第2122話 カレーとオムライス
草津に着いた一行は、まず昼を食べる事に。
☆夕也視点☆
草津へ旅行へ来ている俺達一行。 可憐ちゃん含め27名となる今回の旅行。 ペット達も含めると更に増えるが、ペット達を観光に連れて行くのは難しい。 しかし、ペット達はペット達で旅館併設のペット専用公園なる物で遊ばせている為、あっちはあっちで楽しんでいるだろう。
さて、時間はちょうど昼時という事で昼食を食べに行く事に。 亜美が既に予約を取っているレストランがあるらしいので、そこへ向かって歩きで移動を開始。 謎の集団がゾロゾロと歩いているのは、他の観光客にはどう映るのだろうか?
「な、何だか凄い事になってますね」
「ま、すぐ慣れるわよ」
まだまだ慣れていないらしい星野さんと天堂さん。 大人数で旅行となると、学生時代の修学旅行とかぐらいだからな。
「ちゃんと一列で歩いてねぇ。 横に広がると他の人に迷惑だからねぇ」
「まるで幼稚園児の引率だよぅ」
「だはは!」
俺達は幼稚園児か……。
「なはは。 昔のRPGみたいだー」
「こんなにキャラが並ぶゲームあるのか?」
「さすがにこの数は無いー」
「だよな」
こんな数並んでもプレイの邪魔になりそうだもんな。
「もう少しでレストランに着くよ」
「腹減った」
「死ぬ」
「きゃはは! いつものやつで出たじゃん」
腹減らし2人も平常運転のようだ。 さて、今から行くレストランはオムライスとカレーが絶品らしい。 まあ好きな物を頼んで食べてくれとの事だが、絶品カレーとやらにするかな。
「ここだよ。 到着だよ」
「おお……何か西條グループとは思えない何とも質素なレストランだな」
「外観は確かにそうだけど、中は広いですわよー。 シックなデザインのゆったりとしたレストランですわ」
「なるほどやな」
「入るよ。 私達は2階のVIPルームだよ」
「そんな部屋があるのね……」
「西條グループの飲食店は、商談やVIPの会議なんかに使われたりするから、必ずVIPルームがあるんですのよ」
「そうだったのね」
奈々美は「納得いったわ」と頷いた。 確かにいつもVIPルームや座敷に案内されるもんな。
レストランに入ると、大人数用のVIPルームに案内された。 26名が入れる宴会場のようなもんだろうか? 一応テーブル席になってはいるが、いわゆるパーティーテーブルというやつで、長いテーブルに全員が座るという形だ。
「皆座ったね。 オーダーは手元にあるタブレットから出来るから、好きな物を頼んでねぇ。 お金の事は心配しなくて大丈夫だよ」
「はーい」
という事で、俺は予定通りに絶品カレーを注文。 亜美はオムライスが大好物な為、絶品オムライスを頼んだらしい。 というか、自分がオムライスを食べたいが為にこの店を予約したという事だ。 まあ、美味い物が食えるなら構わないが。
「奈々ちゃんはどれにしたの?」
「私はカレーにしたわ」
「奈々ちゃんはカレー派なんだねぇ」
「ウチもカレーやな」
「弥生ちゃんもカレー派なんだねぇ」
ちなみに麻美ちゃん、宏太もカレー派なようだ。 逆にオムライスを頼んだのは希望や渚ちゃん、奈央ちゃんもオムライスらしい。
「後は待つべしだよ」
「うむ」
というわけで、注文した物が運ばれて来るまで待機だ。 人数が多いので時間がかかるだろう。
◆◇◆◇◆◇
「あ、来たよ来たよ」
「おー、カレーの良い匂いがー!」
「だな!」
「オムライスも美味しそうだよぅ」
10分後には皆の注文した料理が運ばれて来た。 何という早さだ……。 さすがは西條グループの店というところか?
「オムライスはデミグラスソースなんやな」
「そうそう。 食べてみたかったんだよねぇ。 このふわとろ玉子にデミグラスソースがかかったオムライス……いただきます。 はむっ」
亜美はオムライスを口に入れて「んむんむ」と、噛み締めるように咀嚼する。
「んんーっ! 美味しいよ!」
「ですね」
オムライス組はそのオムライスの味に感動しながら食べている。 さて、カレーの方はどうか。
「チキンカレーなんやな」
「みたいだな。 ん。 お、うめー!」
「だな!」
「中々スパイシーやな。 めっちゃ美味いやん」
カレーは辛さは控えめにしてあるようだが、それでもピリリと辛味が来る感じだ。 色々なカレーを食べてきたが、これは中でも上位に入るレベルだな。
「鶏肉も美味しいわねー。 やっぱり最高級なのかしら?」
宮下さんが訊くと、亜美が「その通りだよ」と返事した。 亜美も立派な西條グループの人間になったようだ。
「にしても、美味いな」
俺も絶品カレーを堪能させてもらうのだった。
◆◇◆◇◆◇
昼食を終えた俺達は、一旦旅館に戻りペット達の様子を確認。 ペット専用公園で楽しそうに遊んでいたのでとりあえず安心だ。
「さて。 私達は次に植物園へ行きますわよ」
「植物園か」
「私達、たまに植物園行くわよね」
「そだねぇ」
「なはは。 草見に行くー」
「花でしょ……草見てどうすんのよ」
「あ、あはは……」
「当然西條グループの植物園なので、色々な国の色々な植物が見られるわよー」
「さすが西條グループやな」
「可憐、楽しみねー」
「あーい」
「それじゃ出発だよ。 バスで10分ぐらいだよ」
ペット達にはもう少し遊んでもらっておく事にして、俺達はバスに乗り込み西條グループが経営する植物園へと向かうのだった。
◆◇◆◇◆◇
「到着ですわよ」
「西條グループが経営する、草津西條フラワーパークだよ」
「これまた広いわね……」
駐車場からしてめちゃくちゃ広いのだ。 紗希ちゃんも呆れる程に。 祝日だからか、お客さんも結構入っているらしく、奈央ちゃんと亜美は「よしよし」と満足そうに頷く。
「それじゃ中に入るよ。 最初は日本の四季折々の植物が見られるコーナーからになるよ。 ゆっくり楽しんでね」
「ですわよー」
亜美と奈央ちゃんを先頭に入園していく一行。 園内は季節毎に部屋で区切ってあり、部屋内の環境を空調設備で一定に保っているのだとか。 マリアちゃんの飼っているリクガメや、キャミィさんが飼っている文鳥の特殊なケースにも搭載されている空調は、こういう技術の応用らしい。
「桜ね。 もう少しで桜の季節だけど、花見はするのかしら?」
「そうね。 まだ予定してはいないけど、出来たらやりたいわね」
植物園の春コーナーにある桜の木の前で、今年の花見に関しての話が出る。 やろうと思えば「皆の家」の庭でも出来る為、結構お手軽ではある。
「チューリップやな。 小学生の時、学校の花壇で育ててたで」
「へー。 私んとこはヘチマだったけど」
「学校によって違うんだねぇ」
「うちは向日葵だったわよね?」
「だねぇ」
そういえばそうだったな。 希望の向日葵が中々芽を出さなくて泣いてたのを思い出したぞ。 植物園ってのは何が面白いかイマイチわからなかったが、存外悪くないかもしれないな。
お腹も膨らみ、次は植物園。
「希望です。 亜美ちゃんって植物に凄く詳しいんだよぅ」
「むふふ」




