第2133話 ふわとろオムライスに挑戦
土曜日。 今日は亜美からふわとろオムライスの作り方を教わる日だ。
☆麻美視点☆
今日は3月24日の土曜日だよー。 今日の夕飯は今井家で作る事になっているー。 この間亜美姉と約束した、草津で食べた絶品ふわとろオムライスの作り方を教えてもらうのだー。
「で、今は買い出しー」
「買い出しだねぇ」
「買い出しにこんな人数いるのか?」
「まあ、何が必要かも教えてもらわないと」
「そだねぇ。 具材や調味料もしっかり教えてあげないといけないからね」
という事でー、皆で買い出しに来ているー。 オムライスに必要な物を買いに来ているのだが、何故か調理器具のお店に入っていく亜美姉。
「ほへ? 調理器具のお店には卵もケチャップも売ってないよー?」
「フライパンだよフライパン」
「フライパンー?」
「うん」
とりあえず亜美姉について行く事に。 亜美姉は自分で言ったようにフライパンコーナーへやって来た。
「これぐらいのサイズのフライパン、家にある?」
亜美姉が指差したフライパンを覗き込む。 ちょっと小さめのフッ素加工のフライパンだ。
「家にあるのはもっと大きいー」
「私の家もそうね」
「これぐらいのサイズがベストなんだよ」
「ならば買うぞー」
「大きなフライパンじゃダメかしら?」
「まあ、出来なくはないけど難しくなるよ」
「そう」
「形を気にしないなら卵焼き用のフライパンでも大丈夫だよ」
「じゃあ私は買わないわ」
私だけフライパンを購入し、次は具材や調味料を買っていく事にー。
「卵にケチャップ、鶏肉に玉ねぎ、あとはマッシュルームが入ってたね」
「うむー」
言われた物をカゴに入れていくー。 あとは塩胡椒やバター等ー。
「あと、今日はデミグラスソースも市販の物を使うから、それも買ってね。 麻美ちゃんと奈々ちゃんには手作りデミグラスソースのレシピを後で送るよ」
「ありがとうー!」
「助かるわ」
とりあえず今日のところは市販のデミグラスソースを購入し、今井家へ帰るー。
◆◇◆◇◆◇
夕飯の支度の時間まではまだあるので、リビングでゆっくりすることに。
「はぅ。 あのオムライスを夕也くんに教えるんだっけ? 夕也くんに作れるかな?」
「ふん。 親子丼とチャーハンは作れるんだから、オムライスも余裕だ」
「凄い自信だよぅ……」
「なはは。 見ものー」
夕也兄ぃが料理を覚え始めたのは意外だけど、亜美姉や希望姉の助けにもなるから良い事だー。
「希望は教えてもらわなくて良いの?」
「私はいつでも教えてもらえるし」
「まあ、それもそうね」
希望姉は昔から亜美姉な料理を教わっている。 その腕前もかなりのものー。 良いお姉ちゃんがいて羨ましいー。 あ、私のお姉ちゃんも勿論良いお姉ちゃんだぞー! 乱暴なとこれが玉に瑕ー。
「希望ちゃんの腕ならちょっと教えればすぐ作れるようになるよ」
「そうね」
「雪村先輩さすがや……」
「先生が良いんだよぅ」
「私は普通に教えてるだけだよ。 希望ちゃんの料理センスが高いんだよ」
私も早く、亜美姉や希望姉ぐらい料理が上手くなりたいー。
◆◇◆◇◆◇
てなわけでー、いよいよ亜美姉から絶品オムライスの作り方を教えてもらうー。
「よし。 まずはチキンライスの準備からするよ。 具材を切っていこうね。 夕ちゃんと麻美ちゃんも説明を聞きながら具材切ってね」
「おう」
「りょーかーい」
「まずは、玉ねぎをみじん切りにするよ。 食感が欲しいからちょっと粗めにね」
「わかったわ」
「お、おう」
粗めのみじん切りー。 夕也兄ぃはちょっと手元が怪しいけど、何とか出来ているー。 経験が少ない割に中々やるなー!
「出来たわ」
「私もー」
「俺も何とか」
「うんうん。 次に鶏肉。 1センチ角ぐらいに切っていくよ」
こんな感じで、マッシュルームも横から輪切りにしていき具材の準備は完了ー。 ここからはお姉ちゃんから順番に調理を進めていくー。
「じゃあチキンライスだね。 まずは油を敷いて玉ねぎを炒めていく」
「オッケー」
お姉ちゃんはさすがに慣れた手つきで作業していく。 続いて鶏肉を投入し炒めていくー。 更にマッシュルームを入れて炒めー。
「ここでバターを入れるよ」
「バターね」
バターを入れて溶かした後は、ご飯を炒めていく。 チキンライスは普通だー。 最後にケチャップや塩胡椒を投入してさっと炒めてチキンライスは完成ー。
「ここまでは余裕なのよね」
「チキンライスだからね」
「俺でも出来そうだな」
「チャーハンの親戚みたいな物だからね」
「ここからね。 次は卵よ」
「そんなに難しくはないよ。 奈々ちゃんなら余裕だよ」
「先生よろしく」
「らじゃだよ。 まずは卵を三つ割ってボウルでかき混ぜる」
「了解」
コンコン……パカッ
「おお。 奈々ちゃんは握り潰す派だと思ってたよ」
「あんた、私が卵割るとこなんて何回も見てるでしょ?!」
「なはは」
シャカシャカ……
「出来たわよ」
「うんうん。 次にフライパンに油を敷いて熱する。 奈々ちゃんは卵焼き用のフライパンだね」
「そうね」
亜美姉の言う通りに作業を進めるお姉ちゃん。 ある程度熱したところでフライパンの温度を確かめる為に卵を一滴垂らす。
ジュッ……
「うん。 ちょうど良い感じだね。 ここからは素早くだよ。 卵をフライパンに投入したら、お箸でぐるぐるかき混ぜるてフライパンを前後に揺らしながら焼いていく」
「オッケー」
ジューッ……
シャカシャカ……
「な、何か難しそうだな」
「なはは」
シャカシャカ……
「真ん中辺りが半熟になるちょっと前ぐらいに火を止めて、玉子の端っこを剥がしながら三つ折りにするように巻くよ」
「早めに火を消すのね。 それをしなかったから、私のオムライスはふわとろにならなかったのね」
カチッ……
お姉ちゃんはやはり慣れた手つきで玉子を綺麗に巻いていく。 一度フライパンの端に玉子を寄せて、左手で右手を軽く叩きながら玉子を裏返しにしている。 凄いー!
「お、俺、あんなの無理だぞ」
「な、なはは」
私もちょっと自信無いー。
「オッケーだね。 それをさっき作ったチキンライスに乗せて、包丁で真ん中を切ると」
「おー」
「ふわとろに出来たわよ!」
「おめでとうだよ。 あとはデミグラスソースを温めてかけるだけ」
「温めておいたぞー!」
「ナイス麻美」
デミグラスソースをかけて……。
「絶品ふわとろオムライス完成!」
「玉子が四角なのはまあ、仕方ないね。 卵焼き用のフライパンだし」
「なるほど。 まあ、見た目はあれだけど良いわ」
「うんうん。 次、麻美ちゃん」
「おー!」
という事で、さっきの亜美姉の説明とお姉ちゃんの作業を思い出しながら作っていくー。 玉子を巻くのに苦労はしたけど、何とか完成ー。 ふわとろオムライスに出来たぞー。
ちなみに夕也兄ぃは玉子が上手く巻けずに形がぐちゃっとなっていたけど、一応ふわとろオムライスにはなっていたので皆成功という事でー。
ちなみにそのあと、亜美姉が自分の分と希望姉、渚の分を作ったけど、プロ並みの腕前を披露していた。 さすが過ぎるー!
夕也は怪しいが、何とか成功?
「遥だ。 私は普通のオムライスも失敗することあるからなぁ」
「慣れだよ慣れ」




