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第2138話 ファイナル開幕

4月10日は亜美の誕生日……なのだが?

 ☆亜美視点☆


 4月10日の水曜日だよ。 


「4月の10日と言えば! 私の誕生日だよ!」

「Vリーグのファイナル開幕日ですわよ?」

「あぅ」


 そうなんだよね。 今日と明日ファイナルリーグなのである。 今日はセミファイナルとなる。


 今はバスでの移動中で、試合会場まではもう少しかかるよ。


「私の誕生日パーティーは週末にしてくれるんだよね?」

「その予定ですわよ」

「ほっ」


 良かった良かっただよ。


「西條ー。 そういえばSVリーグのライセンスの件は考えとるかー?」

「もちろんですわよ」


 SVリーグとは、Vリーグの更に上の位置付けとなるプロリーグである。 昇格には新たにライセンスが必要になるんだとか。 難しいことはわからないから丸投げぽいーっだよ。 既に今のリーグの上位チームである東京、大阪、福岡が移行する事を発表しており、我々千葉アルテミスも水面下では動いていたらしい。 知らなかったよ。


「まあ、来シーズン以降の話ですわね」

「うむ」



 ◆◇◆◇◆◇



 さてさて。 やってまいりました試合会場。 本日はこの近くのホテルを貸し切り、今日明日でセミファイナル、ファイナルを戦う事になる。


「お、来よったで。 レギュラーシーズン1位、千葉西條アルテミス」

「その声は弥生ちゃん!」

「だはは。 そやで」


 レギュラーシーズンでは二度対戦したよ。 ホームアウェー共に私達が試合に出て、何とか勝っている。 クリムフェニックスは大阪ホワイトフォックスにも黒星を付けられてレギュラーシーズンは3位で終えているね。


「今日は亜美ちゃん達試合出るん?」

「出来ればゆっくりしたいんだけど、初戦がクリムフェニックスじゃあねぇ」


 私達抜きでとなると、かなり厳しい試合になってしまうだろう。 当然1セット目から出る事になっているが。


「でもフル出場は控える感じだよ。 私達月ノ木組は半々ぐらいに分かれて各セット出る予定だね」

「そうなん? まあ、亜美ちゃんと対戦出来るんやったら何でもええよ」

「あはは。 じゃあ、また後で」

「おー」


 さて。 私達は控え室に移動して試合に備えるよ。



 ◆◇◆◇◆◇



「さて。 今日の試合は各セットでメンバーを入れ替えながら進めていきます。 まずは1セット目、清水さん、天堂さん、高嶺さん、西條さん、マリエルさん、雪村さん、(リベロ)との入れ替えに蒼井さんで行きます」


 私はいきなり出番のようである。 まあ、このセットはとにかく先取したいところだよ。 メンバー選出にもそれが見て取れる。


「相手はシーズン3位とはいえ、リーグでは最上位のチームです。 まずは1セット目を何とか先取して流れに乗りましょう。 藍沢さんはリリーフサーバーでの出番があるかもなので、準備はしておいてください」

「了解よ」


 そんなわけで、試合開始までは待機だよ。 夕ちゃん、ちゃんと家事できてるかなー? 一応春くんに様子を見に行ってもらえるようにはお願いしておいたけど。



 ◆◇◆◇◆◇



 ☆夕也視点☆


 ブィーン!


「掃除もだいぶ慣れてきたな。 これならもう邪魔者扱いされないだろ」

「集中しないと何かやらかしますよ」

「ふん、春人よ。 俺は進化したんだ。 そんな心配は無用だぜ」


 ドンッ……


 パタパタパタパタ……


 掃除機を亜美の本棚にぶつけてしまい、本が床に落ちて散らばってしまった。


「……まあ、こういう時もある」

「進化とは」

「うるせー」


 とりあえず順番はわからんから適当に片付けとくか。



 ◆◇◆◇◆◇



 ☆亜美視点☆


 スタメンはコートに入って試合開始を待っているよ。 クリムフェニックス側は当然フルメンバーなようだ。 

「お、1セット目から亜美ちゃんおるやん。 勝負やな」

「そだね。 今回も勝たせてもらうよ」

「だはは。 ウチらかて負けへんで」

「うわはは!」

「ワハハ!」

「相変わらず騒がしくてすいません……」


 新田さんがぺこぺこと頭を下げつつ、私達の体調は平気なのかを訊いてきた。 優しいねぇ。


「フル出場はしないから平気だと思うよ」

「ですわよ」

「さよか。 ほな、全力でやらせてもらうで。 あっと、それとあんさん、今日誕生日やな。 おめでとうさん」

「ありがとうだよ。 週末に誕生日パーティー開くから良かったら来てねぇ」

「了解や」


 世間話はこれくらいにして試合モードに切り替えるよ。 円陣を組んで士気を高める。


「亜美ちゃんは無茶なプレーは出来るだけ控える事。 特に、ダイビングレシーブは絶対にダメですわ」

「うん。 そこは希望ちゃんにお任せするよ」

「頑張るよぅ!」


 相手のコートメンバーは、この前対戦した時のメンバーと同じだね。 OH(アウトサイドヒッター)に弥生ちゃん、宮下さん、キャミィさん、(セッター)浜中さん、MB(ミドルブロッカー)に白鳥さんで(リベロ)に新田さん。 来シーズンはここにミアさんや大空さんが加入するようだよ。 凄いチームになるね。


 ピッ!


 試合開始とサーブ指示の合図だ。 サーブはクリムフェニックスの浜中さんから。 


 パァンッ!


「任せてよぅ」


 ここは安定の希望ちゃんにお任せだね。 あれぐらいのサーブなら希望ちゃんは余裕で拾うよ。


 パァンッ!


「ナイスだよ!」

「やっぱ雪村さんは簡単には落としてくれないわね」

「さすがです、雪村先輩!」


 相変わらず新田さんは希望ちゃんを崇拝している様子。


「行きますわよ! 同時!」

「いきなりかいな!」

「頭り前ですわよー!」


 攻撃に参加出来る全員で助走し、同時に跳び上がる。

 必ずフリーでスパイクを打てる人が出来るので、そこに奈央ちゃんがトスを合わせていく。 今回はMB(ミドルブロッカー)のマリエルさんだ。


「ハッ!」


 パァンッ!


「読めてました!」


 マリエルさんのスパイクを読んでいち早く動いていた新田さん。 両腕を伸ばしてボールに飛び込んでいく。


 パァンッ!


「拾われたよ!」

「ナイス千沙っち!」


 いきなり同時高速連携を拾ってくるとはだよ。 さすがにこの連携も使い過ぎてしまったか、対策を取られている。 新田さんのような一流の(リベロ)がいるようなチームには、中々通用しなくなっているね。


「宮下さん、頼む!」


 繋がったボールは浜中さんから宮下さんへと送られる。 マリエルさんと私でブロックへ向かうよ。


「せーの!」


 タイミングを合わせてブロックへ。 敢えてストレートを開けて、そちらへ誘うよ。


「その手は食わんー!」


 パァンッ!


 しかし、宮下さんは誘われてはくれず。 私の手に上手く当ててブロックアウトを決められる。


「ダメかぁ」

「うわはは!」


 さすがに宮下さん。 空中戦では世界一なだけはある。 いきなりブレイクを許してしまい、辛いスタートとなってしまったね。 さあ、ここからどうしたものか。

ファイナル開幕。 セミファイナルはクリムフェニックス戦!


「奈央ですわよ。 さあ、完全優勝しますわよー」

「おー!」

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