第2136話 新メンバー加入
4月になり麻美も新社会人。
☆麻美視点☆
「今日からよろしくお願いしますー!」
「お願いします!」
「お、お願いします」
「おお! 藍沢妹に月島妹! それに海咲! ようこそ千葉西條アルテミスへ!」
4月になり私達は新社会人となった私達。 今日からは私達もアルテミスの正式なメンバーに。 来シーズンは亜美姉達妊婦組がスタメンから外れる為、私達が頑張らないといけないー。
「よく来ましたわね! 海咲さんもどんどんアピールしていってちょうだい」
「は、はい。 頑張ります」
「緊張し過ぎよ、海咲さん」
「久しぶり、海咲さん」
「星野先輩に天堂先輩!」
海咲選手は我々と同じく月ノ木学園の卒業生ー。 この春に卒業したフレッシュな選手だ。 ポジションはOHで、亜美姉達が抜ける穴を埋める存在として期待されている。
「ファイナルリーグには間に合わなかったから出場は出来んが、来シーズンからは頼むぞ」
「はい!」
千葉西條アルテミスは今シーズンのレギュラーシーズンを1位で終えて、ファイナルリーグ行きを決めている。 以下、大阪ホワイトフォックス、東京クリムフェニックス、福岡ブルーコンドルズが続くー。
「亜美姉達も今日は勢揃いー」
「日曜日だし、新メンバーも入るからねぇ」
「だ、大大大先輩方が勢揃い……」
「な、何か大大大先輩になってる……」
「星野先輩や天堂先輩が先輩で、廣瀬大先輩や冴木大先輩が大先輩。 藍沢麻美大大先輩に月島大大先輩が……」
「きゃはは。 わかったわかったー」
何か面倒だから皆先輩で統一してくれという事になったー。
「ところで、妊婦はん達はファイナルリーグ出はるん?」
眞鍋先輩が亜美姉達に聞いている。 皆、フル出場はは控えるが無理の無いレベルで出場するつもりであるとの事。 主にホワイトフォックスとクリムフェニックスとの試合に出るつもりみたいー。
「あともう少しでシーズンも終わるし、皆さん頑張りましょう」
「おー!」
ファイナルには出られないけど、練習を頑張って来シーズンに活躍するぞー。
◆◇◆◇◆◇
「ししょー!」
「弟子よー!」
練習が始まると、弟子である牧田さんが近付いて来た。
「ちょいさー力は磨いてるかー?」
「はい!」
「何よちょいさー力って……」
「なはは。 私達にしかわからない事ー」
お姉ちゃんは「まあ、別に知りたくないけど」と、冷ややかな目線をこちらに向ける。
「それは私達には理解できない特殊能力なんだよ。 麻美ちゃん達は紛れもない天才なんだよ」
「なはは!」
我らは天才ー!
「さあー練習するぞー! アタッカー諸君ー、どんどんスパイクを打ってきたまへー!」
「たまへ!」
私と星野さんが二枚ブロックに入り、牧田さんがLに入る。
「ほなまずは私からや」
最初は渚かー。 私のライバルなのでどんどん勝負を挑んでくるー。
「きたまへー!」
「姫神さん、トス頼んます」
「はい!」
まずは姫神さんから渚にトスが上がり、渚がアタックを仕掛けてくる。 私と星野さんはタイミングを合わせてブロックに跳ぶ。
「はっ!」
「ちょいさー!」
パァンッ!
渚は私との勝負に固執しているが、ここはそれを匂わせながら私のブロックを躱わすコースに打ち込んで来た。 あ、もちろん匂いでわかってたけど、敢えて私はブロックで触らない事にしたー。
「っしゃ!」
「ちょいさー!」
「な、何っ?!」
パァンッ!
私と星野さんはブロックを抜かれたが、そのボールには牧田さんが間に合いしっかりレシーブー。
「さすがは弟子ー!」
「プンプン匂いましたー!」
「ぐ、麻美が二人おる……」
「ははは……」
ちなみにレシーブはBパスとなり、西條先輩には「拾うのは偉いけど、もう少し精度が欲しいですわね」と、ダメ出しされていたー。 レシーブに関しては教えられないので、希望姉に任せる事にするー。
◆◇◆◇◆◇
その後もしっかり練習を続けた私達。 練習後にはいつも通りに焼肉へ行き親睦を深める。 特に海咲さんは天堂さんや星野さん以外とはほとんど接点が無かった為、今回の焼肉パーティーでしっかり仲を深めていくー。
「海咲さんといえば、京都ハンナリズに入った大空さんや、クリムフェニックスに入った浜波さんとライバル関係だよね」
「はい。 早くプロのコートで対戦したいです」
「その為にはまずレギュラーにならないといけせんわよ」
「それなんですよね。 このチーム、OHの層が厚いので大変そうで」
「まあ、来シーズンには化け物みたいなメンバーが休止しはるから、チャンスは十分あるやろ」
と、渚もしっかりレギュラーを狙っているようだー。
「お前達ー。 来シーズンの話は良いが、まずはファイナルリーグ優勝を目指してくるんかー?」
監督はまだ今シーズンは終わってないぞ、と告げる。 それはそうだが、私は出られないからなー。
「ファイナルは全チーム強敵だからねぇ。 そこに集中しないと優勝は難しいよ」
「ですわねー。 1部リーグ初昇格からの初年度完全優勝を狙いたいですわ」
「私達の初戦はクリムフェニックス。 はあ、出来れば大阪と潰し合って欲しかったわね」
「下手したら東京、大阪と連戦だからなあ」
どちらも強敵なので、出来れば連戦はしたくないとの事ー。 高校時代を思い出すー。
「まあ、やれるだけやりましょう。 何とかなりますわよ」
「そだねぇ」
ファイナルは10日からという事なので、応援を頑張るぞー!
◆◇◆◇◆◇
自宅へ帰って来てユニフォームを着て見る事にー! 練習は短パンとシャツでやってたからねー。
「カッコイイー!」
黒を基調とした中に、黄色ロゴが目立っている。 夜空に浮かぶ月をイメージしたと、神崎先輩が以前言っていた。
「早くこれを着て試合に出たいー」
コンコン……
ガチャ……
「麻美、お風呂空いたで」
「なは。 りょーかーい」
部屋のドアを開けた渚は、ユニフォーム姿の私を見てしばらく黙り込む。
「な、何ー?」
「いや、楽しみにし過ぎやろ」
「めちゃくちゃ楽しみー! 早く試合させろー!」
「来シーズンまで待つんやな まあ、練習試合とかもあるやろけど」
「早くー!」
「私に言うても知らんて」
むー。 少なくともファイナルリーグが終わるまでは練習試合も無いだろうしー。
「うずうず」
「まあ、わからんでもないけどやな。 もうちょい待とうや」
「うむ」
慌てなくてもすぐに機会はやって来るだろう。 それまでにもっとブロック技術を磨いておくぞー!
「ところで、レギュラーは取れる自信あるん?」
「当然ー! 星野さんやマリエルさんは強いけど、私だって世界の強豪と渡り合ってきたんだよー!」
「それもそやな。 お互い、開幕スタメン目指して頑張ろや」
「おー!」
こうして、新年度がスタートしたのであった!
アルテミスの一員となり、早く試合がしたいと思う麻美であった。
「希望です。 麻美ちゃんが加入すればブロックは安心だよぅ」
「天才タイプのプレーヤーだからねぇ」




