表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2143/2233

第2139話 高嶺奮闘

いきなりブレイクされたアルテミスだが。

 ☆奈央視点☆


 Vリーグのファイナルが開幕。 今日はセミファイナルで、東京クリムフェニックスと対戦となっているわ。 初っ端から同時高速連携を拾われてブレイクされてしまったわ。 さすがに一筋縄では行きませんわね。


「出だしが良くても気を抜いたらあかんで。 アルテミス相手には一瞬の油断も出来へんからな」

「わかってるって」

「ワハハ!」


 中々油断もしてくれないと。 やり辛いわね全く。 さて、どうしたものかしらね。 あの感じだと、素直にブロックを避けてトスを上げてもそれを読まれてしまうから、敢えてブロックのいるとこにもトスをを上げないと。


「まだ1ブレイクですわよー! 取り返しましょう!」

「おー!」


 さて、引き続き浜中さんのサーブで試合再開。 今回は高嶺さんが拾う。 高嶺さんもしっかりしたレシーブを返してくれるわね。 OH(アウトサイドヒッター)にしておくのは勿体無いですわ。


「同時!」


 ここは諦めずにもう一度同時高速連携で攻めていく。 私達の武器は簡単には折らせないわよ!

 ブロックは亜美ちゃん、天堂さん、マリエルさんにそれぞれついてるわね。 フリーで打たせるなら高嶺さんだけど、そこはもう読まれやすくて使えない。 ならば、ここは決定率の高い亜美ちゃんで!


「はい!」


 パァンッ!


 亜美ちゃんに託してトスを上げる。 亜美ちゃんならブロック1枚ぐらいは無いも同然。 新田さんも高嶺さん警戒のポジション。


 ピッ!


「ナイス亜美ちゃん!」

「ふぅ。 何とか決められて良かったよ」

「さすが清水先輩。 私じゃあ決められるか怪しかったです」

「アミ、スバラシイ!」

「あはは。 まだ1-1だよ。 始まったとこだしこれからこれから」


 そういう事ですわよ。 ここでサーブは私に回る。 私の超高速スピンをかける様々な変化球で、上手くサービスエースにしたいところだけど。


「後衛には新田さんがいるから、短いサーブが良いわね……よし、逆回転で落ちるサーブね」


 ここは右手で打って右方向に落ちるサーブを選択。 ラインギリギリに落ちるコースで相手のミスを誘いますわよ!


 パァンッ!


 ボールに逆回転をかけてサーブを放つ。 コース的には相手のセンターフロント辺りに落ちそうなコースに見えるけど、ここから大きく右側に曲がりながら落ちますわよ!


 ギュインッ!


「うおっ?! そないな変化しよるんか?!」


 完全に月島さんの油断を誘えましたわ。 自分の守備範囲外だと判断して攻撃準備に動いていた為、レシーブには間に合わないでしょう。


「いや! アウトやろ!」

「おほほ!」


 パァンッ!


 ピッ!


「イン!」

「ぐぬっ!」


「私がそんなミスをするはずありませんわよー」

「そやわなぁ」

「今のは奈央ちゃんのサーブが素晴らしかったよ。 素晴らしいよ素晴らしい」

「ナオ、スバラシイ!」

「おほほ!」


 さて、サービスエースでしっかりとふりだしに戻したところで次のサーブですわ。 今度は相手コートの左隅にコントロールしていきますわよ。 簡単には拾わせないコースへ。 亜美ちゃんなら完璧にラインの角にピタリと落とすんでしょうけど、私はそこまでは出来ないし。 ちょっと内側を狙ってっと。


「そいやっ!」


 パァンッ!


 微妙な回転数の調節をして、変化量を決める。 このサーブを使いこなせるのは私だけ……と、言いたいけど亜美ちゃんも出来そうね。


「際どいコースやな!」

「拾います!」


 新田さんは迷わずにボールに向かっていく。 私のサーブはそこから曲がりながら落ちますわよー。 落球点を見極められるかしら?


 ギュイン!


「遠い! やあっ!」


 予測地点より遠いと判断するや、身を投げ出してダイビングレシーブする新田さん。 小さな身体を一杯に伸ばし跳ぶも、残念ながら届かず。


 ピッ!


「イン!」

「おお。 西條先輩連続エース!」

「おほほ」

「さすがに強力なサーブを操るだけあるねぇ」

「1-3デス!」


 開幕のブレイクを帳消しにしてリード。 完璧ですわね。 とはいえまだまだ最序盤。 気は抜けない。



 ◆◇◆◇◆◇



 その後のサーブは返され、そこからは点の取り合いが続く。 


 ピッ!


 6-8でタイムアウトに入り一呼吸。


「ふぅ」

「何とかやれてますね」

「ほぼ亜美ちゃんに頼り切りの攻撃だけど」

「清水先輩の決定率凄いですね」

「私、あの新田先輩からスパイク決められる自信無いですよ……」


 天堂さんはそんなこと言ってるけど……。


「貴女にも頑張ってもらいますわよー。 天堂さんだって世界を経験したんだし、自信持ちなさいな」

「は、はい」


 とりあえず発破をかけておく。 実際、この先亜美ちゃんだけで何とかなる程甘い相手ではない。 天堂さんや高嶺さんにもしっかり決めてもらわないと。


「清水さん、西條さん。 体調の方は大丈夫ですか?」

「うん。 凄く快調だよ」

「私も大丈夫ですわ」

「了解です。 このままこのセットはお二人にお任せします」

「らじゃだよ」

「わかりましたわ」


 まあ、このセットは私と亜美ちゃんで何とか引っ張っていくしかないわね。 希望ちゃんにも頑張ってもらわないと。 マリエルさんは十分に仕事してくれているし、やはりあとは若い二人ですわね。 ここは自信をつけさせる為に二人にトスを上げますか。


「さ、コートに戻りますわよ」


 中盤戦の開始。 サーブは希望ちゃんの代わりにコートに入っている遥から。


「よし、いくぜ! は!」


 パァンッ!


 遥のパワーサーブがクリムフェニックスコートへ飛んでいく。 しかし、この手のサーブには慣れているクリムフェニックスにはあっさり拾われる。 さすがは新田さんですわね。


「来ますわよ!」

「アミ、ブロックミヤシタ!」

「宮下さんだね! らじゃだよ」


 ここは一番怖いアタッカーの宮下さんにブロック二枚を割く。 しかし、クリムフェニックスのアタッカーには月島さんとキャミィさんもいる。 希望ちゃん抜きでこの攻撃を凌ぐのは中々に難しい。


 パァンッ!


 宮下さんには上がらず月島さんのスパイクとなる。


「真正面なら!」


 しかし、スパイクコースには高嶺さんが立っている。 レシーブに構えて腰を落としてインパクトに備える。


 パァンッ!


「おお! ナイスだよ高嶺さん!」

「素晴らしいですわ! この際Cパスなのは目を瞑ります! 時間差!」


 このチャンスは何としても手にしたい。 時間差高速連携で確実に決める。 ならばここはやはり!


「亜美ちゃん!」

「らじゃだよ!」


 パァンッ!


 ピッ!


「ナイスキー!」

「いやいや。 ナイスレシーブだよ高嶺さん」

「たまたま正面だったので」


 何はともあれ嬉しいブレイク。 リードを広げての中盤戦突入はありがたいですわ。 このまま逃げ切るわよ。

高嶺さんの奮闘によりリードを広げる。


「紗希よ。 高嶺さん、実は(リベロ)向き?」

「いやいや、さすがにOH(アウトサイドヒッター)だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ