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第210話 将来を考える

希望はノートパソコンで調べもの中のようだが?

 ☆希望視点☆


 7月に入って、もうすぐで期末試験がやってくる。

 柏原くんは大丈夫だろうか?

 亜美ちゃんが言うには、普通にやってれば大丈夫だろうとの事。

 どうでもいいけど、虹高の生徒を教えられる亜美ちゃんってやっぱり凄い。


 そして渚ちゃんの事も気掛がかりだよ。

 後押しはしたけど、どうするかは渚ちゃん次第。

 もしかしたら、私は残酷なことをしちゃったのかな?

 でも、気持ちを伝えずに諦めるっていうのは、勿体ない事だと思う。


「色々な事が起きるなぁ」


 とか考えながら、私はノートパソコンで色々と調べ物をしている。

 調べているのは大学について。

 ここから通えて、幼稚園教諭の資格が取れる大学をピックアップ。

 通えると言っても結構遠い。

 一番近い所でも電車で50分。


「短大って選択もあるんだね。 ただ一種と二種免状では待遇面が変わってくるんだね」


 できれば4年制の大学で、しっかりと勉強していきたいと思う。

 先程の近い大学なら、私の成績でも狙えるし第一志望としては申し分ない。


「うん。 まだ時間はあるし、ゆっくり調べて決めよう」


 夢の幼稚園の先生に向けて動き出すと、もうすぐ大人の仲間入りなんだなーと実感する。

 まだ高校2年生の子供だけどね。

 でも、もう体は大人だね。 何せすることはしちゃってるわけだもん。


「それにしても、私、幼稚園の先生なんてできるんだろうか」


 自分の事は良く分かっている。

 とにかく人見知りするし、臆病だ。

 社会に出てもこれじゃ、絶対に苦労するのはわかっている。


「頑張って克服しなきゃ」


 今だって、頑張れば1週間ぐらいで慣れて普通に接したりできるんだけど。

 やっぱり慣れるまではおっかなびっくりだ。


「こういうの克服するのって、どういう方法がいいんだろう?」


 やっぱり場数を踏むしかないのかな。


 コンコン……


 不意にドアがノックされる。

 多分亜美ちゃんだね。


「どうぞー」


 ガチャッ


「希望ちゃーん。 何やってるの?」

「んー? 調べものー」

「どれどれ。 大学?」

「そうだよ。 幼稚園教諭の資格が取れる大学を調べてるの」

「おお、頑張ってるね!」

「うん。 夢に向かって一直線!」

「応援するよ。 勉強も見てあげる」

「ありがとう!」


 うーん、頼りになるお姉ちゃんだ。

 これで夕也くんの事を奪合う仲だなんて言っても、誰も信じないよね。


「勉強もなんだけど、人見知りを克服したくて……何か良い方法無い?」

「うーん……無いことも無いけど」

「けど?」

「荒療治になるねぇ」

「はぅ……できればゆっくりお願い」

「場数踏むしかないんじゃないかなぁ……」


 結局そうなるのね。

 ちなみに……。


「亜美ちゃんの言う荒療治っていうのは?」

「うん? それはとにかく大勢の知らない人達の前に出て話す事だよ。 私が通ってたライブハウスとか行ってみる?」

「ええっ?! 私、演奏とかできないけど?」

「お客さんとしてでもいいじゃん」

「あ、そっか」


 知らないお客さん達と一緒に話したり、盛り上がったりってことだよね。

 たしかに荒療治かもだけど。


「じゃあ期末終わったら案内……してくれる?」

「おお? うんいいよ! 私も希望ちゃんに出来るだけ協力する」

「ありがとう」


 ということで、期末の後は亜美ちゃんとライブハウスとやらに行き、武者修行することになった。

 まずは人に慣れるところから。 ゆっくり克服するよ。


「まあでも、希望ちゃんはまだ軽い方だと思うよ? 大体1週間前後で慣れてるじゃない? 中にはずっと慣れないで他人と関われない人もいるし」

「う、うん。 でも、最初から普通に接したいじゃない? 子供からしたら、初めて見た先生がおっかなびっくりで接して来たら、不安にさせちゃうし」

「たしかにねぇ」


 完全初見でも尻込みしない様に私はなりたい。


「頑張ろう、希望ちゃん」

「うん」

「それにしても、幼稚園の先生か。 どれどれ」


 亜美ちゃんがパソコンを覗き込む。


「短大でも取れるんだねぇ」

「うん。 でも私は4年制の大学でゆっくり勉強したいなと思ってるんだよね」

「免状の種類も違うんだね」

「そうだね。 やっぱり4年制出たほうが一般的には待遇良いみたい」

「じゃあ、第一志望はここ?」

「うん。 一番近い4年制の大学だから」

「凄いねぇ。 ちゃんと将来やりたいことに向かって進んでる」

「あはは。 亜美ちゃんはまだ?」

「うん……」


 ちょっとトーンダウンしてしまう亜美ちゃん。

 亜美ちゃんは、まだ将来やりたいことが見つかっていないのだ。

 周りが色々と見つけている中で、焦っているのかもしれない。


「奈々ちゃんは結構楽観的だけどね」

「そうだよね。 でもそれぐらいでも良いんじゃない? 別に何かにならなきゃいけないってこともないんだし」

「それはそうだけどね」


 実際、やりたい職業に就ける人なんて、それほど多いわけでは無いと思う。

 大体は、高校を出てすぐに適当な企業に働きに出るか、大学を出て適当な企業に働きに出るか。

 中には大学を出ておきながら就職できないなんて人や、そのまま専業主婦になる人だって多いと思う。

 奈々美ちゃんはどう考えてるかわからないけど、亜美ちゃんも深く頭を悩ませる事は無いと思う。


「大体亜美ちゃんは、やろうと思えば何でもできるんだから慌てなくても良いんじゃない? それこそ専業主婦でも良いじゃん?」

「それはどうかなー? 少なくともお給料貰って生活を楽にしたいよね」

「兼業ってこと?」

「うん。 あ、子供出来たら専業も考えるけどね」

「そっかぁ……で、誰の子供?」

「夕ちゃんに決まってるじゃん?」

「あははは。 まだそうとは決まってないんじゃないかな?」

「いやいや。 もう誰にも譲らないよ?」


 バチバチ……


 火花を散らす私達であった。


「教師はやっぱり嫌?」

「うーん……」


 この間、奈央ちゃんの家で勉強会をしていた時も、柏原君や紗希ちゃんに言われていた。

 私も向いてるとは思うんだけど。


「でも、教師が教える事って勉強だけじゃないでしょ? 生徒1人1人の心のケアとか他にもやらなきゃいけないことはたくさんあるし、大変な職業だと思うの。 勉強出来て教えられるだけじゃ、きっと務まらないよ」

「そっかぁ、 ちゃんと考えてるんだね」


 たしかに、せっかく教師になれても続かなきゃ意味が無い。

 私は幼稚園の先生になれたとして、ちゃんと続けられるだろうか?


「バレーボールも高校で辞めるんでしょ?」

「うん。 そのつもり」


 亜美ちゃんなら、どこの事業団からでも声が掛かるはず。

 それでもきっぱり辞めると決めている辺り、友達と一緒にやる趣味の1つぐらいの認識なのかもしれない。

 そういうとこは凄いなぁ。


「はぁー……希望ちゃんが羨ましいよー。 何だか輝いて見える」

「そんな大袈裟な……」


 でも、やる気が溢れてくるっていうのはある。

 目標が出来ると、やっぱりこう「頑張ろう」って気になる。


「私も何か切っ掛けがないかなぁ」


 と、亜美ちゃんは呟くのだった。


「そだ、話は変わるんだけど……」


 私は以前から考えていた、あるお願いを亜美ちゃんにしてみることにした。


「うん? 何?」

「あの、27日なんだけどね?」

「希望ちゃんの誕生日?」

「うん。 その、夕也くんを1日貸して欲しいなぁ……なんて」

「ダメー」

「はぅーっ?!」


 即答だった。

 ダ、ダメなんだ……。

 と、落ち込む私に対し亜美ちゃんは──。


「ぷっ……あははは! 嘘だよー! 良いよ、1日貸してあげる。 その日は夕ちゃんと何しても良いよ」

「い、良いの?」

「うん。 だって、希望ちゃんが夕ちゃんと付き合ってた頃は、私に夕ちゃん貸してくれたりしてじゃない? だから、これでおあいこ」

「あ、ありがとう!」

「どういたしまして。 でも子供は作ったりしちゃダメだよ?」

「つ、作らないよぅ!」


 でも良かった。 今度、夕也くんに話してデートに誘おう。

希望は誕生日にウイいう後デートできる事になった。


「奈央です。 私が初以来西條グループの総帥を継がねばなりません。 まあ、私ならよゆーで務まると思いますけど。 婿養子に春人君を加えて幸せな人生を送るわよー!」

「大丈夫かしら本当」


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