第2126話 皆の野望?
旅館でゆっくり過ごす一行。
☆奈々美視点☆
草津旅行は観光を終えて、旅館に戻って来たところよ。 あとは自由にゆっくり過ごすって感じになっているわ。 時間は15時過ぎぐらいだけど、麻美は近くに御朱印が頂ける神社が二つもあるからと言って飛び出して行ったわ。
「相変わらず元気やなぁ、麻美は……」
「本当、ゆっくりしてりゃ良いのに」
「うわはは。 さすがは麻美っち」
「マリアなんか見てみなさいよ。 リクガメのリク君を眺めてボーっとしてるわよ」
「あれはあれでマイペース過ぎやろ……」
ちなみにこの旅館、西條グループの旅館と言う事で当然ペット同伴可……なんだけど、私達が今日借りている部屋は宴会場。 確かに広い部屋だけど、ペット用のスペースが付いているわけじゃないのよね。 なので、畳にシートを敷いて柵で無理矢理ペットスペースを作ったわ。 ただね……。
「トラはどうにもならないですわねー」
「がう」
「ぐるる」
トラ四頭は宴会場の縁側から出られる中庭に放しておくしかないらしい。 まあ、あの子達は賢い子達だから問題無いわね。
「にゃふー」
「ゴンすけは遊び疲れちゃったかしら?」
「というか、ペット達皆疲れてそうだよ」
「みゃー……」
「なー……」
私達が植物園や昆虫館を見ている間、この子達はずっとペット専用公園で遊んでいたものね。 相当はしゃいだんだろうし、そりゃ疲れもするわよね。
「こいつら、旅行慣れしてるからな。 自分達が今、旅行に来てるって事まで理解してるだろうし、はしゃぎもするだろうさ」
「旅行がわかってるって……」
「あり得るんだよねぇ、この子達なら」
ちなみに、私達との旅行経験が少ない子達はまだよくわかってなさそうよ。
「ワハハ。 ピッピはさすがにわかってへんみたいやけどなあ」
「ピッ」
あの文鳥、キャミィにめちゃくちゃ懐いてるわね。 ずっとキャミィの肩の上に乗ってるわよ。 凄いわね。
「そういえば、ゴンすけ君の子供達はいつぐらい引き取るの?」
「月末の予定よん。 オスが二匹いるからその子達を引き取るつもり」
「おー、楽しみだねぇ」
またペットが増えるのね。 本当に動物王国になるわね。
「近いうちにうちのリンと前田さんのライもと考えてはいるんだ」
「ですね」
「そうなの」
「同じゴールデンレトリバーのオスメスだからな」
「というか、普通に放し飼いにしたりしてるけど勝手に作ったりしないのか?」
「発情してる時は離すようにしてるし、まあ大丈夫じゃないか?」
「今のところ何事も無いですしね」
「そうか」
ということはいずれ我が家のゴールデンレトリバーが増えるわけね。 まあ、一匹ぐらいは増えても大丈夫だけど、そうなるとくぅとタマは麻美の家に譲った方が良いわね。
◆◇◆◇◆◇
「なはは、ただいまー」
「おかえり麻美ちゃん。 御朱印は貰えた?」
「うむー。 二つとも頂いたー」
「良かったねぇ」
麻美の趣味の一つである御朱印集め。 長続きしてるわね。 まあ、この子が趣味に途中で飽きたなんて話、聞いた事無いけど。 そんなんだからどんどん趣味が増えていくのよね。
「というか、麻美が戻って来たんなら早速温泉入るわよ!」
「なはは。 お待たせしましたー」
麻美が待っててほしいって言うから、帰って来るまで待っていた私達。 まあ、何人かは先に入った人もいるけど。 私、亜美、希望、宮下さんに弥生、紗希、奈央遥は麻美を待っていたわよ。
「じゃ、行きますわよ」
「行くわよ!」
温泉よ!
◆◇◆◇◆◇
「はあ、やっぱり温泉は生き返るわねー」
「奈々ちゃん、年寄り臭いよ」
「なはは。 いつも通りー」
「きゃはー。 でも確かに生き返るわー」
「ですわねー」
「皆が年寄り臭くなったよ……」
「夜にも入るわよ!」
「奈々美は温泉狂いだな……」
「狂ってはないわよ。 温泉をこよなく愛してるだけよ」
「温泉の妖精に会えるぐらいですものね」
「あれはマジで夢じゃなかったのよねー。 きゃはは」
「そうよ。 温泉の妖精はいるのよ」
「明日はスパ施設で温泉三昧だよ。 奈々ちゃん良かったね」
「楽しみだわ!」
遥は「やっぱり温泉狂いだ」と、呆れ顔で言う。 狂いって事はないと思うんだけど。
「なはは。 お姉ちゃんは日本全国の温泉を制覇するのが野望ー」
「それは間違いないわ」
「おほほ。 まだまだ沢山あるから、中々大変そうな野望ですわね」
「まあ、そうね。 さすがに制覇出来るとは思ってないわよ」
あまりにも多すぎるものね。 とはいえ、行けるだけ行ってみたいとは思っているわ。
「はぅ。 野望ってまた凄いよぅ」
希望には野望って無いのかしら? うーん、無さそうね。
「亜美には野望ってあるの?」
「野望ねぇ……この世の全てを知りたいよ」
「きゃはは! どデカイ野望じゃーん」
「神にでもなる気なのかしら……」
「あはは……そこまでは考えてないけどね」
「遥は?」
「私は野望って程のもんはないなぁ」
「そうなの? てっきり日本中の美味しい食べ物を食べるとか言うのかと」
「私を何だと思ってんだよ……」
「なはは!」
他の皆にも、何か野望めいた物とかあるのかしら?
「弥生……は、聞くまでも無いか」
「妥当亜美ちゃんや」
「そうよねー」
「宮下さんは無さそうだよね?」
「まあねー。 あんまそうゆーの考えないわね。 日々を普通に過ごせればそれで良いわ」
「だねぇ」
ちなみに希望の野望は夕也の愛人になる事らしい。 何か一番怖かったんだけど……。 亜美は苦笑いしながら「そ、それはちょっとダメかなぁ」と、呟くのだった。 さすがの亜美も愛人は許さないみたいね。
◆◇◆◇◆◇
お風呂から出て時間はまだ17時。 夕食までまだ時間があるみたいね。 部屋では何人かがトランプで遊んでいたわ。 まあ、ほとんどの人が見てるだけとかだけど。
「なはは。 ババ抜きやるなら混ぜてほしいぞー」
「うわはは。 麻美っち、ババ抜きだけはやめときたまへ」
「麻美さん、ババ抜きは弱すぎマス」
「何だとー」
麻美はポーカーフェイスが出来無い為、顔を見ればジョーカーを手に持っているかどうかすぐわかるのよね。 それは夕也も同じで、二人してババ抜き最弱王なのよ。
「麻美ちゃん……自覚無いんだね」
「大体いつも最下位かブービーなのに……」
ちなみにブービーの時は100%夕也が最下位よ。 どうしてもババ抜きに参加するという麻美と星野さんが替わり、ババ抜きが再開されたけど……。
「のわー! 何故負けたんー!?」
「やっぱり弱いでス」
「藍沢先輩……まさかここまで弱いなんて」
「ワハハ! アサミはアホヤナ」
皆にバカにされた麻美は更にババ抜きを続行するも、連戦連敗。 あまりにも情けないわねら。
「ぐぬぬー。 皆エスパーなのかー?」
「誰でもわかるっての……」
結局夕飯までの間に、麻美は10連続で最下位を取るのだった。
皆それぞれ野望?がある様子。
「紗希よ。 私の野望は独立して世界一のキャラクターデザイナーになり、自分の考えた可愛いキャラに囲まれる事!」
「凄い野望だけど、叶いそうだよね」




