第2109話 家事が大変
妊娠が発覚した奈々美の代わりに家事を手伝う麻美と渚。
☆麻美視点☆
2月19日の月曜日ー。 先日、お姉ちゃんの妊娠が発覚。 お姉ちゃんはつわりがちょっときついらしく、私と渚は家事のお手伝いをしに来ているー。
「悪いわね……」
「大丈夫ー。 任せておいてー」
「ゆっくりしといてください」
お姉ちゃん、かなり参っているのかいつもより大人しくて素直だ。 私は家の掃除、渚は洗濯を進めている。 この後は二人で買い物に行く予定だ。
「大体3ヶ月ぐらいで収まってくるみたい」
「なはは。 楽になるまで頼ってくれたまへ」
ブィーン……
そういえば亜美姉も妊娠している可能性があるようだ。 どうも今月は予定日を過ぎても来ないらしいー。 今週末にも調べてみるとの事ー。 他にも西條先輩や蒼井先輩も同じように月一のあの日が来ていないとか。 一体どうなっているのかー。
「動いてないと何かソワソワするわ」
「ゆっくりしててー。 お姉ちゃんには元気な赤ちゃんを産んでほしー」
「まあ頑張るわよ」
お姉ちゃんに似たら凄く乱暴でヤンチャな子になるかもしれないー。 宏太兄ぃに似たらバカになるー。 どっちもダメだー!
「大人しくて賢い子が産まれたら良いなー」
「ヤンチャでバカな子が産まれてくる可能性あるわね」
「自分で言うのかー……」
お姉ちゃんも自分と宏太兄ぃがどういう人間かわかっているみたいだー。
「ま、大丈夫でしょ……」
「なはは。 大丈夫大丈夫ー」
本当に大人しくて賢い子が産まれますよーにー!
◆◇◆◇◆◇
掃除洗濯を終えた私と渚は駅前スーパーに買い出しに来ているー。
「あ、マリア発見ー」
「こんにちは」
「マリアも買い出しかいな?」
「はい。 奈々美先輩はどうですか?」
「相変わらず怠そうにしてるー。 しばらくは私と渚で家事を手伝う事になりそー」
「そうなんですね」
「お姉ちゃんも珍しく素直で優しいー」
「よほど辛いんですね」
「みたいやなぁ」
マリアの認識でも、お姉ちゃんは乱暴者というイメージのようだー。 というかそれ以外あり得ない。 藍沢奈々美は全国……いや、全世界共通で乱暴者なのだー!
「やはりゴリラー」
「本人の前で言うたらぶったたかれるで」
「な、なはは。 気を付けるー」
とはいえ、今はつわりでいつもの元気が無いお姉ちゃんだから、多分叩かれてもそんなに痛くない可能性があるー。
「さて、今日の夕飯は何にするん?」
「酢豚ー。 お姉ちゃんのリクエストー」
「酢豚? 先輩、普段そんなん食べてへんのに」
「何か無性に食べたいらしいー」
「妊娠すると好みが変わるとも聞きますからね」
「なるほどー」
神崎先輩は妊娠中でも普段と全然変わらないのに、お姉ちゃんは普段と全然違う。 中々に面白い事象だ。 他の皆はどうなるのかー?
「とりあえず酢豚の材料買うぞー。 お昼は適当にお惣菜で済ませて、午後からは私達の家の家事を終わらせるぞー」
「そやな」
「マリアのところは何作るのー?」
「私も酢豚にします。 決めてなかったので助かります」
「なはは」
献立パクられたー。 まあ良いけどー。
「酢豚酢豚ー」
「買い物ぐらいは静かに出来んか……」
「なはは」
◆◇◆◇◆◇
お昼は予定通り惣菜で済ませて、一旦我が家へと帰宅。 こちらでも家事を進めていく。 「皆の家」に行っている余裕はあまり無さそうだ。 うーん、たまには「皆の家」に行ってあっちでのんびりする日を作らねば。
「渚、洗濯よろしく」
「わかっとる」
今日の担当は掃除が私、洗濯が渚になっているのでその通りに進めていくー。 家事にも慣れてきたのでテキパキー!
「うおー! テキパキー!」
ブィーン……
まずは掃除機がけー。 リビングから順番にやっていく。 我が家は部屋数も中々多い為、結構大変ではあるが頑張るー。
◆◇◆◇◆◇
「疲れたー」
「ほんまやな」
掃除洗濯が終わるともう15時前だー。 二件分の家の家事をしたのでさすがに疲れたのであるー。 これを毎日というのは中々に大変だ。 しかし、お姉ちゃんには無理させたくないので、少しぐらい大変でも頑張るしかないー。
「私らもたまには休ませてもらわな保たへんで」
「たまにはねー」
「これ、清水先輩が藍沢先輩みたいになったらどないするつもりなん?」
「……ほへー?」
亜美姉のつわりがきつくてお姉ちゃんと同じようになると、あっちの家の家事も大変になるかもしれない。 そうなると、希望姉一人では回らなくなるだろうー。
「そうなったら私達も手伝わなければー!」
「いや、さすがに無理やろ」
「う、うー」
渚の言う通り、さすがに三件分の家事は無理だろう。 そうなれば私と渚も倒れかねないー。
「となると……」
「あっちは夕也兄ぃが頑張るしかないー」
「今井先輩、家事は全然出来はらへんで?」
「洗濯だけは完璧ー」
「洗濯が出来る事を誇り思ってはるもんな」
「他の家事も出来るように鍛えるしかない」
「私らがか?」
「うむ」
亜美姉がまだお姉ちゃんみたいにつわりでダウンするとは限らないけど、どちらにせよ夕也兄ぃは家事が出来た方が良いに決まっている。 今のうちに少しでも出来るようになってもらわねばー。
「明日早速呼んで家事を教えるー」
「となれば連絡せなあかんな」
「うむ。 今から今井家に行くぞー」
「了解や」
というわけで、今から今井家に突撃ー。
◆◇◆◇◆◇
ピンポーン
「はいはいだよー。 あれ、麻美ちゃんと渚ちゃんどしたの? 夕飯まではまだまだ時間あるよ?」
「亜美姉と夕也兄ぃに話があるー」
「話? とりあえず上がる?」
「うむ」
「はい」
とりあえずは今井家のリビングへ。 まだ希望姉は帰って来てはいないようだー。
「夕也兄ぃー!」
「お、おう?」
「家事を覚えてもらうぞー!」
「……ん?」
「亜美姉が妊娠中は夕也兄ぃも家事を手伝うに越した事はないー! 私達も手伝うけど、お姉ちゃん達の家と自分の家と今井家を全部は無理だから、今井家は夕也兄ぃが頑張れー!」
「確かに、その方が私も助かるねぇ。 でも家事なら私でも教えられるよ?」
「亜美姉は妊娠してるかもしれないー! お姉ちゃんみたいに急にダウンするかもー! ここは私達に任せろー」
「なるほど。 らじゃだよ。 夕ちゃんの教育は二人に任せるよ」
「任せろー!」
「家事を完璧に覚えてもらいますよ、今井先輩」
「洗濯は任せろ」
「洗濯以外を覚えるんだよ……」
「う、うむ」
という事で、明日から夕也兄ぃに家事を仕込む事になった私と渚。 家事音痴の夕也兄ぃに家事をマスターさせる事が出来るのかー! 次回へ続くー!
夕也も家事をマスターする時が?
「遥だ。 亜美ちゃん先生に任せた方が良くないか?」
「だ、大丈夫だと思うよ」




