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第2099話 ゴンすけの子

お昼休憩中の先にメールが。

 ☆紗希視点☆


 1月30日火曜日よ。 お仕事のお昼休憩時にスマホをポチポチ触っていると……。


 ピロリン……


「んむっ?! 伊達さんからメール!」


 伊達さんとは、ゴンすけがお見合いした猫ちゃんの飼い主さん。 そろそろ子猫が産まれる頃だと聞いていたので、その報告かもしれない。  


「産まれたのかしら?」

「何が産まれたの?」

「あ、真昼さん」


 隣のデスクの真昼さんが、お箸を咥えながらこちらを振り向いてきた。


「実は、うちの飼い猫が11月にお見合いして、そのお相手の猫ちゃんの飼い主さんから今メールが」

「ほう! 子猫が産まれたかもしれないわけだ?」

「はい。 メール開いてみます」


 伊達さんからのメールを開いてみると、そこには「元気な子猫達が無事に産まれました」の文面と共に、子猫達の写真が添えられていた。


「きゃ……きゃわわ!」

「おー。 可愛すぎるね」


 マロンの子供を見た時もそうだったけど、産まれたての子猫って可愛いわね。


「今度、ゴンすけを連れて会いに行きます」っと。


 メールに返信してお昼休憩を続けるのだった。 会うのが楽しみだわ。


「さーて。 午後の仕事頑張るぞ」

「おうー。 私も徹夜頑張るぞ」


 真昼さん、また仕事溜まってるのね……。 仕事が出来る人ってのも大変ねー。 引っ切りなしに指名の仕事が入るんだものね。


「まずはこのゲームのモンスターのキャラデザから……」

「きゃ、きゃはは……私は企業のイメージキャラのデザインね」


 私も真昼さんみたいにならないと、独立なんて夢のまた夢ね。



 ◆◇◆◇◆◇



 仕事を終えて自宅に帰って来た私は、ゴンすけに子供の写真を見せて上げる事に。 まあ、理解出来るとは思わないけど一応ね。


「ゴンしゅけー。 レイラちゃんとあんたの子供が産まれたわよん。 ほれ」

「にゃふ! にゃごにゃご!」

「おりょりょ。 わかるのかしら?」


 ゴンすけは写真を見ると興奮気味に反応した。 ふうむ。 これはこれは、ちょっと早めに会わせてやりたいわねー。


「明日の夕方、仕事終わった後とかに行けるかしら?」


 一応メールしてみましょうかね。

 

 伊達さんにメールを送ってみると、いつでも大丈夫との事なので早速明日の仕事終わりに向かう事に。


「仕事中、ゴンすけはどうしようかしら?」


 自宅と伊達さんの家は完全に真逆の位置にある。 わざわざ職場から自宅に帰ってきて、ゴンすけを連れて行くとなると手間だわ……。 こんな時に車を出してくれる友人がいると助かる……。


「亜美ちゃんに頼んでみましょうかね」

  

 車を持っていて出してくれそうな友人なら、亜美ちゃんか麻美しかないわ。 その中で猫が絡んだら喜んで車を出してくれるのは亜美ちゃんよ。 明日の夕方17時前ぐらいに、ゴンすけを連れて私の会社の前まで迎えに来てもらえるようにお願いしてみると。


「らじゃだよ! 私もゴンすけ君の子供達を見てみたいよ!」と、予想通りの反応が返ってきた。 さすが亜美ちゃん。 猫好きなだけあるわね。



 ◆◇◆◇◆◇



 翌31日の水曜日。


「おはようございます真昼さん」

「お、おはよう……紗希ちゃん……がくっ」

「ま、真昼さーんっ!」


 出勤してみると、デスクには大量のエナドリが並んでおり、目に隈を作りながら机に突っ伏す真昼さんの姿が。 昨夜もかなりの激闘だったみたいだけど、何とか〆切前に間に合ったみたいね。


「し、社長ー……仮眠して良いでしょうかー?」

「帰らないの?」

「つ、次の仕事があるのでぇ……」

「うへぇ……」

「真昼さん、死ぬわよ貴女」


 同僚達もさすがにドン引きする。 芽衣子お姉さんは「はあ……」と、溜息をつき「先方には〆日延ばしてもらえるよう、私から連絡してあげますから今日は帰って休みなさい」と、怒られるのであった。 真昼さんは「は、はいー……」と、頷きながら立ち上がってよろよろと歩いて行くのだった。


「だ、大丈夫かしら?」

「タクシーで帰るでしょ」

「な、なるほど……」


 真昼さんみたいに仕事が出来る人にはなりたいけど、あそこまでにはなりたくないわね。



 ◆◇◆◇◆◇



 仕事終わりに会社を出ると見慣れた車が停まっており、短いクラクションで私を呼ぶ。 急いで車に駆け寄って乗り込むと、亜美ちゃん、ゴンすけにマロンメロン……まではわかるけど。


「なはは」

「わふ」

「みゃぶー」


 麻美にくぅちゃん、タマちゃんまでついて来ているみたいね。 あまり沢山で押し掛けちゃ迷惑な気もするけど……。


「とりあえず出発しましょ。 住所はここね」

「らじゃだよ。 うわわ。 結構な高級住宅地だよ」

「なはは」

「伊達さん、お金持ちなのかしら?」

「かもねぇ。 とはいえ、奈央ちゃんの家程じゃないよ」

「あれは下手したら世界一よ……」

「なはは」


 亜美ちゃんは住所を見て運転を開始した。 歩くとまあまあ時間がかかるけど、車なら10分くらいね。 子猫達に会うのが楽しみだわ。



 ◆◇◆◇◆◇



「うわわ」

「ほえー」

「なはは」


 伊達さんの家の前に到着すると、これが中々の豪邸であった。 まあ、亜美ちゃんが言う通り奈央の家に比べるとそうでもないけど。


「とりあえず呼び出してみるわね」


 門の横に付いている呼び出しボタンを押すと、すぐに伊達さんの声が聞こえてきた。 どうやらカメラ付きのインターホンみたいね。 私とゴンすけの姿を確認した伊達さんは、何やら操作して門を開けてくれた。


「あるもんだねぇ、凄い家って」

「私達は慣れてるから大丈夫だけどさ」

「なははー」


 門から中に入って行くと、伊達さんが玄関のドアを開いて待ってくれていた。


「あらあら。 ご友人や猫ちゃん、犬ちゃんも沢山来たのね」

「す、すいません」

「良いの良いの。 どうぞこちらへ」


 伊達さんについて行き、屋敷の中へ入っていく。 広い屋敷ではあるけど、やはり西條邸とは比べるべくも無いわね。


「レイラと子猫達の部屋はここよ」


 ガチャ……


 ある一室に案内されて入ってみると、そこは猫ちゃんの為に作られたような部屋だった。 どうやら伊達さんはかなりの愛猫家らしいわ。 レイラちゃんの他にも違う種類の猫を数匹飼っているみたい。 勝手に繁殖しないよう、全て雌猫みたいね。


「にゃふー」

「にゃにゃ」

「おりょ。 ゴンすけとレイラちゃんはすっかり仲良しね」

「よほど相性が良かったみたいですね」

「うわわ。 子猫達可愛いよぉ。 ほわわーん」

「みゃー」

「なー」


 亜美ちゃんは早くも子猫達を見てほわっているわ。 私もゴンすけを抱いて一緒に子猫達を覗き込む。


「きゃはー。 可愛い」

「にゃふー」

「わかるゴンすけ? あんたの子よん」

「にゃふん……」


 遺伝子的な物でわかったりするのかしらね? 子猫達を見て少し優しい顔をしたわ。 子猫の中で男の子はちょうど二匹だけみたいなので、2ヶ月後にはその子達を譲り受ける事になるわ。 早くその日にならないかしら?

ゴンすけとお見合い相手の猫の間に子供が。


「奈々美よ。 紗希んとこは二匹引き取るのね」

「そよーん」

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