、頻繁に連絡は取り合ってますし、今はビデオ通話とかで顔を見ながらお話しも出来るので意外と寂しくなかったりします」
「おお……」
何というか、中々しっかりしているな。 いわゆる「ガチ恋営業」的な感のある女性アイドル。 周囲に男性の影がチラつくのは、人気アイドルにとっではあまり良くないとされているからなぁ。 厄介なファンはそれだけで反転アンチと化したりする事あるのだとか。 直接会わずにビデオ通話で仲を深めたりする手法で繋がっているのか。
「凄いなぁ。 アイドルさんって大変なものなんだなぁ」
神山さんはわかっているのかわかっていないのかわからない反応を見せているが、岬ちゃんは「たまには会ったりしてるので」との事。
「会う時はどうやって会うの?」
「基本的にはマネージャーさんとかメンバーの皆が居る所で、仕事関係の仲を匂わせる感じで」
「という事は、二人で会ってデートしたりは出来ないわけか……」
「はい。 中々機会は作れないですね。 デートだけはまだ一度も」
何かちょっと可哀想ではあるな。 付き合っているのにデートは出来ないのか……。
「何とかしてあげたいねぇ」
「私も色々考えてはみたんですけど」
と、姫百合さん。 どうやら、岬ちゃんに彼氏がいるという話は知っていたらしい。
「どうしても人の目があるとねぇ」
「ですね」
「私に任せてもらえれば、機会を作らせてもらいますわよ?」
と、声を上げたのは奈央ちゃんであった。 たしかに、奈央ちゃんなら西條グループの力を使って何とか出来るかもしれないな。
「西條さん、具体的にはどうするの?」
「西條グループの旅館やホテルなら、私の権限で完全貸切に出来ますわよ。 外部の人間は一切の出入り禁止にも出来るから、二人だけの時間を作って差し上げる事も不可能じゃないわ」
「そ、そんな事出来るんですか?」
「ええ」
「さ、さすが西條グループ次期総帥」
「簡単に計画を考えてみたよ。 まずはその彼氏さんを該当の旅館に招待させてもらう。 岬ちゃんも後から合流。 後は旅館スタッフには口止めを徹底してもらい、外部からの他客の出入りを完全にシャットアウトしてもらう。 ただ、お客さんが二人だと怪しまれるから、エキストラを送り込んでカモフラージュしないとね。 もちろん、その人達にも口止めだよ」
「な、何だか壮大な作戦になってませんか?」
「それぐらいやらないと危険ではあるかなぁ。 万が一雑誌とかにすっぱ抜かれたら大変だもの」
と、姫百合さん。
「本当は私達がそのエキストラになれれば良いんだけど、知り合いが周りにいると気になるだろうしねぇ」
「たしかに、二人きり感は薄れるかもしんないわね。 その点、誰とも知らない人が周りにいてもあんま気にならないか」
「まあ、その方がマシというレベルだろうけど……岬ちゃん、どう?」
「この作戦に乗るなら、私は協力させてめらいますわよ」
「す、少し考えても大丈夫ですか? まだしばらくは仕事の予定が入ってて忙しいですし」
「もちろん。 心が決まり次第いつでも連絡下さいな」
「はい、ありがとうございます」
と、何故かアイドルの恋愛を応援する事になった奈央ちゃん。 まあ、細かいところは奈央ちゃんや亜美に任せることになるだろうが。
「ちなみに、姫百合さんやブルーウィングスの事務所は自由恋愛OKなんでしょ?」
「そうなんだけど、売り出し中のアイドルは中々ね」
「結局上から止められちゃうんですよ。 岬も外部に漏れない対策を完璧に講じる事を条件に許されてますから」
やはり事務所の看板クラスになると、あまり自由な恋愛は出来ないらしい。 可哀想な話だ。
アイドルは大変なようだ。
「奈央ですわよ。 私が何とかしますわよー!」
「私も協力するよ」




