第2125話 結構楽しめる
昆虫館を見て回る麻美達。
☆麻美視点☆
草津に旅行に来ている私達は、現在昆虫館に来ていますー。 私も昆虫とかはそれなりに好きではあるけど、宏太兄ぃや美智香姉の知識量には敵わないー。
「あ、カナブンー!」
「麻美ちゃんとカナブンと言えば……」
「遭難事件のアレね」
「遭難してないぞー」
その昔、清水家と藍沢家で山のコテージに旅行に行った際、私はカナブンを追いかけて林の中に入って行った事があるー。 お姉ちゃん達はそれを遭難だと言うのだー。 あれは遭難じゃないのだー!
「そういえば、カナブンとコガネムシって違うの?」
「一応違うんだ」
「へぇ」
「カナブンって綺麗なのもいるのねー」
「だな。 昆虫ってのは結構派手な見た目した奴とかも多かったりするんだ」
「へぇ」
皆、少しずつ昆虫に興味が出て来たらしいー。 カナブンやコガネムシのコーナーを抜けて、次なるコーナーへー。
「んん? これは水槽かしら?」
「昆虫なのに水槽?」
次のコーナーには水槽が並んでいるー。 お魚でも泳いでいるのかと思いきやー。
「水棲昆虫コーナーだな」
「水棲昆虫? あ、確かに何か虫がいるわ」
「これはミズカマキリね」
「ミズカマキリ?」
「その名の通り、水棲のカマキリっぽい昆虫だ」
「っぽいって、カマキリの仲間じゃないんですの?」
「カメムシの仲間だ。 タイコウチ科に属する昆虫だな」
「タイコウチもわからないんだが……」
「多分、展示されてるでしょ」
「カッコええナー」
「そうね。 私は水棲昆虫の中じゃミズカマキリが一番好きね」
美智香姉はこんな珍しい虫にも詳しいみたいだー。 何でも昔は田舎の池や田んぼなんかで見る事が出来たらしいー。 たまーに学校のプールとかに飛んでくる事もあるとかー。
「お、これがタイコウチだな」
「確かにさっきのミズカマキリとよく似てるねぇ」
「他にも似たような水棲昆虫にコオイムシやタガメなんてのがいるな」
「それも多分ここに展示されてるわよね」
西條グループの運営する場所だから、何でも展示してあるとは思われー。 ちなみに私もこの辺りの昆虫はあまり知らなかったー。 やっぱり宏太兄ぃと美智香姉は凄いー。
◆◇◆◇◆◇
日本の昆虫コーナーが終わると世界の昆虫コーナーに入るー。 ここからは私も本当に知らないー。
「世界のカブトムシコーナーだって」
「ふむ。 あれは世界最大のカブトムシと言われるヘラクレスオオカブトだな。 デカイ奴18cmもあるぜ」
「18?! でっか」
「名前は聞いた事あるな」
「にしてもデカイわねー。 あれでどれくらいなのかしら?」
皆も見たことのないサイズカブトムシを前に興味津々ー。 ヘラクレスオオカブトは私も聞いた事あるけど、実際に見るのは初めてだー。
「海外のカブトムシって色々いんのね。 日本のはあれしかいないんでしょ?」
「まあ、そうだな。 海外のカブトムシは日本のよりも重厚感あって、カッコイイのが多いんだ。 二本角と三本角の奴がいるんだ」
「へぇ」
「私は断然このヘラクレスオオカブトが好きだわ。 世界最大!」
「ふん。 わかってないな宮下よ。 アトラスオオカブトこそ至高」
なはは。 名前だけ聞いてもわからないー。 でもアトラスオオカブトも強そうー。
「お! これがアトラスオオカブトだぞ! どうだ、こっちのがカッコイイだろ」
宏太兄ぃが興奮気味にケース内を覗く。 ケース内には三本角の大きなカブトムシが悠然と歩いていたー。 頭の左右から湾曲した二本の角と中央下部から上方向に突き上がるように伸びた一本の角の三本。
「うおー! たしかにカッコイイー! 私は気に入ったぞー!」
「麻美っちはそっち派かー」
「ウチもこのアトラスっちゅう奴やな」
「私はヘラクレス派かしらねー」
と、昆虫とか興味無いと言っていた神崎先輩もかなり昆虫館を楽しみ始めているー。 やはりこういうのは楽しんだ方が良いー。
「お、あそこでカブトムシの相撲大会やってるみたいだぞ」
「なぬー?!」
「カブトムシの相撲大会面白そうね」
「見て行きましょう」
「おー」
現在イベントが行われているようで、イベントコーナーではカブトムシ達の相撲大会が行われているようだー! 巨大モニターに映し出された土俵には、今日本のカブトムシと、なんか強そうな海外のカブトムシが立っているー。
「宏太兄ぃ、あの角が長くて強そうなカブトムシは何だー!」
「あれはネプチューンオオカブトだな」
「ネプチューン! カッコイイー!」
日本のカブトムシも洗練された素晴らしいフォルムだけど、海外のカブトムシは何というかサイズ感が凄いー! 角も長いしカッコイイのが多いー!
「あんな角の長い奴に日本のカブトムシが勝てるのか?」
「その分小回りが利くからな」
「でも、サイズも一回りくらい違うわよん?」
「パワーじゃ日本のカブトムシだって負けてないわよ」
どうやらこれは注目の一戦になりそーだー!
日本のカブトムシはまず、正面からネプチューンに近付いて行くが、ネプチューンの長い角に軽くあしらわれる。 ネプチューンも臨戦体勢に入り、日本のカブトムシの腹の下に角を潜り込ませようと前進して行く。 日本のカブトムシはそれを避けるように横に動き、ネプチューンの角の間合いの内側に入って行くー。
「こうなるとネプチューンオオカブトはやりにくいな」
「長い角が逆に仇になってるねぇ!」
「あ、日本のカブトムシがネプチューンの懐に入りましたわよー」
「クロスレンジになれば日本のカブトムシの方が強んよいわよ」
日本のカブトムシは、その角をネプチューンオオカブトの腹の下に潜り込ませて、その巨体を一気に持ち上げた。
「おおー!」
「いけー!」
「倒せー!」
そのまま、ネプチューンオオカブトを地面に転かして日本のカブトムシが勝ったー!
「日本のカブトムシサイキョー!」
「なはは! よくやったぞー! お前こそサムライだー!」
私達は周りの子供達以上に盛り上がり、結局決勝戦まで見てしまった。 何と意外な事に、サイズで劣る日本のカブトムシが優勝したぞー! カッコイイー!
「いやいや。 カブトムシ舐めてたわ」
「ほんまやな。 あんな熱いバトルが見られるのはやなんて」
「私、カブトムシに興味湧いて来たぜ」
「は、遥はああいうの好きだからね。 飼うとか言わないかなぁ?」
蒼井先輩の旦那さんは、蒼井先輩がカブトムシを飼い出さないか心配しているみたいだー。 蒼井先輩、影響されやすいみたいだからねー。
「きゃはは。 私は飼うとかはないかしらねー。 ごんしゅけもいるし」
私も飼うとかは別に良いかなー?
◆◇◆◇◆◇
その後も世界の色々な昆虫を見て回った私達ー。 何か不思議な形をした昆虫から、小さいのに凄い特技を持つ昆虫等、見た事も無かった昆虫達を見て楽しんだのであったー! 神崎先輩や希望姉も、最初に比べて楽しんでいたようだー。 今日の観光はここまでにして、後は旅館でゆっくりする事にー。 神崎先輩は何か、カブトムシのぬいぐるみを買っていたー。 結構ハマったようだー。
見終わる頃には昆虫に興味を持つ人も増えたようだ。
「紗希よ。 きゃはは。 カブトムシは中々良かったわね」
「カッコイイのが多いよねぇ」




